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815.容赦ない話題転換
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「きちんと反省してくれよ」
「はーい、もう分かったって。ちゃんともう一回アキトにも謝るから」
「ああ、そうしてくれ」
ケイリーさんとグレースさんは、そんな会話をしながら集まっている俺達の方へと近づいてきた。
「アキト、改めて何の説明もせずに腕試しに巻き込んで――本当にすまなかった」
まっすぐに目を見つめながらの謝罪の言葉を受け取った俺は、すぐにいいえと首を振った。
「驚きはしましたけど、ハルの家族の中では当たり前の事だったんですよね」
いくらハルの家族でも、もしそこに少しでも殺意があったならさすがに許せなかったかもしれない。でもグレースさんはハルを信じてギリギリの所を攻撃してたんだと思う。
「ありがとう、アキト」
「ちょっとあっさり許しすぎじゃないか?」
ハルだけはまだすこし不服そうだったけど、グレースさんはニコニコと嬉しそうにケイリーさんを振り返った。
「ケイリー、アキトに許してもらえたぞ」
「うん、ちゃんと見てたよ。アキトくん、本当にすまなかった」
私の監視不足だとケイリーさんにまで謝られた俺は、あわててぶんぶんと首を振った。
「ところで、腕試しって何をされたの?」
しんと一瞬だけ静かになった部屋の中に、ウィリアムさんの明るい声が響いた。さすがウィリアムさんだな。空気が一気に明るくなった気がする。
ありがたいなとしみじみ感じながら、俺はウィリアムさんに視線を向けた。
「木の上から狙われたんだよ」
ハルの答えに、ファーガスさんはふむと一言呟いた。
「木の上から狙うって事は――弓か?」
「そうそう、予想通り弓矢だよ」
「ほう…ハルは何本だった?」
「5本だな」
ぽんぽんと交わされる兄弟の会話は、かなりテンポが早かった。そういえば仲の良い兄弟の会話って、こんな感じだったな。元の世界の兄弟持ちの友人を思い浮かべながら、そんな事をぼんやりと思う。
「え、待って、ハル。5本で終わったの?」
そう声を上げたウィリアムさんは、大きな目をしてハルを見つめていた。
「ああ、5本だったよ」
「へー、どうやって止めさせたんだ?」
「アキトの前で何してくれてるんだって、俺がナイフを投げた」
「なるほど。距離を投げナイフで稼いだのか、やるなぁ」
「ハル兄さん、すごい!」
キースくんに尊敬の眼差しで見つめられたハルは、照れくさそうに笑みを浮かべた。弟に褒められて照れるハルって、すごく可愛い。
そう思ってハルを見つめていた俺は、完全に油断しきっていた。まさかこの場でグレースさんがあんな事を言い出すとは思ってなかったからね。
「確かにハルもよくやったが――私が一番驚いたのはアキトの反応だな。ハルが一本目の矢を切り捨てた時には、既に魔力を練り始めていたからな」
「アキトくんが…?」
「え…?」
「魔力を…?」
ケイリーさん、ファーガスさん、ウィリアムさんが揃って俺を見つめてくるなか、キースくんだけが目を輝かせて上目遣いに俺を見上げてきた。
「もしかしてアキトさんは魔法使いなの?」
あーそういえばハルから、弟は魔法に興味があるって聞いた事があったな。
「えっと、うん。そうだよ」
グレースさんの突然の話題転換に驚きつつも何とかそう答えれば、キースくんはさらにキラキラと目を輝かせた。
「魔法使い、すごい!」
「ありがとう」
尊敬の眼差しを向けてくれるキースくんはすごく可愛いんだけど、現実逃避する間もなくグレースさんの話は続いていく。
「アキトはなあの一瞬できちんと周りを警戒して、いつでも攻撃魔法を放てるようにしていたんだぞ」
魔法使いでもあそこまで素早く魔力を練れるやつはそうはいないと、グレースさんはニコニコと笑顔で続けた。
あー俺がハルのお母さん相手に攻撃しようとしてた事が、容赦なくバラされてしまった。
これって印象最悪だよね?と心配になったけど、ケイリーさんとファーガスさん、それにウィリアムさんはただ驚いた様子でじーっと俺を見つめてくるだけだった。
「…あーアキトくん、その…咄嗟にハルを守ろうとしたの…か?」
ケイリーさんの恐る恐るといった様子の問いかけに、俺はこくりと頷いて答えた。攻撃するのも守ろうとする事に入るなら、確かに守ろうとしたね。
「あ、はい」
「――ハルを…君が?」
長兄であるファーガスさんの質問に俺が答えるよりも前に、ハルが隣から答えた。
「ファーガス兄さん、アキトは強いぞ?」
じろりと睨むような視線で見つめられたファーガスさんは、申し訳なさそうに眉を下げた。
「いや弱いと言いたいわけじゃないんだが…」
そう言いながら、ファーガスさんの視線が俺の頼りない腕に向いたのが分かってしまった。うん、ハルの家族と比べたら、筋肉が全くないに等しい俺は、弱そうに見えるんだろうな。
これでも元の世界にいた時よりは、多少筋肉も増えた気がするんだけどな。
「はーい、もう分かったって。ちゃんともう一回アキトにも謝るから」
「ああ、そうしてくれ」
ケイリーさんとグレースさんは、そんな会話をしながら集まっている俺達の方へと近づいてきた。
「アキト、改めて何の説明もせずに腕試しに巻き込んで――本当にすまなかった」
まっすぐに目を見つめながらの謝罪の言葉を受け取った俺は、すぐにいいえと首を振った。
「驚きはしましたけど、ハルの家族の中では当たり前の事だったんですよね」
いくらハルの家族でも、もしそこに少しでも殺意があったならさすがに許せなかったかもしれない。でもグレースさんはハルを信じてギリギリの所を攻撃してたんだと思う。
「ありがとう、アキト」
「ちょっとあっさり許しすぎじゃないか?」
ハルだけはまだすこし不服そうだったけど、グレースさんはニコニコと嬉しそうにケイリーさんを振り返った。
「ケイリー、アキトに許してもらえたぞ」
「うん、ちゃんと見てたよ。アキトくん、本当にすまなかった」
私の監視不足だとケイリーさんにまで謝られた俺は、あわててぶんぶんと首を振った。
「ところで、腕試しって何をされたの?」
しんと一瞬だけ静かになった部屋の中に、ウィリアムさんの明るい声が響いた。さすがウィリアムさんだな。空気が一気に明るくなった気がする。
ありがたいなとしみじみ感じながら、俺はウィリアムさんに視線を向けた。
「木の上から狙われたんだよ」
ハルの答えに、ファーガスさんはふむと一言呟いた。
「木の上から狙うって事は――弓か?」
「そうそう、予想通り弓矢だよ」
「ほう…ハルは何本だった?」
「5本だな」
ぽんぽんと交わされる兄弟の会話は、かなりテンポが早かった。そういえば仲の良い兄弟の会話って、こんな感じだったな。元の世界の兄弟持ちの友人を思い浮かべながら、そんな事をぼんやりと思う。
「え、待って、ハル。5本で終わったの?」
そう声を上げたウィリアムさんは、大きな目をしてハルを見つめていた。
「ああ、5本だったよ」
「へー、どうやって止めさせたんだ?」
「アキトの前で何してくれてるんだって、俺がナイフを投げた」
「なるほど。距離を投げナイフで稼いだのか、やるなぁ」
「ハル兄さん、すごい!」
キースくんに尊敬の眼差しで見つめられたハルは、照れくさそうに笑みを浮かべた。弟に褒められて照れるハルって、すごく可愛い。
そう思ってハルを見つめていた俺は、完全に油断しきっていた。まさかこの場でグレースさんがあんな事を言い出すとは思ってなかったからね。
「確かにハルもよくやったが――私が一番驚いたのはアキトの反応だな。ハルが一本目の矢を切り捨てた時には、既に魔力を練り始めていたからな」
「アキトくんが…?」
「え…?」
「魔力を…?」
ケイリーさん、ファーガスさん、ウィリアムさんが揃って俺を見つめてくるなか、キースくんだけが目を輝かせて上目遣いに俺を見上げてきた。
「もしかしてアキトさんは魔法使いなの?」
あーそういえばハルから、弟は魔法に興味があるって聞いた事があったな。
「えっと、うん。そうだよ」
グレースさんの突然の話題転換に驚きつつも何とかそう答えれば、キースくんはさらにキラキラと目を輝かせた。
「魔法使い、すごい!」
「ありがとう」
尊敬の眼差しを向けてくれるキースくんはすごく可愛いんだけど、現実逃避する間もなくグレースさんの話は続いていく。
「アキトはなあの一瞬できちんと周りを警戒して、いつでも攻撃魔法を放てるようにしていたんだぞ」
魔法使いでもあそこまで素早く魔力を練れるやつはそうはいないと、グレースさんはニコニコと笑顔で続けた。
あー俺がハルのお母さん相手に攻撃しようとしてた事が、容赦なくバラされてしまった。
これって印象最悪だよね?と心配になったけど、ケイリーさんとファーガスさん、それにウィリアムさんはただ驚いた様子でじーっと俺を見つめてくるだけだった。
「…あーアキトくん、その…咄嗟にハルを守ろうとしたの…か?」
ケイリーさんの恐る恐るといった様子の問いかけに、俺はこくりと頷いて答えた。攻撃するのも守ろうとする事に入るなら、確かに守ろうとしたね。
「あ、はい」
「――ハルを…君が?」
長兄であるファーガスさんの質問に俺が答えるよりも前に、ハルが隣から答えた。
「ファーガス兄さん、アキトは強いぞ?」
じろりと睨むような視線で見つめられたファーガスさんは、申し訳なさそうに眉を下げた。
「いや弱いと言いたいわけじゃないんだが…」
そう言いながら、ファーガスさんの視線が俺の頼りない腕に向いたのが分かってしまった。うん、ハルの家族と比べたら、筋肉が全くないに等しい俺は、弱そうに見えるんだろうな。
これでも元の世界にいた時よりは、多少筋肉も増えた気がするんだけどな。
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