生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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818.ハルの家族と

 和やかな雰囲気になった部屋の中、俺とハルそしてハルの家族の皆で集まると立ったまま色々な話をした。

 まずは長兄のファーガスさんだ。

 辺境領の現騎士団長を務めているファーガスさんからは、今までに騎士団が倒した強い魔物の話や、珍しい素材の話を教えてもらった。

「最近騎士団が手に入れた素材だと――中型の水色の魔石の中に、豆粒ほどの大きさの魔石が含まれているのが一番珍しいだろうな」
「ん?待ってくれファーガス兄さん、水色に…中の小さい方は何色だったんだ?」

 ハルが興味深そうに身を乗り出してそう尋ねると、ファーガスさんはニヤリと笑みを浮かべた。ハルが悪戯っぽく笑う時の顔にちょっと似てる。

「それがな、驚くことに赤色の魔石だったんだよ」
「は?水と火の魔石…?」

 水の魔石は大きさによって異なる量の水が出せるし、火の魔石は細かい火力を調整することもできるって聞いた事がある。

 ただ元々が反発する属性だから、うまく魔道具とかに加工されていない限り同時には使えないみたいなんだよね。

 でもその二種類が、元々魔石として合体してるって事は?

「ファーガスさん、それはもしかして…」

 俺の想像が正しければ、それって…?

「ああ、温かい湯が出る魔石だったよ」

 わーやっぱりそうか。そんな魔石も存在してるんだね、この世界。それがあったらお風呂がいつでも楽しめるって事じゃない?

 あ、でも魔石じゃなくても、ストファー魔道具店に頼んでも良いのか。

 ファーガスさんは、想像以上に話上手だった。

 俺が図鑑でしか知らない素材の話なんかもたくさん聞けたし、冒険者でも戦う可能性がある強い魔物の注意点なんかも教えてくれた。

 ファーガスさんと双子みたいだと言われるって話はハルから聞いてたけど、もしかしてそれってこういう情報に詳しくて説明上手な所も含まれていたりするのかもしれないよね。



 続いては次兄のウィリアムさん。

 騎士団の部隊任務で他の地域に出向く事も多いというウィリアムさんからは、おすすめの地域やお土産、それにその土地の特産品の話なんかをしてもらった。

「俺の一押しはやっぱり北国かな。食べ物は何を食べても美味しいし、太陽に照らされた雪原がキラキラしててすごく綺麗なんだよ!」

 ウィリアムさんの明るくて軽快な口調で紹介されると、どの場所も行きたくなってきて困る。さっきから行きたい場所がどんどん増えていってるんだよね。北国も良いなと考えていると、いつか一緒に行こうねとハルが囁いてきた。

 うん、行きたいなー雪国。

「あ、そういえばさ、トライプールの南にある国は、今はあまりお勧めできないから覚えておいて。なんかちょっと危険な気配がするんだよね」
「何か強大な魔物でも出そうなのか?」
「ううん、人同士の対立の方だね」

 魔物ならまだ何とかなるかもしれないけど、人同士の対立は俺達にはどうしようもないもんね。ちゃんと覚えておかないと。

「…そうか。巻き込まれないように気をつける。ウィル兄、情報ありがとう」
「ありがとうございます、ウィリアムさん」

 トライプールの南の国の動向は、辺境領にはあまり関係ない場所だと思うんだ。かなり距離があるからね。それなのに、ウィリアムさんはその情報をわざわざ集めてくれていた。

 それって、きっとハルのために調べてくれたんだよね。兄弟の絆って感じで何だかほっこりしてしまう。

「どういたしましてーあ、また何か情報があったら、手紙出すから」
「ああ、助かるよ」



 キースくんはまだ恥ずかしそうだったけれど、それでも俺に近づいてきて声をかけてくれた。

「あ、あの、アキトさんが…最初に使えるように、なった、魔法は何ですか?」 

 きっと勇気を振り絞って話しかけてくれたんだろうな。

 ハルの家族はキースくんの行動に一瞬だけ驚いた顔をしたけど、次の瞬間には成長を喜ぶ温かい笑みを浮かべていた。

「最初の魔法は…浄化魔法だね」

 トライプールの街まで幽霊であるカルツさんと一緒に移動していた時、カルツさん一押しの魔法が浄化魔法だったんだよね。なんだか懐かしいな。

「浄化魔法ってむずかしいんですよ!すごいですね」

 キースくんは目をキラキラと輝かせながら、興奮した様子で格好良いと褒めてくれた。

 まだ幼い子から告げられる格好良いって言葉って、こんなに嬉しいんだね。身近にこどもがあまりなかったから、初めて知ったよ。
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