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833.美しい広間
廊下を行く俺たちのすぐ後ろを歩いているのは、ウィリアムさんとジルさんに、キースくんを加えた三人組だ。更にその後ろを歩くファーガスさんとマチルダさんは、かなり距離を空けてのんびりと追ってきている。
「キースくんとこうして話しができるのは、すこし久しぶりですね。なかなか会いにいけなくてすみません」
申し訳なさそうなジルさんが、そうキースくんに声をかけているのが後ろから聞こえてきた。
「ううん、ジルさんはいっつも忙しいからね」
僕は全然気にしてないよと、キースくんはすぐに答えている。どうやらジルさんとキースくんは仲が良いみたいだ。
「確かに最近はすこし忙しかったんですが、数日間は休みを取れたんですよ」
「え、そうなのっ?」
嬉しそうに弾む声が、なんとも微笑ましい。
「ええ、また最近読んだ本の話でも、聞かせて貰えますか?」
へぇ、キースくんは読書が趣味なのか。優しい声でそう尋ねたジルさんに、キースくんは何故か言い淀んだ。
「えっと…」
あれ?と不思議に思ってそっと振り返って様子を伺ってみれば、口をつぐんだキースくんはウィリアムさんをちらちらと見つめている所だった。
これは久しぶりの空き時間なら、きっと伴侶と過ごしたいよね?とか気にしてるのかな。
まだ幼いのにそんな事にまで配慮できるなんて、なんて優しい子だろう。
――やっぱりキースくんは天使なのかな?
うーん、気づかいが出来るのはもちろんすごく良い事だと思うよ。良い事だと思うけど、もしかしてキースくんはこのまま断っちゃうつもりなのかな。あんなに嬉しそうな声を出していたのに?
勝手にハラハラしながら背後のやり取りに聞き耳を立てていたんだけど、不意にウィリアムさんが声をあげた。
「あ、俺もキースの好きな本の話、聞きたいなーまた色々読んだんだろ?」
優しい声でそう促されたキースくんは、何度もパチパチと瞬きを繰り返している。
「うん、色々読んだけど…ウィル兄さんもジルさんと一緒に聞いてくれるの?」
「もちろん!ジルとキースと一緒に休日を過ごせたら、絶対に楽しいからねー大歓迎だよ」
うん、どうやら俺が心配する事なんて何もなかったみたいだ。ウィリアムさんもジルさんも揃ってキースくんを可愛がっているんだね。
「ほら、ウィルもこう言ってますよ?キースくん」
「うんっ!じゃあ楽しみにしてるっ!」
楽しそうな声に、聞いているだけの俺まで嬉しくなってしまう。
「それじゃあ、どこで集まりましょうか?」
「えっとね、どうせなら最近のお気に入りの本を見せたいな」
「よし、それじゃあ応接室にしようか。あそこなら本を広げられるから…」
「それなら第三応接室が…」
そんな微笑ましいやりとりを聞きながら歩いていけば、目的地にはあっという間に辿り着いたよ。
「うわぁー…すごい、綺麗…」
案内された部屋に入るなり、無意識のうちにそんな言葉がぽろりと俺の口から漏れてしまった。
いやだって、すっごく綺麗だったんだよ。
長い廊下を進んで辿り着いたその部屋は、色とりどりの生花があちこちに飾り付けられたそれはもう美しい広間だったんだ。
天井が高くて広々とした室内には美しい布の飾りが幾重にも垂れ下がっていて、その布の飾りを魔道具の温かい灯りがうっすらと照らしている。
あの布ってもしかして、領主城に来るときにハルが辺境領の名産だと教えてくれたあの織物――かな?
あの時はちょっと見ただけで自信は無いから、後でハルにこっそり聞いてみようかな。
広間の真ん中には繊細な彫刻が施された巨大な長テーブルがどんっと置いてあり、その両側には向かい合う形でずらりと椅子が並んでいる。
テーブルの上には食器やお皿も既にセットされていて、まるで結婚式の会場みたいだ。
「アキトくん気に入ったかい?」
俺の呟きが聞こえていたらしいケイリーさんは、ふふと楽し気に笑いながらそう声をかけてくれた。
「はい、すっごく綺麗ですね!」
「気に入ったなら良かった。ハルはどうだ?」
「うん…俺も気に入ったよ。まぁ、それ以上に驚いてるけどね」
「あれ?ハルも驚いてるの?」
「うん、俺も驚いてるよ。この部屋がここまで飾り付けられることなんて、滅多にない事だからね」
不思議そうに首を傾げるハルの反応を見て、不意にグレースさんは声を上げて笑い出した。
「キースくんとこうして話しができるのは、すこし久しぶりですね。なかなか会いにいけなくてすみません」
申し訳なさそうなジルさんが、そうキースくんに声をかけているのが後ろから聞こえてきた。
「ううん、ジルさんはいっつも忙しいからね」
僕は全然気にしてないよと、キースくんはすぐに答えている。どうやらジルさんとキースくんは仲が良いみたいだ。
「確かに最近はすこし忙しかったんですが、数日間は休みを取れたんですよ」
「え、そうなのっ?」
嬉しそうに弾む声が、なんとも微笑ましい。
「ええ、また最近読んだ本の話でも、聞かせて貰えますか?」
へぇ、キースくんは読書が趣味なのか。優しい声でそう尋ねたジルさんに、キースくんは何故か言い淀んだ。
「えっと…」
あれ?と不思議に思ってそっと振り返って様子を伺ってみれば、口をつぐんだキースくんはウィリアムさんをちらちらと見つめている所だった。
これは久しぶりの空き時間なら、きっと伴侶と過ごしたいよね?とか気にしてるのかな。
まだ幼いのにそんな事にまで配慮できるなんて、なんて優しい子だろう。
――やっぱりキースくんは天使なのかな?
うーん、気づかいが出来るのはもちろんすごく良い事だと思うよ。良い事だと思うけど、もしかしてキースくんはこのまま断っちゃうつもりなのかな。あんなに嬉しそうな声を出していたのに?
勝手にハラハラしながら背後のやり取りに聞き耳を立てていたんだけど、不意にウィリアムさんが声をあげた。
「あ、俺もキースの好きな本の話、聞きたいなーまた色々読んだんだろ?」
優しい声でそう促されたキースくんは、何度もパチパチと瞬きを繰り返している。
「うん、色々読んだけど…ウィル兄さんもジルさんと一緒に聞いてくれるの?」
「もちろん!ジルとキースと一緒に休日を過ごせたら、絶対に楽しいからねー大歓迎だよ」
うん、どうやら俺が心配する事なんて何もなかったみたいだ。ウィリアムさんもジルさんも揃ってキースくんを可愛がっているんだね。
「ほら、ウィルもこう言ってますよ?キースくん」
「うんっ!じゃあ楽しみにしてるっ!」
楽しそうな声に、聞いているだけの俺まで嬉しくなってしまう。
「それじゃあ、どこで集まりましょうか?」
「えっとね、どうせなら最近のお気に入りの本を見せたいな」
「よし、それじゃあ応接室にしようか。あそこなら本を広げられるから…」
「それなら第三応接室が…」
そんな微笑ましいやりとりを聞きながら歩いていけば、目的地にはあっという間に辿り着いたよ。
「うわぁー…すごい、綺麗…」
案内された部屋に入るなり、無意識のうちにそんな言葉がぽろりと俺の口から漏れてしまった。
いやだって、すっごく綺麗だったんだよ。
長い廊下を進んで辿り着いたその部屋は、色とりどりの生花があちこちに飾り付けられたそれはもう美しい広間だったんだ。
天井が高くて広々とした室内には美しい布の飾りが幾重にも垂れ下がっていて、その布の飾りを魔道具の温かい灯りがうっすらと照らしている。
あの布ってもしかして、領主城に来るときにハルが辺境領の名産だと教えてくれたあの織物――かな?
あの時はちょっと見ただけで自信は無いから、後でハルにこっそり聞いてみようかな。
広間の真ん中には繊細な彫刻が施された巨大な長テーブルがどんっと置いてあり、その両側には向かい合う形でずらりと椅子が並んでいる。
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「アキトくん気に入ったかい?」
俺の呟きが聞こえていたらしいケイリーさんは、ふふと楽し気に笑いながらそう声をかけてくれた。
「はい、すっごく綺麗ですね!」
「気に入ったなら良かった。ハルはどうだ?」
「うん…俺も気に入ったよ。まぁ、それ以上に驚いてるけどね」
「あれ?ハルも驚いてるの?」
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