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847.料理長のラスさん
食事会の最後には、この素晴らしい料理を作った料理長さんが呼ばれる事になった。
最初は予定には無かったらしいんだけど、あまりに俺が感動しているからと、気をきかせたケイリーさんが呼んでくれたんだ。
直接感想を伝えたかったから、呼んでくれたのは嬉しい。ただあまりにもどれも美味しかったから、何から感想を伝えれば良いのか悩んでしまう。どこから言うべきかなと考えていると、不意に部屋のドアがノックされた。
「どうぞ」
ケイリーさんの声で広間へと入ってきたのは、ほっそりとした体型をした目つきの鋭い老齢の男性だった。上下共に真っ白な服は清潔感があって、一流の料理人って感じがする。
もし何も言わずに無表情にこちらを見つめられていたら、迫力を感じたかもしれないと思ってしまうぐらいの強面の男性だった。
まあ今は明らかに困った様子で眉を下げているから、威圧感なんて全く無いんだけど。
「あー…領主様がお呼びだと言われて来たんだが…こんなにめでたい場に、ほんとうに俺が顔を出して良かったのか?」
きょろきょろと周りを見回したその男性は、誰にともなくそう尋ねた。
「ああ、何も問題はないよ」
「俺の顔は、怖がられると言ってるだろう?」
そう言いながら、ちらりと俺に視線を向けてきた。ああ、この人もレーブンさんみたいに強面で苦労してる人なのか。それで俺の事を気づかってくれたんだ。
「アキトは全く気にしないよ?」
「ハル坊ちゃん…」
「坊ちゃんはやめてくれ」
嫌そうに首を振ったハルに、男性は苦笑を洩らしてすまないと謝った。
「アキト、こちらはここ辺境領の料理長を務めてくれているラスだ」
「はじめまして、アキトといいます」
ハルの紹介にぺこりと頭を下げて名乗れば、ラスさんは慌てた様子でおじぎを返してくれた。
「あー…俺の事が怖くないんで?」
「はい、怖い所なんて別に無いですから…?」
怖がらせないかなって俺の事を気づかってくれたし、穏やかな声で話しかけてくれる、それにあんなに美味しい料理が作れるなんてすごい。
そんな事を必死になって言いつのれば、料理長さんはホッとした様子で笑ってくれた。
「あの、どの料理もすごく美味しかったです!スープはヌキプル以外の野菜の甘みもあるのにまとまってて、魚料理の焼き加減も素晴らしかったし、あ、あとデザートもすごかったです!」
指折り感想を告げる俺を、ラスさんは笑顔で見守ってくれた。あ、周りを見てみたら、他のみんなも微笑ましい顔で見つめている。
ちょっと暴走しすぎただろうか。
「アキトくんはあれだな、味覚が鋭いんだな」
「そうですか?」
「ああ、スープに使った他の野菜の風味まで言われたのは初めてだ」
ラスさんって、ニコニコ笑うと一気に優しい雰囲気になるんだ。
「ラス、ちなみにアキトは、レーブンとローガンのお気に入りだよ?」
ハルは楽し気に笑いながら、そう呟いた。
え?なんで急にレーブンさんとローガンさんの名前が出てきたんだろう?
不思議に思った俺が首を傾げるのとほぼ同時に、目の前に立っていた料理長さんが口を開いた。
「レーブンとローガンとは…久しぶりに名前を聞いたな!」
まるで懐かしむように笑いながら、料理長さんはぽつりと呟いた。
「顔も見せにこない、バカ息子共だがな」
「え…レーブンさんとローガンさんの…?」
「ああ、俺はあの二人の父だよ」
この細身のおじいさんが、あのレーブンさんとローガンさんのお父さんなの?体型が違いすぎてすぐに信じられない。
びっくりしすぎて大きく目を見開いた俺の反応に、料理長さんは苦笑を洩らした
「あーそうだな、あの二人が俺に似た所というと、目つきと料理の腕ぐらいかな?」
あ、確かに目元の感じと、料理の腕は似てるかもしれない。
「ちなみにあの体格なんかは俺の伴侶にそっくりなんだが」
ふふと楽し気に笑った料理長さんは、ちらりとハルに視線を向けると尋ねた。
「お気に入りってのはどういう意味か聞いて良いかい?ハル様」
「様付けもやめてくれ…」
再び嫌そうに首を振ったハルに、おじいさんは笑いながらすまんすまんと軽く返した。
「まずレーブンは、アキトの事を実のこども扱いしてるな」
「ほ…それはまた予想外じゃな」
あのレーブンがなぁと、料理長さんはかなり楽しそうだ。
「それにローガンは、レーブンの子どもなら俺の甥っ子だなと一緒になって可愛がってる」
「あの二人が…?」
「いつもの食事会にもアキトと俺を招待して、感想を聞き出してるよ」
「アキトくんの舌なら、確かにそうしたくなる気持ちも分かるな」
最初は予定には無かったらしいんだけど、あまりに俺が感動しているからと、気をきかせたケイリーさんが呼んでくれたんだ。
直接感想を伝えたかったから、呼んでくれたのは嬉しい。ただあまりにもどれも美味しかったから、何から感想を伝えれば良いのか悩んでしまう。どこから言うべきかなと考えていると、不意に部屋のドアがノックされた。
「どうぞ」
ケイリーさんの声で広間へと入ってきたのは、ほっそりとした体型をした目つきの鋭い老齢の男性だった。上下共に真っ白な服は清潔感があって、一流の料理人って感じがする。
もし何も言わずに無表情にこちらを見つめられていたら、迫力を感じたかもしれないと思ってしまうぐらいの強面の男性だった。
まあ今は明らかに困った様子で眉を下げているから、威圧感なんて全く無いんだけど。
「あー…領主様がお呼びだと言われて来たんだが…こんなにめでたい場に、ほんとうに俺が顔を出して良かったのか?」
きょろきょろと周りを見回したその男性は、誰にともなくそう尋ねた。
「ああ、何も問題はないよ」
「俺の顔は、怖がられると言ってるだろう?」
そう言いながら、ちらりと俺に視線を向けてきた。ああ、この人もレーブンさんみたいに強面で苦労してる人なのか。それで俺の事を気づかってくれたんだ。
「アキトは全く気にしないよ?」
「ハル坊ちゃん…」
「坊ちゃんはやめてくれ」
嫌そうに首を振ったハルに、男性は苦笑を洩らしてすまないと謝った。
「アキト、こちらはここ辺境領の料理長を務めてくれているラスだ」
「はじめまして、アキトといいます」
ハルの紹介にぺこりと頭を下げて名乗れば、ラスさんは慌てた様子でおじぎを返してくれた。
「あー…俺の事が怖くないんで?」
「はい、怖い所なんて別に無いですから…?」
怖がらせないかなって俺の事を気づかってくれたし、穏やかな声で話しかけてくれる、それにあんなに美味しい料理が作れるなんてすごい。
そんな事を必死になって言いつのれば、料理長さんはホッとした様子で笑ってくれた。
「あの、どの料理もすごく美味しかったです!スープはヌキプル以外の野菜の甘みもあるのにまとまってて、魚料理の焼き加減も素晴らしかったし、あ、あとデザートもすごかったです!」
指折り感想を告げる俺を、ラスさんは笑顔で見守ってくれた。あ、周りを見てみたら、他のみんなも微笑ましい顔で見つめている。
ちょっと暴走しすぎただろうか。
「アキトくんはあれだな、味覚が鋭いんだな」
「そうですか?」
「ああ、スープに使った他の野菜の風味まで言われたのは初めてだ」
ラスさんって、ニコニコ笑うと一気に優しい雰囲気になるんだ。
「ラス、ちなみにアキトは、レーブンとローガンのお気に入りだよ?」
ハルは楽し気に笑いながら、そう呟いた。
え?なんで急にレーブンさんとローガンさんの名前が出てきたんだろう?
不思議に思った俺が首を傾げるのとほぼ同時に、目の前に立っていた料理長さんが口を開いた。
「レーブンとローガンとは…久しぶりに名前を聞いたな!」
まるで懐かしむように笑いながら、料理長さんはぽつりと呟いた。
「顔も見せにこない、バカ息子共だがな」
「え…レーブンさんとローガンさんの…?」
「ああ、俺はあの二人の父だよ」
この細身のおじいさんが、あのレーブンさんとローガンさんのお父さんなの?体型が違いすぎてすぐに信じられない。
びっくりしすぎて大きく目を見開いた俺の反応に、料理長さんは苦笑を洩らした
「あーそうだな、あの二人が俺に似た所というと、目つきと料理の腕ぐらいかな?」
あ、確かに目元の感じと、料理の腕は似てるかもしれない。
「ちなみにあの体格なんかは俺の伴侶にそっくりなんだが」
ふふと楽し気に笑った料理長さんは、ちらりとハルに視線を向けると尋ねた。
「お気に入りってのはどういう意味か聞いて良いかい?ハル様」
「様付けもやめてくれ…」
再び嫌そうに首を振ったハルに、おじいさんは笑いながらすまんすまんと軽く返した。
「まずレーブンは、アキトの事を実のこども扱いしてるな」
「ほ…それはまた予想外じゃな」
あのレーブンがなぁと、料理長さんはかなり楽しそうだ。
「それにローガンは、レーブンの子どもなら俺の甥っ子だなと一緒になって可愛がってる」
「あの二人が…?」
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