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850.ハルの殺気
ハルの言葉でくるりとこちらを振り返った笑顔のケイリーさんは、首を傾げている俺に気づくと一瞬で慌てた表情に変わった。
「すまないね、アキトくん」
最初にそう謝罪の言葉を口にしたケイリーさんは、申し訳なさそうに眉を下げながら続けた。
「決して君の出身地の事を、軽んじてる――というわけじゃないんだよ?嫌だったかい?」
「あ、いえ…気にしないでください」
正直あんまり重く受け止められるよりは、このぐらいのう受け止め方の方が気楽だとすら思う。だから別にそこは、俺は全く気にしてないんだけどね。
でもまあ、ちょっと予想外の反応ではあったな。
俺が異世界人だと知ったら、もっと珍しいものを見たみたいな反応をされるのかなーとなんとなく思ってたから。
それでも良いと思って打ち明けたんだけどさ、そもそも俺が異世界人だって事に驚いた様子がかけらも無いんだよね。
当たり前のように受け入れたうえで、もっとひどい想像について話していたわけで…。
「なぜ、そんなに、落ち着いているのかって、聞いてるんだけど?」
自分の質問に答える様子の無いケイリーさんを、ハルはじっと見つめながら途切れ途切れにもう一度尋ねた。ああ、珍しくハルが苛立ってる。
「あー…えっとな、そもそもの話なんだが、おそらくこの王国で異世界人が一番多いのはうちの領だと思うんだ」
どういう意味だろう?と俺が首を傾げた隣で、ハルはまるで地を這うような低い声で尋ねる。
「は?それはどういう意味だ?」
「あー、これは思った通りの反応だな」
ハルの反応をみて、グレースさんは楽し気に声をあげて笑いだした。
「まず初めに俺の剣と最愛の伴侶に誓って言うが、異世界人が多いと言ってもうちの領が召喚しているわけじゃないからな?その殺気はしまえ」
ケイリーさんはそう言うと、じろりとハルを見据えた。え、殺気出てたの?ハルから?驚いて思わず視線を向ければ、ハルはそっと目を反らしている所だった。
わーこれはたぶん無意識に出た殺気を指摘されて、きまずくなってるやつだ!珍しい姿だとこっそりと喜ぶ俺の視線の先で、ハルは気まずそうに口を開く。
「あー…殺気を出して悪かった。この世界にアキトを呼んだのが―アキトを苦しめたのが―うちの領なのかと勝手に誤解した」
ハルはそう言うと、素直にその場にいる全員に向かって謝罪した。思わず俺も一緒になって頭を下げる。
ハルの謝罪を受けたケイリーさんは、苦笑しながらまあ気持ちは分かると答えた。グレースさんも予想通りすぎて笑えたと豪快に笑っている。
「むしろここで殺気を出さなかったら、俺はハルがアキトくんの伴侶に相応しくないかもと思ったかもな」
ファーガスさんはそう言って、ハルに柔らかく笑いかけた。
え、俺がハルの伴侶に相応しくないとかじゃなくて、ハルが俺の伴侶に相応しくないなの?ハルのお兄さんなのに、ハルに厳しくない?いや、お兄さんだから厳しいんだろうか。
ぐるぐるとそんな事を考えている俺には気づかずに、周りの会話はどんどん続いていく。
「うんうん。ジルをあてはめて考えてみたんだけどさ、今のは俺も殺気出すよ」
仕方ない仕方ないと、ウィリアムさんも軽く受け入れている。
ハルと一緒に順番に視線を向ければ、マチルダさんとジルさん、それにラスさんも笑って頷いてくれた。
後はキースくんだけかなとハルと一緒に視線を向ければ、キースくんは申し訳なさそうにしょんぼりと肩を落としている所だった。
「キースくん?」
「アキトさんが言いたくない事を言わせてしまってごめんなさい」
「ううん。さっきも言ったけど、本当に大丈夫だよ」
「でも、ハル兄が…殺気…」
僕のせいだと呟いた今にも泣き出しそうなキースくんの頭を、隣に座っていたジルさんの手がそっと撫でた。
「キースくん、今のはハルさんのアキトさんへの愛情が、殺気になっただけですよ?」
「愛情が…?」
「ええ。本気でこの場にいる誰かに殺気を飛ばしたわけじゃないです」
ああ、そっか。この領がって言ってたのは、そういう意味だったのか。ジルさんの言葉で、すこしだけあった違和感にやっと納得がいった。
ハルはここにいる誰かが、異世界人を召喚しているのかもと思ったわけじゃない。辺境領の誰かがしているのかもと想像して、つい殺気を洩らしてしまったのか。
それであの殺気は、俺への愛情だと。
「ハル、俺のためにありがとう」
思わずそう口に出して言えば、これだからアキトはと言いながらハルに思いっきり抱きしめられました。
揶揄うように周りから色々な声や笑い声が飛んできたけど、泣きそうだったキースくんが復活したから良しと思う事にしよう。
「すまないね、アキトくん」
最初にそう謝罪の言葉を口にしたケイリーさんは、申し訳なさそうに眉を下げながら続けた。
「決して君の出身地の事を、軽んじてる――というわけじゃないんだよ?嫌だったかい?」
「あ、いえ…気にしないでください」
正直あんまり重く受け止められるよりは、このぐらいのう受け止め方の方が気楽だとすら思う。だから別にそこは、俺は全く気にしてないんだけどね。
でもまあ、ちょっと予想外の反応ではあったな。
俺が異世界人だと知ったら、もっと珍しいものを見たみたいな反応をされるのかなーとなんとなく思ってたから。
それでも良いと思って打ち明けたんだけどさ、そもそも俺が異世界人だって事に驚いた様子がかけらも無いんだよね。
当たり前のように受け入れたうえで、もっとひどい想像について話していたわけで…。
「なぜ、そんなに、落ち着いているのかって、聞いてるんだけど?」
自分の質問に答える様子の無いケイリーさんを、ハルはじっと見つめながら途切れ途切れにもう一度尋ねた。ああ、珍しくハルが苛立ってる。
「あー…えっとな、そもそもの話なんだが、おそらくこの王国で異世界人が一番多いのはうちの領だと思うんだ」
どういう意味だろう?と俺が首を傾げた隣で、ハルはまるで地を這うような低い声で尋ねる。
「は?それはどういう意味だ?」
「あー、これは思った通りの反応だな」
ハルの反応をみて、グレースさんは楽し気に声をあげて笑いだした。
「まず初めに俺の剣と最愛の伴侶に誓って言うが、異世界人が多いと言ってもうちの領が召喚しているわけじゃないからな?その殺気はしまえ」
ケイリーさんはそう言うと、じろりとハルを見据えた。え、殺気出てたの?ハルから?驚いて思わず視線を向ければ、ハルはそっと目を反らしている所だった。
わーこれはたぶん無意識に出た殺気を指摘されて、きまずくなってるやつだ!珍しい姿だとこっそりと喜ぶ俺の視線の先で、ハルは気まずそうに口を開く。
「あー…殺気を出して悪かった。この世界にアキトを呼んだのが―アキトを苦しめたのが―うちの領なのかと勝手に誤解した」
ハルはそう言うと、素直にその場にいる全員に向かって謝罪した。思わず俺も一緒になって頭を下げる。
ハルの謝罪を受けたケイリーさんは、苦笑しながらまあ気持ちは分かると答えた。グレースさんも予想通りすぎて笑えたと豪快に笑っている。
「むしろここで殺気を出さなかったら、俺はハルがアキトくんの伴侶に相応しくないかもと思ったかもな」
ファーガスさんはそう言って、ハルに柔らかく笑いかけた。
え、俺がハルの伴侶に相応しくないとかじゃなくて、ハルが俺の伴侶に相応しくないなの?ハルのお兄さんなのに、ハルに厳しくない?いや、お兄さんだから厳しいんだろうか。
ぐるぐるとそんな事を考えている俺には気づかずに、周りの会話はどんどん続いていく。
「うんうん。ジルをあてはめて考えてみたんだけどさ、今のは俺も殺気出すよ」
仕方ない仕方ないと、ウィリアムさんも軽く受け入れている。
ハルと一緒に順番に視線を向ければ、マチルダさんとジルさん、それにラスさんも笑って頷いてくれた。
後はキースくんだけかなとハルと一緒に視線を向ければ、キースくんは申し訳なさそうにしょんぼりと肩を落としている所だった。
「キースくん?」
「アキトさんが言いたくない事を言わせてしまってごめんなさい」
「ううん。さっきも言ったけど、本当に大丈夫だよ」
「でも、ハル兄が…殺気…」
僕のせいだと呟いた今にも泣き出しそうなキースくんの頭を、隣に座っていたジルさんの手がそっと撫でた。
「キースくん、今のはハルさんのアキトさんへの愛情が、殺気になっただけですよ?」
「愛情が…?」
「ええ。本気でこの場にいる誰かに殺気を飛ばしたわけじゃないです」
ああ、そっか。この領がって言ってたのは、そういう意味だったのか。ジルさんの言葉で、すこしだけあった違和感にやっと納得がいった。
ハルはここにいる誰かが、異世界人を召喚しているのかもと思ったわけじゃない。辺境領の誰かがしているのかもと想像して、つい殺気を洩らしてしまったのか。
それであの殺気は、俺への愛情だと。
「ハル、俺のためにありがとう」
思わずそう口に出して言えば、これだからアキトはと言いながらハルに思いっきり抱きしめられました。
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