生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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875.家族の話と今日の予定

 玄関で執事さんとメイドさん達に丁重に見送られて、俺とハルは領主城前の森へと足を踏み入れた。ここの森は採取地みたいで、やっぱりちょっとワクワクするな。探索してみたいと思ってしまう。

「アキト、俺の家族とも気が合いそうだね」
「うん、みんな良い人だからね!」

 アキトは見た目に惑わされないからなと、ハルはさらりと続けた。全然意味が分からない。それってどういう意味って聞いてみたら、ケイリーさんとファーガスさんは顔が怖いと怖がられる事が多いらしい。

 そんなに怖いと思わなかったんだけどな。

「母さんは冒険者ごときって言われる事もあるし…」

 え、あのものすごく強そうなグレースさんを捕まえて?冒険者ごときって?

「マティさんは美しいすぎると、普通に相手をしてくれる人は少ないらしいよ」

 なるほど。あのものすごい美貌のせいか。でも喋ってみたら、すごく気さくなお姉さんだったよね。

「あー、後ウィル兄とジルさんは、何故か舐められる事が多いんだ」

 ウィリアムさんはあの軽い口調と態度のせいで軽視される事があって、ジルさんはひょろりとした細身の体つきのせいで弱そうと侮られるらしい。

「そんな風には見えないけどなぁ…」
「ウィル兄は自分が軽視されても笑ってるけど、ジルさんが侮られたらすぐに怒りだすんだ」

 あー、うん、そうだろうね。もしハルがそうされたら、俺も怒ると思う。

「ジルさんは逆に自分が侮られても笑ってるけど、ウィル兄が軽視されたら静かに怒るんだよ」
「お似合いの二人って事だね」

 それ以外の感想が出てこないんだけど。ちらりとハルを見れば、ハルは楽し気に笑いだした。

「それにキースがすぐに心を開いたのにも驚いたよ。もっと人見知りする子なんだが…」
「ね、なんだか懐いてくれてる感じがして、すごく嬉しいよ」

 もし弟がいたらこんな感じかなーと思ってると続ければ、弟扱いしてあげてとハルに言われてしまった。

「え、良いの?」
「もちろん。キースも喜ぶし、他のみんなも喜ぶよ」
「今度キースくんに聞いてみようかな」

 ファーガスさんとウィリアムさん、ハルという血の繋がったすごい兄さんがいる上に、ジルさんとマティさんというできる義理の兄と姉もいるんだもんね。

 俺が兄みたいに振る舞って良いと言われたら――にしよう。

 答えは分かってるけど、聞いてみれば良いよとハルは笑みを浮かべた。



 森の中を二人並んでのんびりと歩いていると、自然と話題は今日の予定の話になった。

 行きたい場所も見たい物も、いっぱいあるからね。

「どこに行こうか?」
「んー…ハルはどこがおすすめ?」
「そうだな…やっぱり市場がお勧めなんだけど…今日は買いすぎないようにしないといけないからな」
「あれ?買いすぎないようにって?」

 この世界では買いすぎてしまっても、荷物の重さに苦しめられる事は無いのに?

 不思議に思って思わず首を傾げれば、ハルは苦笑しながら続けた。

「たしかに荷物の重さは魔導収納鞄で何とかできるし、お金もあるからそこは問題無いんだけどね。日持ちのしない食材とかは気を付けないといけないから」
「えーと、まず、なんで食材…?」

 今から食材を買うって宣言してるわけでもないのに?ハルの事だから市場にいっぱい売ってるからとかそういう理由じゃないよね?と尋ねてみる。

「市場に行って、トライプールではあまり見かけない、珍しい食材があったとするよ?」
「うん」

 ラスさんの料理で色々試させてもらってるけど、辺境領特産の野菜とか果物は本当に色々種類があるんだよね。だから、そういう状況になる可能性はたしかに高いと思う。

 想像ができた俺は、こくりとひとつ頷いて同意を返した。

「それを見た時に、レーブンとローガンへのお土産にしたいって思わない?」
「あー…うん、確実に思うね」
「もちろん、買ったら駄目ってわけじゃないよ。日持ちがしないものをたくさん買わないようにすれば良いだけなんだけど」

 細かい事だったかなと少し心配そうなハルに、俺は教えてくれてありがとうと笑ってみせた。

「なるほどーそういう意味か」
「もちろん、気になった野菜を買っていって、ラスに料理に使ってもらうとかなら大丈夫だけどね」
「ラスさんの迷惑にならない?」
「いや、むしろ喜ぶよ」
「そうかな…?」
「レーブンとローガンへのお土産は、トライプールへ戻る日程が決まってからたくさん買い込もうね」

 そんなハルからの嬉しい提案に、俺は何度も頷いた。
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