898 / 1,561
897.出身国を確認
まさかハルが名前を名乗っただけで、ここまでの大騒ぎになるとは想像もしてなかったな。
さすがにハルも予想外だったのかすこし慌ててはいたけど、すぐに立ち直って二人を宥めてくれたんだ。そういう切り替えが早い所も、頼り甲斐があって大好きだ。
ハルが優しい声で説得したおかげで、二人はなんとか落ち着きを取り戻してくれたんだよね。
「あー、とりあえず俺の正体は分かっただろうし、防音結界を作動して良いかな?」
まずはこれを設置したいと魔道具を取り出したハルがそう尋ねれば、レイさんはハイッと即答を返した。
「これ以上ないぐらい信頼できるお方だとはっきりと分かりましたので、どうぞご自由にお使い下さい!」
ピンっと背筋を伸ばしたレイさんの言葉に、ハルは苦笑しながら答える。
「えっと…別に堅苦しい話し方は、しなくて良いからな?」
「…今はまだ…普通に話すのは無理、です…」
いや気持ち的には無理だけど言われたからには何とかしないととでも考えたのか、レイさんの顔色が一気に悪くなった。
「あ、いや別に無理して普通に話さなくても良いんだが…」
「あ、ありがとうございます!」
お礼を口にしたレイさんは、明らかにぎこちない動きでぺこりと頭を下げた。動揺しすぎでどうしてあげたら良いのか分からない。
慣れた様子で防音結界を作動させてくれているハルからそっと目を外せば、動揺しているレイさんを見つめてうっすらと笑っているケンの姿が目に入った。
レイさんは明らかにまだショックを引きずってるみたいだけど、ケンはもうすっかり普通だな。何なら動揺するレイさんの事を、可愛いとか思ってそうなそんな余裕のある表情だ。
もしかしたらさっきの大騒ぎも本気で焦ってたというより、ケンはただあのやりとりを面白がってただけなのかもしれない。
「よし、二人とももう話して良いよ」
無事に魔道具の設置を終えたハルが、俺達に向けてそう声をかけてくれた。
まあショックを受けてないなら良いかと、俺は普通にケンに話しかけた。
「ね、ケンってどこの国出身なの?」
「ん?俺はねー」
普通に答えてくれそうなケンに、俺は慌ててハイッと手をあげた。
「折角だし、同時に言わない?」
「ああ、それは良いな!よーしいくぞー」
せーのと声を合わせてから、俺とケンは揃って口を開いた。
「「日本!」」
「おおーやっぱり同郷か!」
「ゲーミングが分かる時点でそうかなーと思ってたけど、嬉しい!」
「あの七色っぷりはゲーミング野菜だよな?」
「うんうん、あれはすごいゲーミングっぷりだった!」
あ、思わずはしゃいでしまったけど、まずは自己紹介からしたほうが良かったかな。
「あ、俺、フルネームはヒイラギ アキトです」
「お、俺はトキ ケンタだ」
どんな漢字?なんて二人で言い合って、ケンが取り出して渡してくれた紙に漢字で名前を書きあってみる。
俺の苗字はとげとげ葉っぱが特徴の木の柊なんだけど、ケンのトキって苗字は土岐と書くらしい。
二人でわいわいと盛り上がっているのを、ハルとレイさんは何も言わずにただ見守ってくれている。漢字に興味津々みたいですごく視線を感じるんだけど、多分二人とも俺達の交流の邪魔をしないようにって気を使ってくれてるんだと思う。
優しい人達だ。
「あ、そういえばレイ、レイだけちゃんと名乗ってなくない?」
ケンは唐突にそう言うと、レイさんをじっと見つめた。
「…名乗ってなかったな…なんという失態…」
がくりと肩を落としたレイさんに、ケンは笑って答える。
「はいはい、落ち込むのは後にして、自己紹介!」
「えー、アキト様、ハロルド様、俺の名前はレイース・テルカーといいます。以前は衛兵団にいたんですが、今はケンと一緒にこの店をやっています」
元衛兵の人なのか。だからレイさんはさっきからあんなにぎこちないんだろうか。
「へぇ…衛兵団にいたのか!どこの隊だ?」
ハルは衛兵と聞いて、すぐさまそう尋ねた。
「所属はプレール隊でした!」
「ああ、プレールの所か。それじゃあ実力派の場所だな」
「隊へのお誉めの言葉ありがとうございます!」
なんか、市場で会話してた時の印象と全然違うんだけど、レイさん大丈夫だろうか。
さすがにハルも予想外だったのかすこし慌ててはいたけど、すぐに立ち直って二人を宥めてくれたんだ。そういう切り替えが早い所も、頼り甲斐があって大好きだ。
ハルが優しい声で説得したおかげで、二人はなんとか落ち着きを取り戻してくれたんだよね。
「あー、とりあえず俺の正体は分かっただろうし、防音結界を作動して良いかな?」
まずはこれを設置したいと魔道具を取り出したハルがそう尋ねれば、レイさんはハイッと即答を返した。
「これ以上ないぐらい信頼できるお方だとはっきりと分かりましたので、どうぞご自由にお使い下さい!」
ピンっと背筋を伸ばしたレイさんの言葉に、ハルは苦笑しながら答える。
「えっと…別に堅苦しい話し方は、しなくて良いからな?」
「…今はまだ…普通に話すのは無理、です…」
いや気持ち的には無理だけど言われたからには何とかしないととでも考えたのか、レイさんの顔色が一気に悪くなった。
「あ、いや別に無理して普通に話さなくても良いんだが…」
「あ、ありがとうございます!」
お礼を口にしたレイさんは、明らかにぎこちない動きでぺこりと頭を下げた。動揺しすぎでどうしてあげたら良いのか分からない。
慣れた様子で防音結界を作動させてくれているハルからそっと目を外せば、動揺しているレイさんを見つめてうっすらと笑っているケンの姿が目に入った。
レイさんは明らかにまだショックを引きずってるみたいだけど、ケンはもうすっかり普通だな。何なら動揺するレイさんの事を、可愛いとか思ってそうなそんな余裕のある表情だ。
もしかしたらさっきの大騒ぎも本気で焦ってたというより、ケンはただあのやりとりを面白がってただけなのかもしれない。
「よし、二人とももう話して良いよ」
無事に魔道具の設置を終えたハルが、俺達に向けてそう声をかけてくれた。
まあショックを受けてないなら良いかと、俺は普通にケンに話しかけた。
「ね、ケンってどこの国出身なの?」
「ん?俺はねー」
普通に答えてくれそうなケンに、俺は慌ててハイッと手をあげた。
「折角だし、同時に言わない?」
「ああ、それは良いな!よーしいくぞー」
せーのと声を合わせてから、俺とケンは揃って口を開いた。
「「日本!」」
「おおーやっぱり同郷か!」
「ゲーミングが分かる時点でそうかなーと思ってたけど、嬉しい!」
「あの七色っぷりはゲーミング野菜だよな?」
「うんうん、あれはすごいゲーミングっぷりだった!」
あ、思わずはしゃいでしまったけど、まずは自己紹介からしたほうが良かったかな。
「あ、俺、フルネームはヒイラギ アキトです」
「お、俺はトキ ケンタだ」
どんな漢字?なんて二人で言い合って、ケンが取り出して渡してくれた紙に漢字で名前を書きあってみる。
俺の苗字はとげとげ葉っぱが特徴の木の柊なんだけど、ケンのトキって苗字は土岐と書くらしい。
二人でわいわいと盛り上がっているのを、ハルとレイさんは何も言わずにただ見守ってくれている。漢字に興味津々みたいですごく視線を感じるんだけど、多分二人とも俺達の交流の邪魔をしないようにって気を使ってくれてるんだと思う。
優しい人達だ。
「あ、そういえばレイ、レイだけちゃんと名乗ってなくない?」
ケンは唐突にそう言うと、レイさんをじっと見つめた。
「…名乗ってなかったな…なんという失態…」
がくりと肩を落としたレイさんに、ケンは笑って答える。
「はいはい、落ち込むのは後にして、自己紹介!」
「えー、アキト様、ハロルド様、俺の名前はレイース・テルカーといいます。以前は衛兵団にいたんですが、今はケンと一緒にこの店をやっています」
元衛兵の人なのか。だからレイさんはさっきからあんなにぎこちないんだろうか。
「へぇ…衛兵団にいたのか!どこの隊だ?」
ハルは衛兵と聞いて、すぐさまそう尋ねた。
「所属はプレール隊でした!」
「ああ、プレールの所か。それじゃあ実力派の場所だな」
「隊へのお誉めの言葉ありがとうございます!」
なんか、市場で会話してた時の印象と全然違うんだけど、レイさん大丈夫だろうか。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。