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902.ケンの木彫り
俺が一番得意な魔法といわれると、やっぱり土魔法かな。
そう考えた俺が土魔法について詳しく説明すれば、ケンもレイさんもすごく興味深そうに聞いてくれた。
レイさんもあまり魔力が多くはなくて、でも生まれつき身体強化の魔法だけは使えるらしい。
それってたしかブレイズのパーティーの魔法大好きファリーマさんが、遺伝する魔法だって言ってたやつだよね。一応確認してみたら、レイさんのお父さんもやっぱり使えたんだって。
ただ身近な人の中に魔法が得意だという人はいなかったから、あまり魔法には馴染みがないんだって。たしかに見知らぬ人に詳しく魔法について教えてくれとは、なかなか言えないもんな。
「土魔法かーすごいな」
「あの…そのつぶては、その辺りの石や砂を使うんですか?発動できない条件などはありますか?」
興味深そうに尋ねてくれるけど、俺はゆるりと首を傾げた。
「えっと…どうだろう?」
思わずハルを見つめたら、ハルはニコリと笑って答えてくれた。
「ああ、近くに素材になるものがあれば、意識して魔法を発動すればその素材を使えるんだ。だが近くに素材が無い場合は魔力で補って発動できるよ」
俺は魔法は使えるけど理論とかはさっぱり分からないからね。
俺も一緒になってへぇーそうなんだと頷きながら聞いていたら、ケンには呆れられちゃったんだけどね。その隣でレイさんは苦笑してたけど、ハルは何故か嬉しそうに笑ってくれてた。
俺は感覚派だから仕方ないという事にしておいてくれないかな。
魔法についての話が一段落した所で、俺はそっと切り出した。
「ね、もしケンが作った木彫りの作品を見たいなって俺が言いだしたら…困るかな?」
「え?」
「あ、無理だったらはっきり無理って言って欲しい!」
さっき木彫りだけは褒められたんだって話を聞いた時から、ずっと気になってたんだよね。一体ケンはどんな木彫りを作ってるのかなーって。
お店をやってるぐらいだから見られるのが恥ずかしいって事は無いだろうけど、ケンの都合もあると思うからね。
「でももし大丈夫なら、見せて欲しいなって思ったんだ」
断られる可能性も考えて、それでも好奇心を抑えられなかった。そんな俺の申し出に、ケンは快く頷いてくれた。いや、快くというより大喜びで――かな。
「え、俺の作品見てくれんの?わ、じゃあこっち来て、こっち!」
ケンはニコニコ笑顔で、すぐにスクッと立ち上がった。
「あ、ケンさん、もし良ければ俺も見せてもらっても良いか?」
俺の横から慌ててそう声をかけたハルに、ケンは更に笑みを深くした。見られても良いって言うよりも、見て欲しいって感じだ。
うん、嫌がられるような事じゃなかったみたいで良かった。
「うん、もちろんだよ!ほらこっち!」
弾むようにご機嫌で歩き出したケンが目指しているのは、どうやら廊下の隅にあるカーテンのような布の前みたいだ。
ケンの背中を眺めながら追いかける俺達に、レイさんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「あー…あそこの布の奥が店に繋がってるんです。説明もせずにすみません」
自分の作品を見たいって言われたのが、よっぽど嬉しかったみたいですとレイさんはこそりと教えてくれた。
「レイさんが代わりに説明してくれたんだから、問題は無いさ」
「うん、見たいって言ったのは俺達だし」
「ありがとうございます」
こそこそと俺達がそんな事を話している間に布の前に辿り着いたケンは、パッとこちらを振り返った。
「こっちこっち」
ニコニコ笑顔で手招きされた俺たちは、慌ててケンに近づいた。
「じゃじゃーん」
そんな声と共にケンはさっと布を引いてくれたんだけど、お店の中は薄暗くて何も見えなかった。
お店の中が暗いってのもあるし、ついさっきまで明るい部屋にいたから俺達の目が慣れてないのもあるかもしれない。
「あーそっか。ちょっとだけここで待っててねー」
ケンはそう言うと、スタスタと慣れた様子で迷いなく真っ暗な部屋の中へと入っていった。
ほどなく部屋中に魔道具の明かりがともった。外からお店をみた時の印象と同じ赤と黒基調のテーブルや棚の上には、ずらりと細かな彫刻の施された木彫りが並んでいる。
「うわぁーすごい量!これ全部ケンが?」
「うん、そうだよ。全部俺が作ったやつ」
そう考えた俺が土魔法について詳しく説明すれば、ケンもレイさんもすごく興味深そうに聞いてくれた。
レイさんもあまり魔力が多くはなくて、でも生まれつき身体強化の魔法だけは使えるらしい。
それってたしかブレイズのパーティーの魔法大好きファリーマさんが、遺伝する魔法だって言ってたやつだよね。一応確認してみたら、レイさんのお父さんもやっぱり使えたんだって。
ただ身近な人の中に魔法が得意だという人はいなかったから、あまり魔法には馴染みがないんだって。たしかに見知らぬ人に詳しく魔法について教えてくれとは、なかなか言えないもんな。
「土魔法かーすごいな」
「あの…そのつぶては、その辺りの石や砂を使うんですか?発動できない条件などはありますか?」
興味深そうに尋ねてくれるけど、俺はゆるりと首を傾げた。
「えっと…どうだろう?」
思わずハルを見つめたら、ハルはニコリと笑って答えてくれた。
「ああ、近くに素材になるものがあれば、意識して魔法を発動すればその素材を使えるんだ。だが近くに素材が無い場合は魔力で補って発動できるよ」
俺は魔法は使えるけど理論とかはさっぱり分からないからね。
俺も一緒になってへぇーそうなんだと頷きながら聞いていたら、ケンには呆れられちゃったんだけどね。その隣でレイさんは苦笑してたけど、ハルは何故か嬉しそうに笑ってくれてた。
俺は感覚派だから仕方ないという事にしておいてくれないかな。
魔法についての話が一段落した所で、俺はそっと切り出した。
「ね、もしケンが作った木彫りの作品を見たいなって俺が言いだしたら…困るかな?」
「え?」
「あ、無理だったらはっきり無理って言って欲しい!」
さっき木彫りだけは褒められたんだって話を聞いた時から、ずっと気になってたんだよね。一体ケンはどんな木彫りを作ってるのかなーって。
お店をやってるぐらいだから見られるのが恥ずかしいって事は無いだろうけど、ケンの都合もあると思うからね。
「でももし大丈夫なら、見せて欲しいなって思ったんだ」
断られる可能性も考えて、それでも好奇心を抑えられなかった。そんな俺の申し出に、ケンは快く頷いてくれた。いや、快くというより大喜びで――かな。
「え、俺の作品見てくれんの?わ、じゃあこっち来て、こっち!」
ケンはニコニコ笑顔で、すぐにスクッと立ち上がった。
「あ、ケンさん、もし良ければ俺も見せてもらっても良いか?」
俺の横から慌ててそう声をかけたハルに、ケンは更に笑みを深くした。見られても良いって言うよりも、見て欲しいって感じだ。
うん、嫌がられるような事じゃなかったみたいで良かった。
「うん、もちろんだよ!ほらこっち!」
弾むようにご機嫌で歩き出したケンが目指しているのは、どうやら廊下の隅にあるカーテンのような布の前みたいだ。
ケンの背中を眺めながら追いかける俺達に、レイさんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「あー…あそこの布の奥が店に繋がってるんです。説明もせずにすみません」
自分の作品を見たいって言われたのが、よっぽど嬉しかったみたいですとレイさんはこそりと教えてくれた。
「レイさんが代わりに説明してくれたんだから、問題は無いさ」
「うん、見たいって言ったのは俺達だし」
「ありがとうございます」
こそこそと俺達がそんな事を話している間に布の前に辿り着いたケンは、パッとこちらを振り返った。
「こっちこっち」
ニコニコ笑顔で手招きされた俺たちは、慌ててケンに近づいた。
「じゃじゃーん」
そんな声と共にケンはさっと布を引いてくれたんだけど、お店の中は薄暗くて何も見えなかった。
お店の中が暗いってのもあるし、ついさっきまで明るい部屋にいたから俺達の目が慣れてないのもあるかもしれない。
「あーそっか。ちょっとだけここで待っててねー」
ケンはそう言うと、スタスタと慣れた様子で迷いなく真っ暗な部屋の中へと入っていった。
ほどなく部屋中に魔道具の明かりがともった。外からお店をみた時の印象と同じ赤と黒基調のテーブルや棚の上には、ずらりと細かな彫刻の施された木彫りが並んでいる。
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