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954.【ハル視点】和やかな食事
本気でやりたいと言うならやってみても良いと俺は思うんだが、アキトの反応からして本当にただ感心しただけだろうな。盾を持ちたいと本気で考えてる様子はない。
しかし盾か…もし俺が大きな盾を使いこなせるようになれば、よりアキトの安全を確保できるよな。後衛に攻撃が行かないようにするとしたら、盾の種もよく考えないといけないか。
色々と考えている間に、サイクさんはホッとした様子で続けた。
「はーもし俺の言葉がきっかけで、今から特訓を始めるって言われたらどうしようかと思ったよ」
サイクさんは肩の力を抜くと、ふにゃりと笑みを浮かべた。
「本気でやりたいって言うなら好きにすりゃあいいんだが、向いてないと今までの努力が無駄になる事もあるからな」
そうか。さっきの質問は、それでも本当にやりたいのかどうかを聞きたかったのか。慣れない事に挑戦するのは良いが、安全を確保した上で行わないと命に関わるからな。
「サイクさん、アキトの事を心配してくれてありがとう」
思わずそう声をかければ、サイクさんはふっと笑みを浮かべた。
「あーまあハルがついてりゃ大丈夫か」
サイクさんはそれじゃあそろそろ飯食おうぜと声をあげた。もちろん俺とアキトもその意見には賛成だ。
「あ、そうだ、サイクさん、野菜はあまり好きじゃないとかあるか?」
「んー野菜か…特別好きってわけじゃねぇが、ダンジョンではあまり食えないからありがてぇな」
もう俺は遠慮はしないぞと笑ったサイクさんは、さらりとそう答えてくれた。
「それなら良かった、これなんだが」
そう前置きして魔導収納鞄から取り出したのは、ラスが作った美味そうなサラダだ。既にドレッシングで和えられているサラダなんだが、さすがラスと言いたくなるぐらい彩りにもこだわった逸品だ。
「こりゃあまた…食材の数もすげぇがうまそうだな」
ああ、食べたら驚くほど美味いぞと心の中で答えながら、俺は口を開いた。
「うちの料理長が腕を振るってくれてね」
「はーつまりこれは領主様のおかかえ料理長の料理って事か。それはまたすごいもんを…」
「まあ今日はダンジョンに行くって聞いた料理長から、野菜も少しは食べて欲しいと持たされたんだけどな」
しかも自分は夜の料理の仕込みで忙しい時間帯だからと、わざわざ執事を介して届けられたものだ。どれだけアキトに食べてもらいたかったんだろうな。
当のアキトは自分のための料理だとは気づかずに、さすがラスさんだとニコニコと笑っている。
もの言いたげにちらりとアキトを見れば、サイクさんはあっさりと俺の視線の意味に気づいてくれた。
「あー…なるほど、アキトのためなのか?」
「ああ、孫認定して可愛がっててな」
え、俺のためなの?と言いたげなアキトを見てクスリと笑ったサイクさんは、俺に向かって尋ねた。
「そんな料理を俺も食べて良いのか?」
「もちろんだ」
「アキトも良いのか?」
「はい、美味しいものは皆で食べるっていうのです!」
にっこり笑って答えたアキトに、俺とサイクさんは思わず揃って声をあげて笑ってしまった。
しょくパンというのは周りの焼き色が付いた部分は少し硬く、真っ白な部分は今までに食べた事がないほどにふわふわだった。何もつけずに齧るだけでも、驚くほどに美味い。
ふと気づくとアキトは懐かしそうな顔をして、しょくパンを口に運んでいた。これはもしかして異世界のパンなのか?そう考えれば、作り方を広めようとした製作者の気持ちも理解できてしまう。
どこででも当たり前に食べられるようにしようと、してくれているんだろうな。
「めちゃくちゃ美味しい」
「そりゃあ良かった。俺もこのサラダは驚いたよ」
例え野菜が嫌いな奴でも、このサラダなら食べれるかもってぐらい美味い。料理長さんは天才だなと言って、サイクさんは嬉しそうに野菜を頬張っている。
ラスの事を褒められたアキトは、本当に祖父を褒められたようなニコニコ笑顔で笑っている。
サイクさんと食べたという事と、褒められた事、それにそれを聞いたアキトがニコニコと喜んでいた事もラスには報告しないといけないな。
そんな事を考えながら、俺はくるりと肉の刺さった串の位置を移動させた。どうせなら美味い肉も食べたいなと、さっきこっそりと用意して焼き出したものだ。
うん、そろそろ良い焼き加減だな。
「サイクさん、アキト。ほら、肉も焼けたぞ?」
俺はいそいそと焼けたばかりの肉串を、アキトとサイクさんのお皿に取り分けた。
「美味しそう!」
「ああ、これは絶対に美味いな!」
アキトとサイクさんは揃って鼻をひくひくと動かしている。ただ調味料をかけて焼いただけだが、そう言ってくれると嬉しいものだな。
大きく口を開いてかぶりついたアキトは、んーっと声をあげた。よし、本当に美味しい時の反応だな。
「うっわ…美味しい!しかも肉汁すごい!ハル天才!」
天才とまで言ってくれるのか。
「褒めてくれてありがとう」
「…いや、ハルは本当に天才じゃないか…?何だこの肉、うっまっ!」
サイクさんもそう言うなり、しげしげと肉を見つめている。
「これはウリルカの肉だよ」
「ウリルカって…よく手に入ったな」
「ああ、これは市場で見つけてね、アキトに食べさせたくて」
買っちゃったんだと笑って答えれば、サイクさんは幸せそうで何よりだなとまるで自分の事のように嬉しそうに笑ってくれた。
しかし盾か…もし俺が大きな盾を使いこなせるようになれば、よりアキトの安全を確保できるよな。後衛に攻撃が行かないようにするとしたら、盾の種もよく考えないといけないか。
色々と考えている間に、サイクさんはホッとした様子で続けた。
「はーもし俺の言葉がきっかけで、今から特訓を始めるって言われたらどうしようかと思ったよ」
サイクさんは肩の力を抜くと、ふにゃりと笑みを浮かべた。
「本気でやりたいって言うなら好きにすりゃあいいんだが、向いてないと今までの努力が無駄になる事もあるからな」
そうか。さっきの質問は、それでも本当にやりたいのかどうかを聞きたかったのか。慣れない事に挑戦するのは良いが、安全を確保した上で行わないと命に関わるからな。
「サイクさん、アキトの事を心配してくれてありがとう」
思わずそう声をかければ、サイクさんはふっと笑みを浮かべた。
「あーまあハルがついてりゃ大丈夫か」
サイクさんはそれじゃあそろそろ飯食おうぜと声をあげた。もちろん俺とアキトもその意見には賛成だ。
「あ、そうだ、サイクさん、野菜はあまり好きじゃないとかあるか?」
「んー野菜か…特別好きってわけじゃねぇが、ダンジョンではあまり食えないからありがてぇな」
もう俺は遠慮はしないぞと笑ったサイクさんは、さらりとそう答えてくれた。
「それなら良かった、これなんだが」
そう前置きして魔導収納鞄から取り出したのは、ラスが作った美味そうなサラダだ。既にドレッシングで和えられているサラダなんだが、さすがラスと言いたくなるぐらい彩りにもこだわった逸品だ。
「こりゃあまた…食材の数もすげぇがうまそうだな」
ああ、食べたら驚くほど美味いぞと心の中で答えながら、俺は口を開いた。
「うちの料理長が腕を振るってくれてね」
「はーつまりこれは領主様のおかかえ料理長の料理って事か。それはまたすごいもんを…」
「まあ今日はダンジョンに行くって聞いた料理長から、野菜も少しは食べて欲しいと持たされたんだけどな」
しかも自分は夜の料理の仕込みで忙しい時間帯だからと、わざわざ執事を介して届けられたものだ。どれだけアキトに食べてもらいたかったんだろうな。
当のアキトは自分のための料理だとは気づかずに、さすがラスさんだとニコニコと笑っている。
もの言いたげにちらりとアキトを見れば、サイクさんはあっさりと俺の視線の意味に気づいてくれた。
「あー…なるほど、アキトのためなのか?」
「ああ、孫認定して可愛がっててな」
え、俺のためなの?と言いたげなアキトを見てクスリと笑ったサイクさんは、俺に向かって尋ねた。
「そんな料理を俺も食べて良いのか?」
「もちろんだ」
「アキトも良いのか?」
「はい、美味しいものは皆で食べるっていうのです!」
にっこり笑って答えたアキトに、俺とサイクさんは思わず揃って声をあげて笑ってしまった。
しょくパンというのは周りの焼き色が付いた部分は少し硬く、真っ白な部分は今までに食べた事がないほどにふわふわだった。何もつけずに齧るだけでも、驚くほどに美味い。
ふと気づくとアキトは懐かしそうな顔をして、しょくパンを口に運んでいた。これはもしかして異世界のパンなのか?そう考えれば、作り方を広めようとした製作者の気持ちも理解できてしまう。
どこででも当たり前に食べられるようにしようと、してくれているんだろうな。
「めちゃくちゃ美味しい」
「そりゃあ良かった。俺もこのサラダは驚いたよ」
例え野菜が嫌いな奴でも、このサラダなら食べれるかもってぐらい美味い。料理長さんは天才だなと言って、サイクさんは嬉しそうに野菜を頬張っている。
ラスの事を褒められたアキトは、本当に祖父を褒められたようなニコニコ笑顔で笑っている。
サイクさんと食べたという事と、褒められた事、それにそれを聞いたアキトがニコニコと喜んでいた事もラスには報告しないといけないな。
そんな事を考えながら、俺はくるりと肉の刺さった串の位置を移動させた。どうせなら美味い肉も食べたいなと、さっきこっそりと用意して焼き出したものだ。
うん、そろそろ良い焼き加減だな。
「サイクさん、アキト。ほら、肉も焼けたぞ?」
俺はいそいそと焼けたばかりの肉串を、アキトとサイクさんのお皿に取り分けた。
「美味しそう!」
「ああ、これは絶対に美味いな!」
アキトとサイクさんは揃って鼻をひくひくと動かしている。ただ調味料をかけて焼いただけだが、そう言ってくれると嬉しいものだな。
大きく口を開いてかぶりついたアキトは、んーっと声をあげた。よし、本当に美味しい時の反応だな。
「うっわ…美味しい!しかも肉汁すごい!ハル天才!」
天才とまで言ってくれるのか。
「褒めてくれてありがとう」
「…いや、ハルは本当に天才じゃないか…?何だこの肉、うっまっ!」
サイクさんもそう言うなり、しげしげと肉を見つめている。
「これはウリルカの肉だよ」
「ウリルカって…よく手に入ったな」
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