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962.ラスさん頼り
突然ルダリオンのお肉を取り出した俺のせいであれから結構な騒ぎになったんだけど、結局誰一人として俺とハルを責めたりはしなかった。
ただただ俺達の無事を喜んでくれて、さすがだと心から褒めてくれて、そして倒してくれてありがとうとお礼の言葉まで言ってくれたんだんだ。さすがハルの家族だよね。
ちなみにルダリオンのお肉を渡した料理長のラスさんからは、良い食材だな、俺にまかせろと力強い言葉を貰ったよ。
ラスさんによると、なんでもルダリオンの肉は数日寝かせて熟成させた方が、更に美味しくなるらしいんだ。だから今日食べてしまうのは、あまりにももったいないらしい。
それを聞いた俺とハルは、ラスさんにまかせて良かったねと小声で声をかけあった。
だって熟成された方が美味しいとか全く知らなかったからね。もし自分たちで調理なんて事になってたら、適当に切り分けて焼こうとしてたかもしれない。
「ルダリオンの肉は俺も食べた事が無いな」
「俺も無いなー」
ファーガスさんとウィリアムさんの言葉に、マチルダさんとジルさんもうんうんと頷いている。
「俺も無いよ。そもそも滅多に出てこない魔物だしな」
無理もないさと笑ったハルに、俺はゆるりと首を傾げて尋ねた。
「え、そうなんだ?」
「そもそも森まで出てくるのが珍しいんだよ」
普通は険しい山の辺りに生息してる魔物なんだと、ハルが教えてくれた。
「そうか。みんな食べた事が無いのか。俺は昔食べた事なら…一応あるんだが…あれは熟成はさせてなかったからな」
それほど美味くは無かった覚えがあると、ケイリーさんは苦笑いを浮かべている。
「まあ、きちんと熟成させてなければ、そんなもんだろうな」
しかもただ時間を置けば良いとかそういうのじゃないからなと、ラスさんはさらりと続けた。決まった香草を刷り込んで数時間置いてからそれをふき取り、さらに調味料を少しずつしみ込ませるのが大事なんだって。そんな大変な手間がかかる食材なんだ。
「あの…お土産って言ったけど、そんな手間のかかるものだとは知らなくて」
ごめんなさいと思わず声をかければ、ラスさんはいいやとすぐに首を振ってから答えた。
「滅多に取り扱えない珍しい食材だぞ?料理人としては最高の土産だ。大丈夫。一番美味い状態で食べて貰えるように責任もって調理するからな」
俺にまかせろってとニヤリと笑って告げたラスさんのあまりの頼もしさに、思わず抱き着いちゃったよね。
急に抱き着かれたラスさんはかなり驚いてたけど、ハルも他のみんなも楽しそうに笑ってくれた。
「おい、お前の伴侶候補なのに良いのかよ」
慌てて尋ねたラスさんに、ハルはむしろにっこりと笑って答えた。
「孫が祖父に抱き着いて何が悪いんだ?ラスはアキトによこしまな気持ちなんて持ってないだろう」
「そりゃあもちろん無いが…」
「なら何も問題は無いさ」
アキトも幸せそうだしなと付け加えてくれたハルに、惚れ直しちゃったよ。
ラスさんが腕を振るうと約束してくれたルダリオンの熟成は、最低でもこれから三日程はかかるらしい。
「熟成さえ終われば調理はいつでも良いんだが…いつにする?」
ラスさんは俺とハルに向かって、そう質問してくれた。ハルはアキトが決めて良いよとさらりと決定権を譲ってくれたんだけど、俺の答えはもう決まってる。
「それなら、グレースさんも帰ってきてから、全員で食べたいです」
「アキトくん!」
あ、ケイリーさんが感極まった顔で俺を見つめている。
「グレースのためにありがとう」
「あ、いえ…そんな」
父さん喜びすぎーなんて揶揄いまじりのウィリアムさんの声を聞きながら、俺はもう一度口を開いた。
だってこの感じ、多分俺の言いたかった事伝わってないよね?
あ、でも勝手に決めたら駄目かと、ラスさんに視線を向ける。
「ラスさん」
「ん?どうした?」
「あの、たっぷり量はあるので…もし可能なら、使用人の人達にも食べてもらいたいと思ったんですけど…熟成の手間が増えすぎますか?」
無理なら無理で大丈夫ですけどと声をかければ、ラスさんはきょとんと俺を見つめて固まってしまった。
「やっぱり無理…ですか?」
「いや、仕込みの方は別に無理じゃないんだが…珍しい食材なのに良いのか?」
「はい!お世話になってるので、ぜひ!」
サイクさんが言ってた、美味しいものは皆で食べるってやつ使用人の人達ともしたいなと思ったんだ。
ただただ俺達の無事を喜んでくれて、さすがだと心から褒めてくれて、そして倒してくれてありがとうとお礼の言葉まで言ってくれたんだんだ。さすがハルの家族だよね。
ちなみにルダリオンのお肉を渡した料理長のラスさんからは、良い食材だな、俺にまかせろと力強い言葉を貰ったよ。
ラスさんによると、なんでもルダリオンの肉は数日寝かせて熟成させた方が、更に美味しくなるらしいんだ。だから今日食べてしまうのは、あまりにももったいないらしい。
それを聞いた俺とハルは、ラスさんにまかせて良かったねと小声で声をかけあった。
だって熟成された方が美味しいとか全く知らなかったからね。もし自分たちで調理なんて事になってたら、適当に切り分けて焼こうとしてたかもしれない。
「ルダリオンの肉は俺も食べた事が無いな」
「俺も無いなー」
ファーガスさんとウィリアムさんの言葉に、マチルダさんとジルさんもうんうんと頷いている。
「俺も無いよ。そもそも滅多に出てこない魔物だしな」
無理もないさと笑ったハルに、俺はゆるりと首を傾げて尋ねた。
「え、そうなんだ?」
「そもそも森まで出てくるのが珍しいんだよ」
普通は険しい山の辺りに生息してる魔物なんだと、ハルが教えてくれた。
「そうか。みんな食べた事が無いのか。俺は昔食べた事なら…一応あるんだが…あれは熟成はさせてなかったからな」
それほど美味くは無かった覚えがあると、ケイリーさんは苦笑いを浮かべている。
「まあ、きちんと熟成させてなければ、そんなもんだろうな」
しかもただ時間を置けば良いとかそういうのじゃないからなと、ラスさんはさらりと続けた。決まった香草を刷り込んで数時間置いてからそれをふき取り、さらに調味料を少しずつしみ込ませるのが大事なんだって。そんな大変な手間がかかる食材なんだ。
「あの…お土産って言ったけど、そんな手間のかかるものだとは知らなくて」
ごめんなさいと思わず声をかければ、ラスさんはいいやとすぐに首を振ってから答えた。
「滅多に取り扱えない珍しい食材だぞ?料理人としては最高の土産だ。大丈夫。一番美味い状態で食べて貰えるように責任もって調理するからな」
俺にまかせろってとニヤリと笑って告げたラスさんのあまりの頼もしさに、思わず抱き着いちゃったよね。
急に抱き着かれたラスさんはかなり驚いてたけど、ハルも他のみんなも楽しそうに笑ってくれた。
「おい、お前の伴侶候補なのに良いのかよ」
慌てて尋ねたラスさんに、ハルはむしろにっこりと笑って答えた。
「孫が祖父に抱き着いて何が悪いんだ?ラスはアキトによこしまな気持ちなんて持ってないだろう」
「そりゃあもちろん無いが…」
「なら何も問題は無いさ」
アキトも幸せそうだしなと付け加えてくれたハルに、惚れ直しちゃったよ。
ラスさんが腕を振るうと約束してくれたルダリオンの熟成は、最低でもこれから三日程はかかるらしい。
「熟成さえ終われば調理はいつでも良いんだが…いつにする?」
ラスさんは俺とハルに向かって、そう質問してくれた。ハルはアキトが決めて良いよとさらりと決定権を譲ってくれたんだけど、俺の答えはもう決まってる。
「それなら、グレースさんも帰ってきてから、全員で食べたいです」
「アキトくん!」
あ、ケイリーさんが感極まった顔で俺を見つめている。
「グレースのためにありがとう」
「あ、いえ…そんな」
父さん喜びすぎーなんて揶揄いまじりのウィリアムさんの声を聞きながら、俺はもう一度口を開いた。
だってこの感じ、多分俺の言いたかった事伝わってないよね?
あ、でも勝手に決めたら駄目かと、ラスさんに視線を向ける。
「ラスさん」
「ん?どうした?」
「あの、たっぷり量はあるので…もし可能なら、使用人の人達にも食べてもらいたいと思ったんですけど…熟成の手間が増えすぎますか?」
無理なら無理で大丈夫ですけどと声をかければ、ラスさんはきょとんと俺を見つめて固まってしまった。
「やっぱり無理…ですか?」
「いや、仕込みの方は別に無理じゃないんだが…珍しい食材なのに良いのか?」
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