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964.ジルさんのお誘い
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数日前から始まったハルの早朝訓練への参加。
出来る事なら見にいきたいなーとは俺もずっと思ってたんだ。でもあんなに真剣な顔をして強くなりたいって言ってるハルに、気軽に訓練の見学に行きたいなんてとても言えなかった。ハルの邪魔には、なりたくないからね。
それならいっそ俺も訓練に参加させてもらえば良いんじゃないか。そうも考えたけど、それも今はまだ無理なんだよね。
だって王都に行ったグレースさんが、まだ辺境領に帰って来てないから。
俺の魔法を披露するのはグレースさんも帰ってからって約束だからね。
あ、ちなみにあまりにも帰って来るのが遅いと心配したケイリーさんが、数日前に魔道具を使ってグレースさんに手紙を送ったんだ。そしたら、すぐに返事は返ってきたんだ。
もう少しかかりそうだってそれだけを書いてある手紙だったけど、ケイリーさんいわくグレースさんの直筆の文字だから少なくとも元気なのは確かだと笑ってた。
その手紙を俺も見せてもらったけど、びっくりするぐらい綺麗な文字だったよ。
「グレースは字も美しいんだよな」
幸せそうに微笑みながら大事に手紙をしまいこむケイリーさんを見て、さすがハルのお父さんだなーとしみじみと実感してしまった。
訓練が見たいとも言えず、自分が参加する事もできない。
そんな状況だからさすがに見にいくのは無理だよねと諦めかけた時、声をかけてくれたのが今俺の隣を歩いているジルさんだった。
あの日は目が覚めてしまったからと部屋を出たら、待機してくれていたメイドさんからお茶をいかがですかと声をかけてもらったんだ。
それで応接室で本を読みながらお茶を楽しんでいるところに、偶然ジルさんが来たんだよね。
「あれ、ジルさん訓練の時間なんじゃ…?」
ジルさんも騎士団に所属してるはずだからと尋ねてみれば、ジルさんはあっさりと答えてくれた。
「ああ、あれは全員参加というわけでは無いんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、日中の訓練にはもちろん全員参加のものもありますが…早朝訓練への参加は自由ですね」
参加条件はもっと強くなりたいという意思がある事、かつ絶対に自分の受け持つ仕事に悪影響を与えない事らしい。
早朝訓練に参加したせいで仕事の手を抜いたりしたら、罰として数回は参加させて貰えなくなったりもするんだって。
ちなみにその辺りの判断は、全てファーガスさんが行っているそうだ。
「じゃあファーガスさんはいつも参加してるんですか?」
「ええ、そうですね」
「えっと…じゃあウィリアムさんは?」
「ウィルは気が向けば参加するぐらいで、常に参加してるわけでは無いですよ」
そうなんだ。
ジルさんによると、早朝訓練はウェルマール騎士団が主体になって行ってはいるが、騎士団員では無い人の参加も随時受け入れているらしい。
何が強くなるきっかけになるか分からないからって、昔からの伝統なんだって。だから衛兵や冒険者、それに一般の領民の中からも、訓練に参加する人はいるそうだ。
うーん、やっぱりこの領ってすごい場所だね。
「ある程度早朝訓練については分かりましたか?」
「はい、説明ありがとうございます」
「では、アキトさん。率直に尋ねますが、早朝訓練を見てみたくは無いですか?」
「ぜひ見たいです!」
元気に答えた俺に、ジルさんは嬉しそうに笑ってくれた。
「でも、良いんですか?ジルさんは忙しいのに…」
騎士団の事に、他の部署の書類仕事、文官時代の仕事までしてるジルさんは、本当に忙しそうなんだよね。俺のために無理をしてくれるつもりなら申し訳ないなと思ってそう聞いてみたんだけど、ジルさんの返事は意外なものだった。
「おそらくハルさんが参加をし始めた数日前から、ウィルも毎日参加しているんです」
そうなんですかと頷いてみれば、ジルさんは恥ずかしそうにうっすらと頬を染めて続けたんだ。
「私も久しぶりに、本気で訓練に励むウィルの姿が見たいなと…そう思ったんですよ」
照れながらもそう教えてくれたジルさんのあまりに可愛らしい姿に、なんでここにウィルさんがいないんだろうなんて考えてしまった。いつも真面目でしっかりしてるジルさんの照れ笑いって、破壊力がすごいんだな。
「ただ折角なら、一緒にどうだろうと思って誘いに来ました」
「そういう事なら、ぜひご一緒したいです!」
出来る事なら見にいきたいなーとは俺もずっと思ってたんだ。でもあんなに真剣な顔をして強くなりたいって言ってるハルに、気軽に訓練の見学に行きたいなんてとても言えなかった。ハルの邪魔には、なりたくないからね。
それならいっそ俺も訓練に参加させてもらえば良いんじゃないか。そうも考えたけど、それも今はまだ無理なんだよね。
だって王都に行ったグレースさんが、まだ辺境領に帰って来てないから。
俺の魔法を披露するのはグレースさんも帰ってからって約束だからね。
あ、ちなみにあまりにも帰って来るのが遅いと心配したケイリーさんが、数日前に魔道具を使ってグレースさんに手紙を送ったんだ。そしたら、すぐに返事は返ってきたんだ。
もう少しかかりそうだってそれだけを書いてある手紙だったけど、ケイリーさんいわくグレースさんの直筆の文字だから少なくとも元気なのは確かだと笑ってた。
その手紙を俺も見せてもらったけど、びっくりするぐらい綺麗な文字だったよ。
「グレースは字も美しいんだよな」
幸せそうに微笑みながら大事に手紙をしまいこむケイリーさんを見て、さすがハルのお父さんだなーとしみじみと実感してしまった。
訓練が見たいとも言えず、自分が参加する事もできない。
そんな状況だからさすがに見にいくのは無理だよねと諦めかけた時、声をかけてくれたのが今俺の隣を歩いているジルさんだった。
あの日は目が覚めてしまったからと部屋を出たら、待機してくれていたメイドさんからお茶をいかがですかと声をかけてもらったんだ。
それで応接室で本を読みながらお茶を楽しんでいるところに、偶然ジルさんが来たんだよね。
「あれ、ジルさん訓練の時間なんじゃ…?」
ジルさんも騎士団に所属してるはずだからと尋ねてみれば、ジルさんはあっさりと答えてくれた。
「ああ、あれは全員参加というわけでは無いんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、日中の訓練にはもちろん全員参加のものもありますが…早朝訓練への参加は自由ですね」
参加条件はもっと強くなりたいという意思がある事、かつ絶対に自分の受け持つ仕事に悪影響を与えない事らしい。
早朝訓練に参加したせいで仕事の手を抜いたりしたら、罰として数回は参加させて貰えなくなったりもするんだって。
ちなみにその辺りの判断は、全てファーガスさんが行っているそうだ。
「じゃあファーガスさんはいつも参加してるんですか?」
「ええ、そうですね」
「えっと…じゃあウィリアムさんは?」
「ウィルは気が向けば参加するぐらいで、常に参加してるわけでは無いですよ」
そうなんだ。
ジルさんによると、早朝訓練はウェルマール騎士団が主体になって行ってはいるが、騎士団員では無い人の参加も随時受け入れているらしい。
何が強くなるきっかけになるか分からないからって、昔からの伝統なんだって。だから衛兵や冒険者、それに一般の領民の中からも、訓練に参加する人はいるそうだ。
うーん、やっぱりこの領ってすごい場所だね。
「ある程度早朝訓練については分かりましたか?」
「はい、説明ありがとうございます」
「では、アキトさん。率直に尋ねますが、早朝訓練を見てみたくは無いですか?」
「ぜひ見たいです!」
元気に答えた俺に、ジルさんは嬉しそうに笑ってくれた。
「でも、良いんですか?ジルさんは忙しいのに…」
騎士団の事に、他の部署の書類仕事、文官時代の仕事までしてるジルさんは、本当に忙しそうなんだよね。俺のために無理をしてくれるつもりなら申し訳ないなと思ってそう聞いてみたんだけど、ジルさんの返事は意外なものだった。
「おそらくハルさんが参加をし始めた数日前から、ウィルも毎日参加しているんです」
そうなんですかと頷いてみれば、ジルさんは恥ずかしそうにうっすらと頬を染めて続けたんだ。
「私も久しぶりに、本気で訓練に励むウィルの姿が見たいなと…そう思ったんですよ」
照れながらもそう教えてくれたジルさんのあまりに可愛らしい姿に、なんでここにウィルさんがいないんだろうなんて考えてしまった。いつも真面目でしっかりしてるジルさんの照れ笑いって、破壊力がすごいんだな。
「ただ折角なら、一緒にどうだろうと思って誘いに来ました」
「そういう事なら、ぜひご一緒したいです!」
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