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994.品揃えの理由
お店の成り立ちを教えてもらった後は、三人でそれはもう色々な話しをした。
ヴェリスさんは特に、俺とハルがどこで出逢ったのかとか、伴侶候補になろうと決意した理由とかそういう話しを聞きたがった。
別に興味本位とかそういう感じじゃなくてね、今でもハルの事を大事に思ってくれてるんだなーって思えるような、愛情を感じる尋ね方だったんだ。
だから恥ずかしいけど、色んな事を話したよ。
ちなみにキースくんに対しては、最近あった嬉しい事とか、困った事とかを聞いてたよ。
嬉しかった事は俺と友達になれた事って元気に答えてくれたキースくんの姿に、思わずグゥと声が出てしまったのは仕方ない事だと思う。
ヴェリスさんはそんな俺の反応を見て、可愛らしく声をあげて笑っていた。
結局、俺とキースくんとヴェリスさんの三人でのんびりとおやつと会話を楽しんでいる間、他のお客さんは誰も来なかった。
おかげでのんびりと会話を楽しめたから、ここにお店を構えようと決めたケイリーさんに感謝しないと…かな。
「長々とお話してしまってごめんなさいねぇ」
ヴェリスさんは申し訳なさそうに眉を下げながら、そう声をかけてくれた。
「いえ、俺も楽しかったしいっぱい話したのは俺もですから」
とんでもないと慌ててブンブンと首を振れば、隣にいたキースくんも真似をして首を振り出した。
「僕も!僕もすっごく楽しかったよ!いっぱいお話できて嬉しかった!」
「そう言ってもらえると嬉しいですね。ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「ありがと、ヴェリス婆」
そんな会話をしつつ移動した俺達が目指したのは、入ってきた時にも見えていたあの大きなカウンターの前だ。
近づいて行ってそっと上から覗き込んでみれば、ガラス張りの蓋の下には様々な形の焼き菓子がずらりと整列していた。
そこにはさっき食べさせてもらったミニケーキから、クッキーのようなもの、薄い生地を重ねた不思議な見た目のもの、マドレーヌやフィナンシェみたいなものまで種類豊富な焼き菓子が綺麗に並んでいる。
しかもこれ、それぞれのお菓子ごとに、色んな色合いのものがあるんだよね。
普通の焼き菓子によくある茶色やこげ茶色はもちろん、うっすら赤色がかった物や、淡い青色、原色に近い派手な黄色、森の木々のような緑、目が覚めるような真っ赤なものまであるんだ。
「うわー、すっごくたくさんの種類があるんですね」
焼き菓子のお店だって聞いてたけど、まさかここまで種類があるとは思ってなかった。
「ええ、たくさんご用意してますよぉ」
ヴェリスさんは当たり前の事のようにさらりとそう答えてくれたから、いつもこれぐらいの種類があるんだろうな。
「僕はアキトくんの気持ち分かるなー」
そんな声に視線を向ければ、キースくんはいつの間にか用意されていた台に乗ってカウンターを覗き込んでいた。
「いつ見てもすごいなーって思うんだ」
「うん、こんなに種類があるなんて、正直びっくりしたよ」
「この種類の多さにも、一応理由があるんですよ」
「え、そうなんですか?」
悪戯っぽく笑ったヴェリスさんは、そっと一つの焼き菓子を指差した。
「これはケイリー様の一番お好きな茶葉が練りこまれているお菓子で、こちらはグレース様のお好きな蕩ける甘さのミェルバの実を使ったお菓子です」
続けてこれがファーガス様、こちらがウィリアム様とたくさんの焼き菓子を順番に指差していく。
「あ、僕のはこれ!」
ニコニコ笑顔のキースくんが指差したのは、原色に近い派手な黄色をした大きめのクッキーだった。
「へへーこれはね、お花の蜜を練りこんでもらったやつなんだー」
「それは美味しそうだね」
ヴェリスさんは今度はそっと森の木々のような緑色をした、薄い生地を重ねた不思議な見た目のお菓子を指差した。
「これはジル様が一番好きな果物を使って作ったお菓子ですね」
次はこれと指差したのは真っ赤なマドレーヌだ。
「こっちはマチルダ様のお気に入りの果実を使用してますよ」
ヴェリスさんによると、この二種類は伴侶のためにこの果物を使ってみてくれないかと、ウィリアムさんやファーガスさんがお願いしに来て生まれたらしい。
「キース様含めて四人兄弟の皆様は、ご両親によく似ていらっしゃいますから――みなさん誰も命令しないんですよぉ」
その上、貴女ならできると思ってと信頼まで向けられてしまえば、ヴェリスさんもやる気にならざるを得なかったらしい。
「ちなみにこの辺りは騎士様達の好みに合わせたもので、この辺りはメイド仲間からの希望ですねぇ」
こっちは甘い物が苦手な騎士様、こっちは逆にもっと甘い物が欲しいと恥ずかしそうに教えてくれた騎士様、こっちは甘酸っぱいのが食べたいのと言っていたメイド仲間――と楽しそうに笑いながら説明してくれる。
そっか、こんなにたくさんの種類があるけど、そのどれもに思い出があるのか。
「あ、ハロルド様の好みに合わせたのはこれですよ。甘すぎず爽やかな果物を使ったミニケーキです」
「それはハルと一緒に食べたいので、二個欲しいです!」
反射的に答えた俺のあまりの勢いに、ヴェリスさんとキースくんは楽し気に声をあげて笑ってくれた。
ヴェリスさんは特に、俺とハルがどこで出逢ったのかとか、伴侶候補になろうと決意した理由とかそういう話しを聞きたがった。
別に興味本位とかそういう感じじゃなくてね、今でもハルの事を大事に思ってくれてるんだなーって思えるような、愛情を感じる尋ね方だったんだ。
だから恥ずかしいけど、色んな事を話したよ。
ちなみにキースくんに対しては、最近あった嬉しい事とか、困った事とかを聞いてたよ。
嬉しかった事は俺と友達になれた事って元気に答えてくれたキースくんの姿に、思わずグゥと声が出てしまったのは仕方ない事だと思う。
ヴェリスさんはそんな俺の反応を見て、可愛らしく声をあげて笑っていた。
結局、俺とキースくんとヴェリスさんの三人でのんびりとおやつと会話を楽しんでいる間、他のお客さんは誰も来なかった。
おかげでのんびりと会話を楽しめたから、ここにお店を構えようと決めたケイリーさんに感謝しないと…かな。
「長々とお話してしまってごめんなさいねぇ」
ヴェリスさんは申し訳なさそうに眉を下げながら、そう声をかけてくれた。
「いえ、俺も楽しかったしいっぱい話したのは俺もですから」
とんでもないと慌ててブンブンと首を振れば、隣にいたキースくんも真似をして首を振り出した。
「僕も!僕もすっごく楽しかったよ!いっぱいお話できて嬉しかった!」
「そう言ってもらえると嬉しいですね。ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「ありがと、ヴェリス婆」
そんな会話をしつつ移動した俺達が目指したのは、入ってきた時にも見えていたあの大きなカウンターの前だ。
近づいて行ってそっと上から覗き込んでみれば、ガラス張りの蓋の下には様々な形の焼き菓子がずらりと整列していた。
そこにはさっき食べさせてもらったミニケーキから、クッキーのようなもの、薄い生地を重ねた不思議な見た目のもの、マドレーヌやフィナンシェみたいなものまで種類豊富な焼き菓子が綺麗に並んでいる。
しかもこれ、それぞれのお菓子ごとに、色んな色合いのものがあるんだよね。
普通の焼き菓子によくある茶色やこげ茶色はもちろん、うっすら赤色がかった物や、淡い青色、原色に近い派手な黄色、森の木々のような緑、目が覚めるような真っ赤なものまであるんだ。
「うわー、すっごくたくさんの種類があるんですね」
焼き菓子のお店だって聞いてたけど、まさかここまで種類があるとは思ってなかった。
「ええ、たくさんご用意してますよぉ」
ヴェリスさんは当たり前の事のようにさらりとそう答えてくれたから、いつもこれぐらいの種類があるんだろうな。
「僕はアキトくんの気持ち分かるなー」
そんな声に視線を向ければ、キースくんはいつの間にか用意されていた台に乗ってカウンターを覗き込んでいた。
「いつ見てもすごいなーって思うんだ」
「うん、こんなに種類があるなんて、正直びっくりしたよ」
「この種類の多さにも、一応理由があるんですよ」
「え、そうなんですか?」
悪戯っぽく笑ったヴェリスさんは、そっと一つの焼き菓子を指差した。
「これはケイリー様の一番お好きな茶葉が練りこまれているお菓子で、こちらはグレース様のお好きな蕩ける甘さのミェルバの実を使ったお菓子です」
続けてこれがファーガス様、こちらがウィリアム様とたくさんの焼き菓子を順番に指差していく。
「あ、僕のはこれ!」
ニコニコ笑顔のキースくんが指差したのは、原色に近い派手な黄色をした大きめのクッキーだった。
「へへーこれはね、お花の蜜を練りこんでもらったやつなんだー」
「それは美味しそうだね」
ヴェリスさんは今度はそっと森の木々のような緑色をした、薄い生地を重ねた不思議な見た目のお菓子を指差した。
「これはジル様が一番好きな果物を使って作ったお菓子ですね」
次はこれと指差したのは真っ赤なマドレーヌだ。
「こっちはマチルダ様のお気に入りの果実を使用してますよ」
ヴェリスさんによると、この二種類は伴侶のためにこの果物を使ってみてくれないかと、ウィリアムさんやファーガスさんがお願いしに来て生まれたらしい。
「キース様含めて四人兄弟の皆様は、ご両親によく似ていらっしゃいますから――みなさん誰も命令しないんですよぉ」
その上、貴女ならできると思ってと信頼まで向けられてしまえば、ヴェリスさんもやる気にならざるを得なかったらしい。
「ちなみにこの辺りは騎士様達の好みに合わせたもので、この辺りはメイド仲間からの希望ですねぇ」
こっちは甘い物が苦手な騎士様、こっちは逆にもっと甘い物が欲しいと恥ずかしそうに教えてくれた騎士様、こっちは甘酸っぱいのが食べたいのと言っていたメイド仲間――と楽しそうに笑いながら説明してくれる。
そっか、こんなにたくさんの種類があるけど、そのどれもに思い出があるのか。
「あ、ハロルド様の好みに合わせたのはこれですよ。甘すぎず爽やかな果物を使ったミニケーキです」
「それはハルと一緒に食べたいので、二個欲しいです!」
反射的に答えた俺のあまりの勢いに、ヴェリスさんとキースくんは楽し気に声をあげて笑ってくれた。
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