1,003 / 1,561
1002.甘い方のサンド
どんな反応をするのかなーと明らかにワクワクした様子のキースくんにじっと見守られながら、俺は大きく口を開いてガブリとかぶりついた。
ふわふわ食感の白パンと、パルポの実のしっかり甘いけどくどくないクリーム、そして甘酸っぱい独特の風味が口の中いっぱいに広がった。
うわー、メーチェルって果物、サクランボみたいな味だ!
しかもこれはアメリカンチェリーじゃなくて、明らかにサクランボの方。繊細な味なんだけど、サクランボみたいな以外に説明できない味。
「んーっ!!!これ、美味しいっ!甘酸っぱくてすっごく美味しいよ!キースくん!」
「良かったー甘酸っぱいなら、今食べたのは黄色の方だね!次は赤い方を食べてみて?」
上目遣いでそう言われたので、コクリと頷いてからもう一口、今度は赤い方の実を狙って食べてみた。
黄色と同じく赤い実もベースの味はサクランボなんだけど、更にそこに驚くほどの甘みが追加されてる。ジャムみたいに煮込んであるみたいな強烈な甘みを感じるんだけど、何故かこちらはシャキシャキとした食感がある。
「うわっ…甘いけど美味しいシャキシャキしてる!」
「そっちが完熟のメーチェルの実だね。食感も変わるの不思議だよね」
甘いのだけだと飽きるって言って、黄色と赤色をあえて一緒に食べるのが人気なんだよーとキースくんはニコニコ笑顔で教えてくれた。
うーん、すごいな、これ。びっくりするぐらい美味しい。しょっぱい系もすごかったけど甘い系もすごいな。美味しい。
「僕のも美味しかったよ。交換しない?」
「しよう!」
キースくんの選んだヨホという果物は、すっごく濃厚なマスカット系の味がしたよ。今度この果物を見つけたら、買ってみたいなーと思うぐらい美味しかった。
そのままワイワイと感想を言い合いながら楽しく食べ進めていくと、あっという間に二つのサンドは無くなってしまった。
まあ食べると無くなるのは当たり前なんだけどさ。
でも不思議な事にしょっぱい系サンドの時は無くなってしまうのが惜しいと思ってたのに、甘い系サンドまで食べ終わるとなんとなく満足した気分だ。
もし目の前にあの屋台があったら、もう一回並んで買ってしまうだろうけど、美味しかったなーと余韻を楽しめる感じだ。
「美味しかったー」
「美味しかったねー」
取り出した布で手を綺麗に拭いたりごみを片づけたりとしていると、不意にさあっと吹き抜けた風がサワサワと木々の葉っぱを揺らした。
今の、良い風だったなー。
大きな木の根っ子をベンチ代わりにしているおかげで、上を見上げれば葉っぱの隙間から少し空が見える程度の日陰がある。
木漏れ日も綺麗だし、外みたいに暑くない。それに時折こうして風が吹くのが、すっごく気持ち良いんだよね。
キースくんの選んでくれたこの場所は、最高だな。
のんびりと座り込んだままで幸せを感じていると、不意にキースくんが口を開いた。
「あのね、あのお店ってね、開いてない日も多いんだよ」
「え、そうなの?」
驚いて聞き返せば、ふふと笑顔が返ってきた。
「うん、昨日あの屋台が開いてたら良いのにって執事長のボルトに話したらね、少し前から開いてるようですよって教えてくれたんだ」
あんなに美味しい料理ができる人だから、きっと常連さんも多いんだろう。それなのになんで?と俺は首を傾げた。
「あ、なんでって思ってる?」
「うん、思ってるね」
表情の変化だけで、俺が何を考えてるか予想できるのもすごいな。
「あのねーあの屋台のおじさんは、有名な現役の冒険者なんだよ」
「え、そうなの?」
「うん。ムレングダンジョンを攻略してる、すごーい冒険者なんだ」
最難関だって聞いてるムレングダンジョンを!?と驚いたのは、一瞬だけだった。
だってよくよく考えたらさ、あんなにすごい精度でささっと魔力を練り上げて料理に使えるような人だよ。
そりゃあダンジョン攻略をするような冒険者だってできるよね。あと何気にナイフさばきもすごかったし。
「へぇ、あの人って冒険者なんだ…すごいね」
うん、色んな意味ですごい。そんなに強いのももちろんすごいし、冒険者が本職なのにあれだけ料理が上手ってのもすごい。
感心しながら呟けば、キースくんはうんうんと頷いてくれた。
ふわふわ食感の白パンと、パルポの実のしっかり甘いけどくどくないクリーム、そして甘酸っぱい独特の風味が口の中いっぱいに広がった。
うわー、メーチェルって果物、サクランボみたいな味だ!
しかもこれはアメリカンチェリーじゃなくて、明らかにサクランボの方。繊細な味なんだけど、サクランボみたいな以外に説明できない味。
「んーっ!!!これ、美味しいっ!甘酸っぱくてすっごく美味しいよ!キースくん!」
「良かったー甘酸っぱいなら、今食べたのは黄色の方だね!次は赤い方を食べてみて?」
上目遣いでそう言われたので、コクリと頷いてからもう一口、今度は赤い方の実を狙って食べてみた。
黄色と同じく赤い実もベースの味はサクランボなんだけど、更にそこに驚くほどの甘みが追加されてる。ジャムみたいに煮込んであるみたいな強烈な甘みを感じるんだけど、何故かこちらはシャキシャキとした食感がある。
「うわっ…甘いけど美味しいシャキシャキしてる!」
「そっちが完熟のメーチェルの実だね。食感も変わるの不思議だよね」
甘いのだけだと飽きるって言って、黄色と赤色をあえて一緒に食べるのが人気なんだよーとキースくんはニコニコ笑顔で教えてくれた。
うーん、すごいな、これ。びっくりするぐらい美味しい。しょっぱい系もすごかったけど甘い系もすごいな。美味しい。
「僕のも美味しかったよ。交換しない?」
「しよう!」
キースくんの選んだヨホという果物は、すっごく濃厚なマスカット系の味がしたよ。今度この果物を見つけたら、買ってみたいなーと思うぐらい美味しかった。
そのままワイワイと感想を言い合いながら楽しく食べ進めていくと、あっという間に二つのサンドは無くなってしまった。
まあ食べると無くなるのは当たり前なんだけどさ。
でも不思議な事にしょっぱい系サンドの時は無くなってしまうのが惜しいと思ってたのに、甘い系サンドまで食べ終わるとなんとなく満足した気分だ。
もし目の前にあの屋台があったら、もう一回並んで買ってしまうだろうけど、美味しかったなーと余韻を楽しめる感じだ。
「美味しかったー」
「美味しかったねー」
取り出した布で手を綺麗に拭いたりごみを片づけたりとしていると、不意にさあっと吹き抜けた風がサワサワと木々の葉っぱを揺らした。
今の、良い風だったなー。
大きな木の根っ子をベンチ代わりにしているおかげで、上を見上げれば葉っぱの隙間から少し空が見える程度の日陰がある。
木漏れ日も綺麗だし、外みたいに暑くない。それに時折こうして風が吹くのが、すっごく気持ち良いんだよね。
キースくんの選んでくれたこの場所は、最高だな。
のんびりと座り込んだままで幸せを感じていると、不意にキースくんが口を開いた。
「あのね、あのお店ってね、開いてない日も多いんだよ」
「え、そうなの?」
驚いて聞き返せば、ふふと笑顔が返ってきた。
「うん、昨日あの屋台が開いてたら良いのにって執事長のボルトに話したらね、少し前から開いてるようですよって教えてくれたんだ」
あんなに美味しい料理ができる人だから、きっと常連さんも多いんだろう。それなのになんで?と俺は首を傾げた。
「あ、なんでって思ってる?」
「うん、思ってるね」
表情の変化だけで、俺が何を考えてるか予想できるのもすごいな。
「あのねーあの屋台のおじさんは、有名な現役の冒険者なんだよ」
「え、そうなの?」
「うん。ムレングダンジョンを攻略してる、すごーい冒険者なんだ」
最難関だって聞いてるムレングダンジョンを!?と驚いたのは、一瞬だけだった。
だってよくよく考えたらさ、あんなにすごい精度でささっと魔力を練り上げて料理に使えるような人だよ。
そりゃあダンジョン攻略をするような冒険者だってできるよね。あと何気にナイフさばきもすごかったし。
「へぇ、あの人って冒険者なんだ…すごいね」
うん、色んな意味ですごい。そんなに強いのももちろんすごいし、冒険者が本職なのにあれだけ料理が上手ってのもすごい。
感心しながら呟けば、キースくんはうんうんと頷いてくれた。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。