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1020.【ハル視点】家族の違和感
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新しい1017話を追加させて頂きましたので、そちらもお読み頂けると意味が分かるかと思われます。
報告頂いたみなさま、ありがとうございました。
こちらの告知部分はしばらくしてから削除します。
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「ありがとう、レイさん」
「いえ、そんな」
心からそうお礼の言葉を口にした俺をじっと見つめてから、邪魔をしてすまないが…と父さんが控え目に口を挟んだ。
「気になったんだが、何故ハルは…彼の事をそうも簡単に信じられるんだ?」
「そうそう。普通ならアキトくんの荷物を持ってきている時点で、もっと敵との関わりを疑うよねー?」
ウィル兄も理由が知りたいと言いたげに、じっと俺を見つめている。
「あー…」
レイさんを信じられる理由というなら、アキトの友人でもある同郷のケンの伴侶である事が一番大きいんだが、さすがにこれを俺が勝手に言うわけにはいかないよな。
「理由は言えないのか?」
それならば仕方ないがと続きそうなファーガス兄さんの言葉を聞きながらちらりと視線を向ければ、レイさんはぐるりと部屋の中にいる人達の顔を見回した。
今この部屋にいるのは、父と兄二人、そして俺だけだ。ボルトは俺とレイさんが知り合いだと分かった時点で、誤解を解くために使用人に報告に向かったのかすぐに部屋から出ていったからな。
ひとつコクリと頷いたレイさんは、すぐに口を開いた。
「俺の伴侶に気を使って下さったから、ハルさんは理由を言わなかったんです」
「伴侶に…?」
「…レイさん、本当にいいのか?」
「はい。ここにいる方たちは、ある意味ではケンの恩人ですから」
ふわっと笑ったレイさんは、笑顔のままで続けた。
「おそらく信頼してくださる理由は、私の伴侶候補がアキトさんと同郷の異世界人だからでしょうね。その縁で、アキト様とハロルド様と知り合いましたから」
あっさりと告げられたその言葉がよほど予想外だったのか、父さんと兄たちは驚いた様子で目を大きく見開いた。
「伴侶がアキトと同郷…なのか…?」
「はい。まだ知り会ってからそれほど経っていませんが、アキトさんの事は素晴らしい人だと思っています。ただ、わざわざここまで来た理由はそれだけではありません」
もしあれが誘拐ならどうしてもその目的が知りたかったんですと、レイさんは続けた。
「アキトさんを攫った相手がもし異世界人を無差別に狙っているとしたら、これは俺にとっても他人事では無いですから」
アキトの身を案じてここに来ただけでは無く、自分にも目的があったんだと言いきったレイさんは、俺の家族から不敬だと責められる覚悟を既に済ませているようだ。
ぐっと握りしめた拳を見て、俺はふうとひとつ息を吐いた。すごく緊張している所に申し訳ないんだが、うちの家族は逆に今の発言で全員一気に警戒を解いているからな。
伴侶候補のために前もって危険を排除しようとするレイさんは、伴侶や伴侶候補びいきの俺達家族にとっては何よりも信頼できる相手だと言える。決してアキトを軽視しているわけじゃない。ただそれよりも伴侶の存在が重いだけだと、俺達には分かるからな。
「そっかそっかー意地悪な事聞いてごめんねー」
「そうだな、失礼な事を言った」
「異世界人なら、大変な苦労をしたんだろう…伴侶殿はお元気かね?」
「は、はい…あの、伴侶と二人で今はお店をやっております」
あれ?責められないの?と言いたげなレイさんの横から、俺は口を挟んだ。
「前に教えた、あの枯れない花の木彫りを売ってるお店だよ」
「おお、あそこか!」
「話しに聞いて楽しみにしてるんだよねー」
「ああ、細かい指定までしてしまったが、快諾してくれて感謝している」
「い、いえ。その光栄です」
そういえば領主一家様からの依頼を受けてたなーと遠い目をしながらも何度も頷くレイさんの後ろで、ウィル兄はいそいそと別室から椅子を移動させている。
自らレイさんの座る場所を用意しようとするぐらい、どうやら彼の事を気に入ったらしい。
「はい、レイースくん、ここ座ってー」
「あ、ありがとうございます、失礼します」
「さっそくですまないが、目撃した事を教えてもらえるか?」
「はい、もちろんです」
レイさんはまだこの状況にすこし緊張した様子ではあったが、使命感からか背筋を伸ばして話し始めてくれた。
「今日のちょうどお昼頃、俺はウェルマ市場の中を一人で歩いていました。依頼の品を届けに行った帰りで、伴侶がとある果物を食べたいと言っていたのを思い出したんです」
少し照れくさそうにそう告げたけれど、ここにいる人は伴侶が一番な人ばかりだから誰も笑ったりはしなかった。
「珍しい果物で置いている店が少ないため、いくつもの果物の屋台や店をうろうろと見て回っていたんです。そこでアキト様と一人の少年が、手を繋いで楽しそうに市場を歩いているところを偶然お見かけしたんです」
ああ、レイさんはアキトが誰なのかは分かっていても、一緒にいたキースの事はキースだとは認識していなかったんだな。まあ広く顔を知られているわけでも無いから、無理もないか。
申し訳ないです。
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「いえ、そんな」
心からそうお礼の言葉を口にした俺をじっと見つめてから、邪魔をしてすまないが…と父さんが控え目に口を挟んだ。
「気になったんだが、何故ハルは…彼の事をそうも簡単に信じられるんだ?」
「そうそう。普通ならアキトくんの荷物を持ってきている時点で、もっと敵との関わりを疑うよねー?」
ウィル兄も理由が知りたいと言いたげに、じっと俺を見つめている。
「あー…」
レイさんを信じられる理由というなら、アキトの友人でもある同郷のケンの伴侶である事が一番大きいんだが、さすがにこれを俺が勝手に言うわけにはいかないよな。
「理由は言えないのか?」
それならば仕方ないがと続きそうなファーガス兄さんの言葉を聞きながらちらりと視線を向ければ、レイさんはぐるりと部屋の中にいる人達の顔を見回した。
今この部屋にいるのは、父と兄二人、そして俺だけだ。ボルトは俺とレイさんが知り合いだと分かった時点で、誤解を解くために使用人に報告に向かったのかすぐに部屋から出ていったからな。
ひとつコクリと頷いたレイさんは、すぐに口を開いた。
「俺の伴侶に気を使って下さったから、ハルさんは理由を言わなかったんです」
「伴侶に…?」
「…レイさん、本当にいいのか?」
「はい。ここにいる方たちは、ある意味ではケンの恩人ですから」
ふわっと笑ったレイさんは、笑顔のままで続けた。
「おそらく信頼してくださる理由は、私の伴侶候補がアキトさんと同郷の異世界人だからでしょうね。その縁で、アキト様とハロルド様と知り合いましたから」
あっさりと告げられたその言葉がよほど予想外だったのか、父さんと兄たちは驚いた様子で目を大きく見開いた。
「伴侶がアキトと同郷…なのか…?」
「はい。まだ知り会ってからそれほど経っていませんが、アキトさんの事は素晴らしい人だと思っています。ただ、わざわざここまで来た理由はそれだけではありません」
もしあれが誘拐ならどうしてもその目的が知りたかったんですと、レイさんは続けた。
「アキトさんを攫った相手がもし異世界人を無差別に狙っているとしたら、これは俺にとっても他人事では無いですから」
アキトの身を案じてここに来ただけでは無く、自分にも目的があったんだと言いきったレイさんは、俺の家族から不敬だと責められる覚悟を既に済ませているようだ。
ぐっと握りしめた拳を見て、俺はふうとひとつ息を吐いた。すごく緊張している所に申し訳ないんだが、うちの家族は逆に今の発言で全員一気に警戒を解いているからな。
伴侶候補のために前もって危険を排除しようとするレイさんは、伴侶や伴侶候補びいきの俺達家族にとっては何よりも信頼できる相手だと言える。決してアキトを軽視しているわけじゃない。ただそれよりも伴侶の存在が重いだけだと、俺達には分かるからな。
「そっかそっかー意地悪な事聞いてごめんねー」
「そうだな、失礼な事を言った」
「異世界人なら、大変な苦労をしたんだろう…伴侶殿はお元気かね?」
「は、はい…あの、伴侶と二人で今はお店をやっております」
あれ?責められないの?と言いたげなレイさんの横から、俺は口を挟んだ。
「前に教えた、あの枯れない花の木彫りを売ってるお店だよ」
「おお、あそこか!」
「話しに聞いて楽しみにしてるんだよねー」
「ああ、細かい指定までしてしまったが、快諾してくれて感謝している」
「い、いえ。その光栄です」
そういえば領主一家様からの依頼を受けてたなーと遠い目をしながらも何度も頷くレイさんの後ろで、ウィル兄はいそいそと別室から椅子を移動させている。
自らレイさんの座る場所を用意しようとするぐらい、どうやら彼の事を気に入ったらしい。
「はい、レイースくん、ここ座ってー」
「あ、ありがとうございます、失礼します」
「さっそくですまないが、目撃した事を教えてもらえるか?」
「はい、もちろんです」
レイさんはまだこの状況にすこし緊張した様子ではあったが、使命感からか背筋を伸ばして話し始めてくれた。
「今日のちょうどお昼頃、俺はウェルマ市場の中を一人で歩いていました。依頼の品を届けに行った帰りで、伴侶がとある果物を食べたいと言っていたのを思い出したんです」
少し照れくさそうにそう告げたけれど、ここにいる人は伴侶が一番な人ばかりだから誰も笑ったりはしなかった。
「珍しい果物で置いている店が少ないため、いくつもの果物の屋台や店をうろうろと見て回っていたんです。そこでアキト様と一人の少年が、手を繋いで楽しそうに市場を歩いているところを偶然お見かけしたんです」
ああ、レイさんはアキトが誰なのかは分かっていても、一緒にいたキースの事はキースだとは認識していなかったんだな。まあ広く顔を知られているわけでも無いから、無理もないか。
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