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1041.【ハル視点】調査の報告を
俺の発言があまりにも予想外だったのか、部屋の中はしんっと急に静まり返ってしまった。
父さんもファーガス兄さんもウィル兄も、そして幽霊であるクレットも、全員揃って大きく目を見開いて固まってしまっている。
まあたしかに、我ながらあまりにも唐突過ぎる発言だったとは思うんだけどな。
だが律儀なクレットが盗み聞きはできないとこの部屋から出てしまう前に、俺が幽霊が見えて聞こえるという事実を何とか伝える必要があった。だから今の発言の唐突さは仕方がないだろう。
「…ハル、一応確認したいんだが…それは…本当なんだよな?」
一番最初に我に返ったのは、俺の予想通りやはり父さんだった。アキトだけじゃなくお前もそうなのかと言いたげな視線に、俺はあっさりと頷きを返した。
「もちろん本当だよ。実際にトライプールでは幽霊の友人もいるからね」
「幽霊の友人…か…」
「ああ、元商人の人なんだけどね。色々あって友人になったんだ」
以前の俺なら、きっとここでカルツさんの事は友人ではなくただの知り合いだと言っていただろうな。ここで堂々と友人と言い切れたのは、アキトのおかげだと思う。
「ハルが俺達相手に無意味な嘘を吐くとは思っていないから、幽霊が見えるし聞こえるようになったという事については信じるが…」
ファーガス兄さんは、歯切れ悪くボソボソとそう呟いた。
「うん、俺もハルの事は信じてるよ。でも今一番の問題は、なぜ急にそんな事を言い出したかーだよね」
ウィル兄が続けた言葉に、俺はニコリと笑って答えた。
「話しを聞きたい相手がいたから、ついね。いきなり俺が虚空を見つめて話しだしたりしたら、みんな驚くだろう?」
「ああ、なるほど」
「そういう事か」
「たしかにーアキトとキースの心配をしすぎて、おかしくなったと思うかもねー」
飲み込みの早い家族で助かるなと考えていると、ドアの近くに佇んでいたクレットが不意に震える声で尋ねてきた。
「えっと…今のって…もし…それが本当なら…もしかして…?」
自分の声が届くのかもしれないと期待しつつも、それがもしただの誤解だったらと不安になっているようだ。
その気持ちは、俺にもすごくよく分かる。何とかリスリーロの事を伝えたくて、みんなの周りをウロウロしていた、あの頃の俺の気持ちときっと同じだからな。
「ああ、俺には君の姿も見えるし、声も聞こえているんだ、クレット」
「…嘘…でしょう?」
「もしこれが嘘だったら、クレットの名前をここで出せないだろう?」
まっすぐに見つめて答えれば、クレットはしばらく考えてからこくりと頷いてくれた。
「…そう…ですね。俺以外にも亡くなっている人はいるでしょうに、俺の目の前で俺の名前を出してくれたんですから」
クレットはそう言うと、切なそうにくしゃりと顔を歪めて笑ってから、会話が成り立つことを噛み締めるようにそっと上を見上げた。
俺がドアの方へと視線を向けて話す間、家族は無言を貫いてただ見守ってくれていた。ここで口を挟まずに待ってくれる理解のある家族に、感謝しないといけないな。
「クレット、もし誰かに何か伝えたい事があるなら、必ず俺から伝える。やりたい事があるなら俺に出来る範囲で叶えるように努力をすると約束しよう」
そう声をかけると、クレットはハッと驚いた様子でこちらを見た。
「だが、可能ならそれより前に、君の報告を聞かせて欲しい。わざわざここに来てくれたという事は、何か知っている情報があるんだろう?」
俺の質問に、クレットは真剣な目でコクリと頷いてくれた。
「はい、伝わらないと分かっていても、ここまで来てしまった俺の知る情報を…聞いて欲しいです」
「ああ、アキトとキースを無事に助けるためにも、ぜひ教えて欲しい」
「…はい、報告いたします」
噛み締めるようにそう口にしたクレットは、さっと表情を改めるとビシッと敬礼をしてから口を開いた。
「お二人が攫われた際、珍しい魔導具が使用されたと聞きました」
「ああ、まるで罠のように見る人によって姿が変わる物だと聞いた」
「はい。あの魔道具は何故かこの国のダンジョンでは滅多に見つからないのは、ご存じですか」
「いや、知らなかったな」
そうなのかと呟けば、黙っていたウィル兄が口を開いた。
「ハル、クレットさえ良ければ、俺達にも何を話してるか教えて欲しいんだけど、駄目かなー?」
「クレット?」
「問題ありません!ウィリアム隊長!」
ああ、そうか。クレットは一時、ウィリアムの隊の一員だった事があったな。
「うん、クレットは即答で許可してくれたよ。あの魔道具はこの国では珍しいものだと言っている」
「ああ、確かにそう手に入るものじゃないよねー」
ウィル兄はこくこくと何度も頷いている。クレットはウィル兄が頷いてくれたのを見て、嬉しそうにしながらも続けた。
父さんもファーガス兄さんもウィル兄も、そして幽霊であるクレットも、全員揃って大きく目を見開いて固まってしまっている。
まあたしかに、我ながらあまりにも唐突過ぎる発言だったとは思うんだけどな。
だが律儀なクレットが盗み聞きはできないとこの部屋から出てしまう前に、俺が幽霊が見えて聞こえるという事実を何とか伝える必要があった。だから今の発言の唐突さは仕方がないだろう。
「…ハル、一応確認したいんだが…それは…本当なんだよな?」
一番最初に我に返ったのは、俺の予想通りやはり父さんだった。アキトだけじゃなくお前もそうなのかと言いたげな視線に、俺はあっさりと頷きを返した。
「もちろん本当だよ。実際にトライプールでは幽霊の友人もいるからね」
「幽霊の友人…か…」
「ああ、元商人の人なんだけどね。色々あって友人になったんだ」
以前の俺なら、きっとここでカルツさんの事は友人ではなくただの知り合いだと言っていただろうな。ここで堂々と友人と言い切れたのは、アキトのおかげだと思う。
「ハルが俺達相手に無意味な嘘を吐くとは思っていないから、幽霊が見えるし聞こえるようになったという事については信じるが…」
ファーガス兄さんは、歯切れ悪くボソボソとそう呟いた。
「うん、俺もハルの事は信じてるよ。でも今一番の問題は、なぜ急にそんな事を言い出したかーだよね」
ウィル兄が続けた言葉に、俺はニコリと笑って答えた。
「話しを聞きたい相手がいたから、ついね。いきなり俺が虚空を見つめて話しだしたりしたら、みんな驚くだろう?」
「ああ、なるほど」
「そういう事か」
「たしかにーアキトとキースの心配をしすぎて、おかしくなったと思うかもねー」
飲み込みの早い家族で助かるなと考えていると、ドアの近くに佇んでいたクレットが不意に震える声で尋ねてきた。
「えっと…今のって…もし…それが本当なら…もしかして…?」
自分の声が届くのかもしれないと期待しつつも、それがもしただの誤解だったらと不安になっているようだ。
その気持ちは、俺にもすごくよく分かる。何とかリスリーロの事を伝えたくて、みんなの周りをウロウロしていた、あの頃の俺の気持ちときっと同じだからな。
「ああ、俺には君の姿も見えるし、声も聞こえているんだ、クレット」
「…嘘…でしょう?」
「もしこれが嘘だったら、クレットの名前をここで出せないだろう?」
まっすぐに見つめて答えれば、クレットはしばらく考えてからこくりと頷いてくれた。
「…そう…ですね。俺以外にも亡くなっている人はいるでしょうに、俺の目の前で俺の名前を出してくれたんですから」
クレットはそう言うと、切なそうにくしゃりと顔を歪めて笑ってから、会話が成り立つことを噛み締めるようにそっと上を見上げた。
俺がドアの方へと視線を向けて話す間、家族は無言を貫いてただ見守ってくれていた。ここで口を挟まずに待ってくれる理解のある家族に、感謝しないといけないな。
「クレット、もし誰かに何か伝えたい事があるなら、必ず俺から伝える。やりたい事があるなら俺に出来る範囲で叶えるように努力をすると約束しよう」
そう声をかけると、クレットはハッと驚いた様子でこちらを見た。
「だが、可能ならそれより前に、君の報告を聞かせて欲しい。わざわざここに来てくれたという事は、何か知っている情報があるんだろう?」
俺の質問に、クレットは真剣な目でコクリと頷いてくれた。
「はい、伝わらないと分かっていても、ここまで来てしまった俺の知る情報を…聞いて欲しいです」
「ああ、アキトとキースを無事に助けるためにも、ぜひ教えて欲しい」
「…はい、報告いたします」
噛み締めるようにそう口にしたクレットは、さっと表情を改めるとビシッと敬礼をしてから口を開いた。
「お二人が攫われた際、珍しい魔導具が使用されたと聞きました」
「ああ、まるで罠のように見る人によって姿が変わる物だと聞いた」
「はい。あの魔道具は何故かこの国のダンジョンでは滅多に見つからないのは、ご存じですか」
「いや、知らなかったな」
そうなのかと呟けば、黙っていたウィル兄が口を開いた。
「ハル、クレットさえ良ければ、俺達にも何を話してるか教えて欲しいんだけど、駄目かなー?」
「クレット?」
「問題ありません!ウィリアム隊長!」
ああ、そうか。クレットは一時、ウィリアムの隊の一員だった事があったな。
「うん、クレットは即答で許可してくれたよ。あの魔道具はこの国では珍しいものだと言っている」
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