生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1051.【ハル視点】予定確定

 参加者が家族だけのこういう集まりは、とにかく話しが早くて良いな。騎士団の集まりとはまるで違っている。

 お互いの考えている事が、ある程度分かるからだろうか。

 まあ志願方式を提案した時は、アキトがどう感じていたとしてもアキトはもう家族だろうと怒られて拒否されるかと思っていたんだが…な。

 いや、あっさりと受け入れてくれて良かったか。これでアキトが帰ってきた後も、アキトが気に病む心配が無くなった。

「あと…決めないといけないのは、集合する場所…だな」

 ぽつりとそう呟けば、父さんがそうだなと頷いた。

「どこにしようか?」
「領主城の入口ではどうだろう?」

 ファーガス兄さんの提案に、父さんはすぐに首を振った。

「いや、領主城の入口に集めたら魔道具に弾かれる人が出るだろう」

 ああ、一応領主の屋敷だからと、あれこれと防犯対策はされているからな。領主城近くの壁の中は、誰でも入れる場所というわけではない。

「それもそうか」
「じゃあ、いっそ領都の大門前はどうかなー?」

 今度はウィル兄が、ひらめいたとい言いたげな表情でそう提案した。あの街道の辺りなら人は集まれるかもしれないが…何事が起きたんだと心配されそうだな。

「それは…スタンピードが起きたのかと、住民から疑われるだろうな」

 父さんの返答に、俺もそう思うと頷いておいた。

「そっかー」
「あ、それなら、集合場所を騎士団の訓練場にするのはどうだろう?」

 ふと思いついた事を口にすれば、父さんも兄さんたちもそれだと目を輝かせた。

「騎士団の訓練場からの集団での移動なら、住民も何かが起きた緊急事態というよりは、訓練の一環だと思うかもな」
「そうだろうな。どうせなら野外訓練の時に使う旗を用意するか?」

 ファーガス兄さんはニヤリと笑ってそう提案してくれた。

「そうだな。可能ならぜひ」
「ああ、それは良い案だな」
「騎士団員と衛兵隊員が共同で野外訓練をするのは、たまにある事だからねー誰も疑問に思わないんじゃないかなー?」
「陰護衛組からの参加者には、騎士団員か衛兵の装備をつけてもらえば目立たないだろう」

 潜入する事もある陰護衛組なら、きっとそれぐらいは簡単だろうと父さんも乗り気のようだ。

 それにあそこなら、騎士でも衛兵でも陰護衛でも使用人でも入れるからな。

「これでだいたいの事は決まったか…?」
「うん、そうだね」
「よし。それじゃあ、私は今すぐに志願方式で探索隊を作ると通達を出してくるよ」
「ああ、頼んだ」

 父さんが部屋から出ていくと、ファーガス兄さんも旗の用意をしてくるよと後に続いた。

「私もこれで失礼します」
「クレット、本当にありがとう。この恩は必ず返すからな」
「いえ、でも伴侶候補様が戻られたら、ぜひ三人で話す場所を設けて欲しいです」

 アキトが戻ってくる事を疑っていないその言葉に、俺はうっすらと笑みを浮かべた。

「ああ、もちろんだ」

 即答すれば、クレットはすぐに壁を抜けて部屋から去って行った。

「ハル…」
「なんだ?」
「食欲が無くても、少しは食べないと駄目だよ?」
「ああ、分かってる」
「そんなハルにこれをあげよう」

 ウィル兄さんがそう言ってどこかから取り出したのは、たっぷりの具材が挟まれたパンだった。

「これはねーアキトくんが美味しいって絶賛したラスの料理だよー」
「そうなのか…」
「はい、食べて」

 ぐいっと顔の前に突き出されたパンに、俺は顔を背けた。

「いや…そんなに腹が減ってないから」
「ここで食べないと、ハルは絶対食べないでしょう?でも食べないと、いざという時に動けないよ?」

 俺も食べるからと促されて、俺はしぶしぶ口を開いた。ラスの料理なだけあって、確かに味は美味しい。だがこれを美味しい美味しいと喜んで食べるアキトが隣にいないだけで、なんだか色あせてしまったような気分だ。

 それでも何とかパンを食べきれば、ウィル兄は部屋まで送ると言って歩き出した。一人で大丈夫だといっても、無理やりついてくるのはまだ脱走を疑われているんだろうか。

 そう思っていたんだが、部屋の前まで辿り着いた所で謎は解けた。

「ねぇ、ハルー。もし心配すぎて眠れなさそうならさ、俺が気絶させてあげようか?」

 ウィル兄さんは心配そうな表情で、そう声をかけてくれた。ううん、表情からして優しさで言ってるんだろうが…聞いた事のない提案だな。

 とりあえずここまで送ってくれた理由は、俺が眠れないかもと心配したからという事…なんだろうな。
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