1,066 / 1,561
1065.探索隊
俺達が気配を消す魔法の範囲から飛び出すよりも早く、ものすごくたくさんの人がこちらへ向かって来ているのに気が付いた。
「あー…また、さっきが…いっぱいだ……」
シュリくんはぽつりと小さな声でそう呟くと、怯えた様子で立ち止まってしまった。
「怖がらせてしまってすまない」
ハルはそう言うと、慰めるように優しくシュリくんの首筋を撫でた。
「この殺気はあくまでも二人を攫った盗賊に向けたものであってシュリに向けられているわけじゃないんだが…それでもやっぱり怖いかな?」
「…うん、じぶんにむけられてないのはわかってるんだけど…」
それでも怖いんだとすこし申し訳なさそうに口にしたシュリくんに、ハルはニコリと笑みを浮かべた。
「そうか。じゃあまずは俺が、逃げてきた二人を見つけたと皆に説明しに行ってくる。シュリは心の準備が出来たら、アキトとキースと一緒に来てくれるか?」
「…うん、わかった」
「シュリくん、ずっと僕が一緒にいるから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう、キース」
優しくシュリくんを撫でるキースくんと、撫でられて嬉しそうに目を細めるシュリくんの姿に、俺とハルは思わず視線を交わしてから微笑んでしまった。あまりにも可愛らしい光景だったからね。
「じゃあちょっと行ってくるね」
振り返って笑顔でそう言ったハルに、俺も笑顔でいってらっしゃいと声をかけた。
「あーいた!」
「ハル様がいたぞ!」
「勝手に暴走しないでください、ハル様!」
「心配したんですよ!」
そんな叫び声に茂みに隠れたままこっそりと様子を伺えば、そこには俺の想像を遥かに超える人数の人で構成された探索隊の姿があった。
「あ、一番前にファーガス兄さんもマティ姉さんがいる!」
「本当だね。その後ろには…ウィリアムさんとジルさんもいるよ!」
キースくんと二人で探索隊の方を見つめながらそう口にすれば、だれ?と言いながらシュリくんも人の姿が見える所までじりじりと近づいてきた。
キースくんは、嬉しそうにファーガス兄さんは一番上のお兄ちゃんでその奥さんがマティ姉さんでと説明を始めている。
ハルの家族は、みんな優しいし強い。だから探索隊のメンバーに入ってる事は意外じゃないんだけど、俺がびっくりしたのは騎士や衛兵らしき人が思った以上にたくさんいる事だった。
この人達はみんな命令されてここに来てくれているんだろうかと思うと、何だか少し…いやだいぶ申し訳ない気持ちになってしまう。
俺達が攫われたせいで、仕事を増やしてしまったっていう申し訳なさだ。
「ハル様、ご無事を信じておりました」
「「「おかえりなさいませ」」」
あれ?勝手にどこかに行くなとか、暴走するなとかのハルを叱る声か、発見したとかいたーって大騒ぎしてる声が多いのに、何だか毛色が違う声かけがあるな。
そう思ってふと視線を向けてみれば、そこにはメイド長のリモさんを先頭にずらりと整列した使用人さん達の集団がいた。名前までは知らないけどお茶の用意をよくしてくれるメイドさんや、前に一緒に本を探してくれた侍従さん、部屋に飾ってとお花をくれた庭師の男性も混ざっている。
「え、リモさんと…使用人の人たちがいっぱいいる…」
こんな場所までわざわざ俺達を助けに来てくれたの?こんな危ない場所なのに?と思わず呟いてしまったけど、キースくんは使用人の人を確認してから笑顔で答えた。
「リモとルース、それにルトもいるね!うん、今いる人たちはみんな強い人だから、大丈夫だよ、アキトくん」
「…強いんだ?」
「うん、選んだ条件が、たぶん強い順番なんじゃないかな…?執事長のボルトは城にいないと駄目だってなって、一緒に来れなかったんだと思うよ」
あー、なるほど。つまりキースくんから見て、執事長のボルトさんは、使用人さん達の強い順ではこの探索隊にいないとおかしいぐらい強いって事だね。まあ薄々それは気づいてたんだけどね。
本当にすごいな、ウェルマール領って。
「みんな、勝手に先行してすまない」
ハルは周りからの声にも動じずに、落ち着いた声でそう答えた。反応はそれはもう様々だった。呆れたように笑う人、面白そうに観察している人、安心したと力を抜いている人、尊敬の目で見つめている人もいるな。
でも全員がハルに好意的な反応だった。
「ハル、無事だったんだな」
そう声をかけたのは、ファーガスさんだった。
「まったく、急に駆け出したから何事かと思ったよ」
マチルダさんは笑いながら、無事でなによりだと続ける。
「ハルさんまで攫われたかと思いました…」
心配そうにジルさんがそう言えば、ウィリアムさんはいやいやと身を乗り出した。
「えー俺は我慢の限界が来て、一人で盗賊団のアジトまで駆けていったのかと思ったよ」
ふふと笑ったウィリアムさんは、でも理由があるんでしょう?何か成果はあったの?と続けて尋ねた。
うん、何だかハルへの信頼を感じられるその質問に、嬉しくなっちゃったよ。
「あー…また、さっきが…いっぱいだ……」
シュリくんはぽつりと小さな声でそう呟くと、怯えた様子で立ち止まってしまった。
「怖がらせてしまってすまない」
ハルはそう言うと、慰めるように優しくシュリくんの首筋を撫でた。
「この殺気はあくまでも二人を攫った盗賊に向けたものであってシュリに向けられているわけじゃないんだが…それでもやっぱり怖いかな?」
「…うん、じぶんにむけられてないのはわかってるんだけど…」
それでも怖いんだとすこし申し訳なさそうに口にしたシュリくんに、ハルはニコリと笑みを浮かべた。
「そうか。じゃあまずは俺が、逃げてきた二人を見つけたと皆に説明しに行ってくる。シュリは心の準備が出来たら、アキトとキースと一緒に来てくれるか?」
「…うん、わかった」
「シュリくん、ずっと僕が一緒にいるから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう、キース」
優しくシュリくんを撫でるキースくんと、撫でられて嬉しそうに目を細めるシュリくんの姿に、俺とハルは思わず視線を交わしてから微笑んでしまった。あまりにも可愛らしい光景だったからね。
「じゃあちょっと行ってくるね」
振り返って笑顔でそう言ったハルに、俺も笑顔でいってらっしゃいと声をかけた。
「あーいた!」
「ハル様がいたぞ!」
「勝手に暴走しないでください、ハル様!」
「心配したんですよ!」
そんな叫び声に茂みに隠れたままこっそりと様子を伺えば、そこには俺の想像を遥かに超える人数の人で構成された探索隊の姿があった。
「あ、一番前にファーガス兄さんもマティ姉さんがいる!」
「本当だね。その後ろには…ウィリアムさんとジルさんもいるよ!」
キースくんと二人で探索隊の方を見つめながらそう口にすれば、だれ?と言いながらシュリくんも人の姿が見える所までじりじりと近づいてきた。
キースくんは、嬉しそうにファーガス兄さんは一番上のお兄ちゃんでその奥さんがマティ姉さんでと説明を始めている。
ハルの家族は、みんな優しいし強い。だから探索隊のメンバーに入ってる事は意外じゃないんだけど、俺がびっくりしたのは騎士や衛兵らしき人が思った以上にたくさんいる事だった。
この人達はみんな命令されてここに来てくれているんだろうかと思うと、何だか少し…いやだいぶ申し訳ない気持ちになってしまう。
俺達が攫われたせいで、仕事を増やしてしまったっていう申し訳なさだ。
「ハル様、ご無事を信じておりました」
「「「おかえりなさいませ」」」
あれ?勝手にどこかに行くなとか、暴走するなとかのハルを叱る声か、発見したとかいたーって大騒ぎしてる声が多いのに、何だか毛色が違う声かけがあるな。
そう思ってふと視線を向けてみれば、そこにはメイド長のリモさんを先頭にずらりと整列した使用人さん達の集団がいた。名前までは知らないけどお茶の用意をよくしてくれるメイドさんや、前に一緒に本を探してくれた侍従さん、部屋に飾ってとお花をくれた庭師の男性も混ざっている。
「え、リモさんと…使用人の人たちがいっぱいいる…」
こんな場所までわざわざ俺達を助けに来てくれたの?こんな危ない場所なのに?と思わず呟いてしまったけど、キースくんは使用人の人を確認してから笑顔で答えた。
「リモとルース、それにルトもいるね!うん、今いる人たちはみんな強い人だから、大丈夫だよ、アキトくん」
「…強いんだ?」
「うん、選んだ条件が、たぶん強い順番なんじゃないかな…?執事長のボルトは城にいないと駄目だってなって、一緒に来れなかったんだと思うよ」
あー、なるほど。つまりキースくんから見て、執事長のボルトさんは、使用人さん達の強い順ではこの探索隊にいないとおかしいぐらい強いって事だね。まあ薄々それは気づいてたんだけどね。
本当にすごいな、ウェルマール領って。
「みんな、勝手に先行してすまない」
ハルは周りからの声にも動じずに、落ち着いた声でそう答えた。反応はそれはもう様々だった。呆れたように笑う人、面白そうに観察している人、安心したと力を抜いている人、尊敬の目で見つめている人もいるな。
でも全員がハルに好意的な反応だった。
「ハル、無事だったんだな」
そう声をかけたのは、ファーガスさんだった。
「まったく、急に駆け出したから何事かと思ったよ」
マチルダさんは笑いながら、無事でなによりだと続ける。
「ハルさんまで攫われたかと思いました…」
心配そうにジルさんがそう言えば、ウィリアムさんはいやいやと身を乗り出した。
「えー俺は我慢の限界が来て、一人で盗賊団のアジトまで駆けていったのかと思ったよ」
ふふと笑ったウィリアムさんは、でも理由があるんでしょう?何か成果はあったの?と続けて尋ねた。
うん、何だかハルへの信頼を感じられるその質問に、嬉しくなっちゃったよ。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。