生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1067.これからの予定

 俺達の心配なんて必要なかったんじゃないかと思うぐらいあっさりと、シュリくんは好意的に探索隊の皆に受け入れられた。

 キースくんと俺を乗せてくれてありがとうなーとお礼を言ってくれる人や、嫌じゃなければ撫でても良いかな?と近づいてくる人もいたよ。

 野生のウマが気に入った人に自分の意思でついてきたりするなんて事もたまにあるらしくて、このウマは二人を乗せるぐらい気に入ってくれたんだなーぐらいの感覚らしい。

 どうやって仲良くなったんだとか聞かれなくて良かったんだけどね。

「さて、それじゃあこれからどうするか…だな。意見がある者はいるか?」

 その場にいる全員を見回したファーガスさんは、改めてそう尋ねた。

「お二人とそのウマが助かったのはとても良い事ですが…私は盗賊団を野放しにはしたくありません!」
「それはもちろんそうだよねー、ね、ファーガス兄さん」
「ああ、野放しにはしない。被害もたくさん出ているからな」

 そう答えた瞬間、周りにいる人達から俺にも分かるぐらいの殺気が溢れた。

 こんな至近距離で殺気を浴びるなんて、シュリくんは怖がってないかな?

 心配になってそっと視線を向けたけど、さっき皆に囲まれて褒められたり撫でられたりしたからか、シュリくんは予想よりも落ち着いた様子だった。今は普通に皆の様子をじっと見つめている。

 ホッとしながら成り行きを眺めていると、不意にハルが口を開いた。

「ここに集まってくれた皆には悪いんだが、俺はここで離脱して二人とこのウマを連れて帰りたいと思ってる」

 え、ハルと俺達だけで先に帰っても良いの?

「まあそうなると思ってたよ。なぁ、ジル」

 マチルダさんは笑ってそう答えた。

「ええ。折角逃げてきたのに、その場所までもう一度一緒に行こうなんて言う方がどうかしていると思います」
「そうだよねー俺もそう思ってたよ、ジルー!」

 抱き着きかねない勢いで近づいて行ったウィリアムさんの顔を、ジルさんはさっと片手で押さえた。ううん、反応が慣れてる。

「やめてください、ウィリアム隊長」
「いつもみたいにウィルって呼んで欲しいのになー」

 とりあえずハルの家族の許可は出たけど、わざわざ志願してここに来てくれた他の人たちはどう思ってるんだろう。

「私も賛成です」
「一緒に盗賊団の方へ行くと言われた方が、ハル様の正気を疑ってました!」
「ですね。もしそう言われていたら、偽物かと思うところです!」
「それが一番良い案だと思います」
「保護した人は、迅速に安全な場所に移動させるのが鉄則ですからね!」

 そっと視線を向けた騎士の人達は、爽やかな笑顔で口々にそう答えてくれた。

「あー、俺は盗賊団に借りを返したいんだが…それにハルは必要ねぇからな!」
「ええ、ハルの代わりに存分にお礼をしてきましょうか」
「そうそう、俺達にまかせとけー」
「気にせずに大事な人を優先しとけよ」

 次いで目を向けた衛兵の人達は、それじゃあ気を付けてなーと片手を振りながら気軽にそう答えてくれた。

「ウマでの移動でしたら…そう危険も無いでしょう」
「ええ、ハル様がいれば大丈夫です」
「それよりももし盗賊団を放っておけば、またお二人に害を成すかもしれません」
「盗賊団の方を優先しましょうか」
「私も全力で盗賊団の方に対処いたしましょう」

 好戦的に笑った使用人の人たちは、俺達に向かってまた領主城でお会いできるのを楽しみにしておりますと声をかけてくれた。

「よし、満場一致で問題なしだな。帰って良いぞ、ハル」
「ありがとう、みんな」
「「ありがとうございます」」

 ハルの後ろで俺とキースくんも揃って頭を下げれば、隣にいたシュリくんも一緒になって頭を下げた。その光景に可愛いなーウマくんと喜ぶ声が聞こえてくる。

 うん、気持ちは分かる。想像しただけでも可愛い光景だもんね。

「それでは俺達はこのまま、盗賊団のアジトの方へと向かうか」
「あの…俺達を追って来てると思うので、アジトに着く前に出くわす可能性が高いと思います」

 牙蛇盗賊団の人たちは俺達を逃がしたらお頭に殺されると大騒ぎしていたと伝えれば、ファーガスさんは薄っすらと笑みを浮かべた。

「情報をありがとう、アキトくん。油断はせずに進むようにするよ」
「お頭に殺されると口にしたという事は…そこにはお頭はいないのか…?」
「ええ、そうかもしれませんね。それなら数人は確実に生け捕りにして情報を取らないといけませんね」
「大丈夫大丈夫。そこは俺達が上手くやるってー!」

 ぽんぽんと進んでいく会話に耳を傾けながら、きっとこの人たちを相手どって戦うのは大変だろうなとそんな事をぼんやりと考えていた。
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