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1080.花の違い
え、あれってそんなに見分け難いものだったの?そう思った俺は、こういう時にすかさず教えてくれるハルに、そっと視線を向けた。
「ルティルーの森にしか咲けないあのキャルの花、薬の材料になるって話しは聞いた?」
「あ、うん。キースくんがそれも教えてくれたよ。キャルの花はあそこからは持ち出せないから、森の中で薬を作ったりするんだって」
「そうそう。でもね、見た目はそっくりなクレールって花があるんだ」
そっちはどこの森にでも生えているけど、かなり強い毒性がある花らしい。
「え…じゃあ」
「そう、もしクレールの花とキャルの花の見分けに失敗したら、薬どころかすごく危ない毒薬ができちゃうんだよ」
え、それは笑顔で教えてくれて良い情報なの?と思ったけど、ハルはすぐに続けた。
「まあクレールの解毒剤は、衛兵詰所にも騎士団本部にも備えてあるし、冒険者や旅人なら持ってる人もいるからね」
「そうなんだ」
ちょっとだけ肩の力を抜けば、ケイリーさんが口を開いた。
「キャルの花を使った薬は、全てを集めて商業ギルドで鑑定しているんだ。きちんとした証明書のあるものしか、まともな店では販売されてないからね」
だからアキトくんも安心して良いよと、ケイリーさんは優しく教えてくれた。そっか。それはもっと安心できる情報かも。
「あのね、アキトくん。キャルの花にはちゃんと葉脈があるんだけど、クレールの花には葉脈が無いんだよ」
キースくんはさらりとそう見分け方を教えてくれた。
さっき見分けがつかないかもと言っていた使用人の人は、いそいそとメモを取っている。でも気持ちは分かるよ。
こうして見分け方を教えてもらうと、素材を見比べて採取する冒険者としてはそわそわしてしまう。
「キースくん、教えてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「そっか、葉脈を見て見分けてるのか…そう言われるとキャルの花とクレールの花、俺もこの目で違いを見比べてみたかったなー」
「うーん…キャルの花はあの森に行かないと駄目だから…今はちょっと行かせたくないな」
ただの思いつきでの言葉だったけど、困り顔のハルに申し訳なさそうに断られてしまった。
「ごめん。本気で行きたいわけじゃなくて…さすがに俺もしばらくはあの森には近づきたくないよ」
「そっか…今度枯れない花にキャルの花とクレールの花が無いか…聞いてみようか」
そっと耳元に顔を寄せたハルの言葉に、俺はバッと顔をあげた。
「ケンなら、どっちもこの領の名産だからーとか言いながら作っていそうじゃない?」
「うん、作ってると思う!今度レイさんに会いに行く時に聞いてみよう」
「ああ、そうしよう」
ひそひそと声を潜めてハルと話していると、みんなからは不思議そうに見つめられてしまった。
ごめんなさい。まだ皆のプレゼントが終わってないから、枯れない花の事を大々的に広めるわけにはいかないんだよね。
「ごめんね。今はまだ言えない話なんだ。話して良い時期になればきちんと話すから」
みんなを見回したハルがそう声をかければ、さすが領主城の使用人さんたちと言うべきか揃ってすっと引いてくれた。
「あ、僕もアキトくんのすごい所思い出したよ!」
不意にキースくんがそう言い出したのには驚いたけど、みんなは楽しそうに聞きたいですと答えてしまっていた。
「さっきの馬くんのための魔力を感じたハル兄がね、僕たちの所に一人で来てくれたんだけど…」
前置きとしてそう言おうとしたキースくんの言葉に、ハルはうっと声を洩らした。
「ハル…?」
にっこりと笑顔を浮かべたケイリーさんに名前を呼ばれて、ハルはぎこちなく視線をあげた。
「魔力を感じたからアキトが攻撃をするような状況にいるのかと気が焦って…その、単独行動をしてすまなかった」
「…まあ良いか。そうなるかもと思って総隊長につけなかったんだからね」
呆れつつも許してくれたケイリーさんに、ハルは目礼を返した。
「でね!その時近づいて来てるのがハル兄だって、僕たちには分からなくて」
「ああ、気配で誰が来たかまで判断するのは難しいからね」
ケイリーさんは、私も人まで特定するのは苦手だよと苦笑を浮かべた。まあグレースなら誰が来てるかも完璧に分かるけどねと自慢げに続けたのが、すごく可愛らしかった。
「ルティルーの森にしか咲けないあのキャルの花、薬の材料になるって話しは聞いた?」
「あ、うん。キースくんがそれも教えてくれたよ。キャルの花はあそこからは持ち出せないから、森の中で薬を作ったりするんだって」
「そうそう。でもね、見た目はそっくりなクレールって花があるんだ」
そっちはどこの森にでも生えているけど、かなり強い毒性がある花らしい。
「え…じゃあ」
「そう、もしクレールの花とキャルの花の見分けに失敗したら、薬どころかすごく危ない毒薬ができちゃうんだよ」
え、それは笑顔で教えてくれて良い情報なの?と思ったけど、ハルはすぐに続けた。
「まあクレールの解毒剤は、衛兵詰所にも騎士団本部にも備えてあるし、冒険者や旅人なら持ってる人もいるからね」
「そうなんだ」
ちょっとだけ肩の力を抜けば、ケイリーさんが口を開いた。
「キャルの花を使った薬は、全てを集めて商業ギルドで鑑定しているんだ。きちんとした証明書のあるものしか、まともな店では販売されてないからね」
だからアキトくんも安心して良いよと、ケイリーさんは優しく教えてくれた。そっか。それはもっと安心できる情報かも。
「あのね、アキトくん。キャルの花にはちゃんと葉脈があるんだけど、クレールの花には葉脈が無いんだよ」
キースくんはさらりとそう見分け方を教えてくれた。
さっき見分けがつかないかもと言っていた使用人の人は、いそいそとメモを取っている。でも気持ちは分かるよ。
こうして見分け方を教えてもらうと、素材を見比べて採取する冒険者としてはそわそわしてしまう。
「キースくん、教えてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「そっか、葉脈を見て見分けてるのか…そう言われるとキャルの花とクレールの花、俺もこの目で違いを見比べてみたかったなー」
「うーん…キャルの花はあの森に行かないと駄目だから…今はちょっと行かせたくないな」
ただの思いつきでの言葉だったけど、困り顔のハルに申し訳なさそうに断られてしまった。
「ごめん。本気で行きたいわけじゃなくて…さすがに俺もしばらくはあの森には近づきたくないよ」
「そっか…今度枯れない花にキャルの花とクレールの花が無いか…聞いてみようか」
そっと耳元に顔を寄せたハルの言葉に、俺はバッと顔をあげた。
「ケンなら、どっちもこの領の名産だからーとか言いながら作っていそうじゃない?」
「うん、作ってると思う!今度レイさんに会いに行く時に聞いてみよう」
「ああ、そうしよう」
ひそひそと声を潜めてハルと話していると、みんなからは不思議そうに見つめられてしまった。
ごめんなさい。まだ皆のプレゼントが終わってないから、枯れない花の事を大々的に広めるわけにはいかないんだよね。
「ごめんね。今はまだ言えない話なんだ。話して良い時期になればきちんと話すから」
みんなを見回したハルがそう声をかければ、さすが領主城の使用人さんたちと言うべきか揃ってすっと引いてくれた。
「あ、僕もアキトくんのすごい所思い出したよ!」
不意にキースくんがそう言い出したのには驚いたけど、みんなは楽しそうに聞きたいですと答えてしまっていた。
「さっきの馬くんのための魔力を感じたハル兄がね、僕たちの所に一人で来てくれたんだけど…」
前置きとしてそう言おうとしたキースくんの言葉に、ハルはうっと声を洩らした。
「ハル…?」
にっこりと笑顔を浮かべたケイリーさんに名前を呼ばれて、ハルはぎこちなく視線をあげた。
「魔力を感じたからアキトが攻撃をするような状況にいるのかと気が焦って…その、単独行動をしてすまなかった」
「…まあ良いか。そうなるかもと思って総隊長につけなかったんだからね」
呆れつつも許してくれたケイリーさんに、ハルは目礼を返した。
「でね!その時近づいて来てるのがハル兄だって、僕たちには分からなくて」
「ああ、気配で誰が来たかまで判断するのは難しいからね」
ケイリーさんは、私も人まで特定するのは苦手だよと苦笑を浮かべた。まあグレースなら誰が来てるかも完璧に分かるけどねと自慢げに続けたのが、すごく可愛らしかった。
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