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1087.【ハル視点】別行動
「よし、じゃあそろそろ領主城に帰ろうか。城で待つことを決めた使用人の皆も、きっと今頃そわそわしながら二人の帰りを待っているだろうしな」
早く顔を見せて安心させてやってくれと続けた父さんは、俺達が一緒に帰ると信じ切っているようだ。
さすがにすこし言い難いが、ここははっきりと告げるしかないよな。俺はちょっと待ってくれと、父さんに向かってそう声をかけた。
「どうした?」
不思議そうな父さんの向かい側で、アキトとキース、そしてシュリまで首を傾げて俺を見つめてくる。アキトとキースだけでも可愛かったのに、そこにシュリが加わると余計に可愛く感じるから不思議だな。
「ここからの帰り道なんだが…俺達は一緒には行けないから。父さんだけ、先に領主城まで帰って欲しいんだ…」
「えっ、一緒に帰らないのか!?」
びっくり顔の父さんには悪いが、一緒に帰るわけにはいかないきちんとした理由があるからな。俺は重々しくこくりと頷いてみせた。
「ああ、一緒には帰れない」
「…なぜだ?」
理由を教えてくれと、父さんは真剣な声でそう尋ねてくる。
どれだけ皆で一緒に帰りたいんだと言いたくなってくるぐらい、必死だな。だがまあ、もし俺が逆の立場なら理由ぐらいは知りたいと思うか。
そんな事を考えながらふと視線を向ければ、自分も理由が知りたいと言いたげにコクコクと頷いているアキトの姿が目に入った。アキトが知りたいならきっちりと説明しないとな。
「父さんのその恰好からして、今回はここの衛兵詰所をきちんとした公式の形で訪問してるんだろう?」
今日の父の服は、普段の服よりも明らかに貴族としての色をかなり強く出しているものだ。いくつもの勲章が目立つように下げられているし、飾り布や刺繍もかなり凝っている。
仕立てが軍服風なのも、父さんの公式用の服の特徴だ。
英雄として有名な父だからこそ、こういう軍服の要素が強い物の方が周りのうけが良いんだよな。
「まあ…そうだな。今回は衛兵の普段からの活躍に感謝をと、公式の文書も出しての訪問だよ」
何の理由もなく、いきなり衛兵詰所に押しかけたわけでは無かったんだな。まあ父さんがというよりも、おそらくボルトが手を回してくれたんだろうが。
「やっぱりそうか。それで…?しっかりと正装を着ているのに、まさかここまで一人で来たなんてわけはない…よな?」
いや待て、根回しはきちんとしているようだが、一人でやってきたという可能性もあるか。そう考えた俺は、眉間にぐっとしわを寄せながら尋ねた。父さんならやりかねない。
「まさか!今は裏の訓練場にいて貰っているが、ちゃんと護衛にと騎士団が一隊ついてきてくれてるよ」
慌てながら説明をする父さんに、俺はふうと息を吐いた。
「そうか、思いつきで飛び出してなくて良かったよ…まあボルトがいるから大丈夫だと思っていたんだが…」
ぼそりとそう続ければ、父さんはそっと視線を反らした。うん、やっぱり根回しをしたのも護衛を手配したのもボルトなんだな。
あとでお礼を言っておこう。
「護衛の騎士隊を連れた正装の領主様と一緒に領主城へと帰るなんて、絶対に目立ってしまうだろう?それじゃあ、せっかく冒険者の装備に変えた意味が無くなる」
出発したばかりの騎士が、何故かすぐに帰ってきたぞと思わせないための着替えだからな。わざわざ目立ってしまえば、意味が無い。
「あー…良い言い訳が何も思いつかない…」
父さんはぼそりとそう言うと、寂しそうにしょんぼりと肩を落とした。俺を説得するのは無理だと思いながらも、アキトとキースの優しさに縋ろうとしてるな。
「悪いが今回は諦めてくれ」
「…ああ、分かった」
まだ文句を言うようなら、ボルトならどう言うかな?と言おうかと思っていたんだが、思ったよりはあっさりと諦めてくれたな。
「父さんが出発した後で、俺達はすこしだけ時間をずらしてから帰るよ。父さんは使用人の皆に二人が無事に見つかったって事を伝えて欲しい」
「ああ、きちんと伝えるよ」
伝言を頼めば機嫌良く出発するかと思ったんだが、どうやらこれだけではまだその気にならないらしい。
「それに…城に戻れば母さんにも連絡が取れる。早く連絡してシュリをご両親に会わせてやりたいし…父さんも早く母さんに会いたいだろ?」
シュリと母さんを話題に出せば、父さんは嬉しそうにすぐさま立ち上がった。
「そうだな!そうしよう!だがあまり時間を開けすぎないでくれよ」
心配した使用人たちが街へ飛び出していくぞと笑いながら告げた父さんは、そのまま部屋から出ていった。
早く顔を見せて安心させてやってくれと続けた父さんは、俺達が一緒に帰ると信じ切っているようだ。
さすがにすこし言い難いが、ここははっきりと告げるしかないよな。俺はちょっと待ってくれと、父さんに向かってそう声をかけた。
「どうした?」
不思議そうな父さんの向かい側で、アキトとキース、そしてシュリまで首を傾げて俺を見つめてくる。アキトとキースだけでも可愛かったのに、そこにシュリが加わると余計に可愛く感じるから不思議だな。
「ここからの帰り道なんだが…俺達は一緒には行けないから。父さんだけ、先に領主城まで帰って欲しいんだ…」
「えっ、一緒に帰らないのか!?」
びっくり顔の父さんには悪いが、一緒に帰るわけにはいかないきちんとした理由があるからな。俺は重々しくこくりと頷いてみせた。
「ああ、一緒には帰れない」
「…なぜだ?」
理由を教えてくれと、父さんは真剣な声でそう尋ねてくる。
どれだけ皆で一緒に帰りたいんだと言いたくなってくるぐらい、必死だな。だがまあ、もし俺が逆の立場なら理由ぐらいは知りたいと思うか。
そんな事を考えながらふと視線を向ければ、自分も理由が知りたいと言いたげにコクコクと頷いているアキトの姿が目に入った。アキトが知りたいならきっちりと説明しないとな。
「父さんのその恰好からして、今回はここの衛兵詰所をきちんとした公式の形で訪問してるんだろう?」
今日の父の服は、普段の服よりも明らかに貴族としての色をかなり強く出しているものだ。いくつもの勲章が目立つように下げられているし、飾り布や刺繍もかなり凝っている。
仕立てが軍服風なのも、父さんの公式用の服の特徴だ。
英雄として有名な父だからこそ、こういう軍服の要素が強い物の方が周りのうけが良いんだよな。
「まあ…そうだな。今回は衛兵の普段からの活躍に感謝をと、公式の文書も出しての訪問だよ」
何の理由もなく、いきなり衛兵詰所に押しかけたわけでは無かったんだな。まあ父さんがというよりも、おそらくボルトが手を回してくれたんだろうが。
「やっぱりそうか。それで…?しっかりと正装を着ているのに、まさかここまで一人で来たなんてわけはない…よな?」
いや待て、根回しはきちんとしているようだが、一人でやってきたという可能性もあるか。そう考えた俺は、眉間にぐっとしわを寄せながら尋ねた。父さんならやりかねない。
「まさか!今は裏の訓練場にいて貰っているが、ちゃんと護衛にと騎士団が一隊ついてきてくれてるよ」
慌てながら説明をする父さんに、俺はふうと息を吐いた。
「そうか、思いつきで飛び出してなくて良かったよ…まあボルトがいるから大丈夫だと思っていたんだが…」
ぼそりとそう続ければ、父さんはそっと視線を反らした。うん、やっぱり根回しをしたのも護衛を手配したのもボルトなんだな。
あとでお礼を言っておこう。
「護衛の騎士隊を連れた正装の領主様と一緒に領主城へと帰るなんて、絶対に目立ってしまうだろう?それじゃあ、せっかく冒険者の装備に変えた意味が無くなる」
出発したばかりの騎士が、何故かすぐに帰ってきたぞと思わせないための着替えだからな。わざわざ目立ってしまえば、意味が無い。
「あー…良い言い訳が何も思いつかない…」
父さんはぼそりとそう言うと、寂しそうにしょんぼりと肩を落とした。俺を説得するのは無理だと思いながらも、アキトとキースの優しさに縋ろうとしてるな。
「悪いが今回は諦めてくれ」
「…ああ、分かった」
まだ文句を言うようなら、ボルトならどう言うかな?と言おうかと思っていたんだが、思ったよりはあっさりと諦めてくれたな。
「父さんが出発した後で、俺達はすこしだけ時間をずらしてから帰るよ。父さんは使用人の皆に二人が無事に見つかったって事を伝えて欲しい」
「ああ、きちんと伝えるよ」
伝言を頼めば機嫌良く出発するかと思ったんだが、どうやらこれだけではまだその気にならないらしい。
「それに…城に戻れば母さんにも連絡が取れる。早く連絡してシュリをご両親に会わせてやりたいし…父さんも早く母さんに会いたいだろ?」
シュリと母さんを話題に出せば、父さんは嬉しそうにすぐさま立ち上がった。
「そうだな!そうしよう!だがあまり時間を開けすぎないでくれよ」
心配した使用人たちが街へ飛び出していくぞと笑いながら告げた父さんは、そのまま部屋から出ていった。
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