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1104.商業ギルド
そっか。その盗品の鑑定に立ち会ってるから、ケイリーさんはいま執務室にいないのか。もしかしたらそういう場には一番偉い人が立ち会うとか、そういう決まりがあったりするのかな。
そんな事を何となく考えていると、不意にハルが口を開いた。
「ボルト。探索隊は明け方に帰って来たばかりと言ったよね」
「はい、その通りです」
ボルトさんはすぐさま姿勢を正して、はっきりとそう答えた。ハルは納得がいかないという表情で質問を続ける。
「…それなのに、もう商業ギルドの鑑定魔法士が…来てるのか?」
「はい、既に鑑定作業に入っていますよ」
「普段なら来るまでにもっと時間がかかるのに―――今日はすいぶんと早くないか?」
ああ、そうか。鑑定魔法が使える人は基本的に大忙しなんだって、前にハルから聞いた事があるな。特に腕が良ければ良いほど忙しいって言ってたはず。商業ギルドに抱え込まれてるような人は特に凄腕だって聞いてるから、それだけ忙しいって事だよね。
そんな商業ギルドの鑑定魔法士さんが既に来てる事に、ハルは驚いてるのか。
不思議そうに首を傾げながらのハルの質問に、ボルトさんはにっこりと笑みを返した。
「キース様とアキト様がお戻りになった時点で、商業ギルドには数日中には盗賊団を潰せるだろうと一報を入れておきました」
つまりボルトさんが素早く根回ししてくれていたから、商業ギルドもすぐに動いてくれた…って事なのかな?
ボルトさんはすごいなと俺は感心したんだけど、ハルはまだ首を傾げている。
「それにしても…やっぱり早すぎないか?」
「アキト様とキース様、お二人の行方についての調査に当たっていた陰護衛組から、最近の牙蛇盗賊団は商人を主に狙っていたようだという報告がありました」
「そうなのか?」
「ええ、ですので、商業ギルドには被害にあった商人の品がわずかでも取り戻せるかもしれないという情報も、しっかりとお伝えしておきましたよ」
なるほどと、ハルは面白そうに笑った。
なんでもハルによると商業ギルドというのは、商人を守るために存在していると公言している組織らしい。だからこそ、分かりやすく商人の利になると分かれば、他の何よりも優先して動いてくれる事があるらしい。
そう言う事かと聞いていると、ボルトさんが横から口を開いた。
「それに…どうやら商業ギルドには、牙蛇盗賊団の被害にあったという商人からの届け出がいくつも来ていたらしいのです。ですがその情報を、わざと隠していたようなんですよ」
衛兵の調査によると、ただでさえ危険だと言われている辺境に来てくれる商人を、これ以上減らしたくなかったとそう言っていたらしい。
えー、そういう問題なの?って言いたくなるよね。どこが商人を守るために存在してる組織なんだろうって、疑問に思ってしまう返答だ。
「それはひどいな」
「私も全ての情報を一般市民に広く公開しろとまでは言いませんが、衛兵隊にも騎士団にも、そして領主様一家にも一切情報を回していなかったのには問題があるでしょう?」
にっこり笑顔のボルトさんだけど、目は全く笑ってない。衛兵隊と騎士団にはともかく、領主様一家にぐらいは伝えておけって怒ってる顔だ。
まあでも、ボルトさんの気もちは分かる。
「もしもっと早く商業ギルドが情報を回してくれていたら、もっと早く盗賊団に対処できていたかもしれないですもんね…被害にあう人も減ったかもしれない…」
思わずぼそりとそう呟いた俺に、ハルもボルトさんもそうだなと言わんばかりに頷いてくれた。
「それに…もっと早く対処できていたら、アキトもキースも攫われていなかったかも…だよね」
あ、ハルが悪い笑みを浮かべている。
「そこの所は、領主様がきっちりと抗議をしてくださいましたよ」
久しぶりに本気で怒ったケイリー様を拝見しましたと、ボルトさんは楽しそうに笑っている。
「それで鑑定魔法士を回してもらったんだな」
「ええ、鑑定が遅くなると、その分報告書の処理も遅くなりますからね」
「少しでも早く事件を終わらせるためだな」
「ええ、その通りです」
ケイリーさんは王都にある商業ギルドの本部にも、今回の一件をきちんと報告したらしい。情報の隠蔽にあたるから、さすがに隠すわけにはいかないんだって。
でも領主としては処罰は求めないとして、その代わりにと鑑定魔法士を回してもらったそうだ。
「もし鑑定に興味がおありなら、ハロルド様とアキト様なら鑑定の場に顔を出しても問題は無いですが…」
「アキト、興味はある?」
「え、ううん?」
持ち主の元にちゃんと戻ると良いねとは思うけど、逆に言えばそれぐらいの興味しかない。
「俺も興味は無いな。鑑定魔法士を睨んでしまいそうだし…やめておこう」
「かしこまりました」
すっとお辞儀をしたボルトさんは、食事の用意はラスに頼んでありますので応接室へどうぞと教えてくれた。
今度こそ、朝ごはん…いや昼ごはんかな。
そんな事を何となく考えていると、不意にハルが口を開いた。
「ボルト。探索隊は明け方に帰って来たばかりと言ったよね」
「はい、その通りです」
ボルトさんはすぐさま姿勢を正して、はっきりとそう答えた。ハルは納得がいかないという表情で質問を続ける。
「…それなのに、もう商業ギルドの鑑定魔法士が…来てるのか?」
「はい、既に鑑定作業に入っていますよ」
「普段なら来るまでにもっと時間がかかるのに―――今日はすいぶんと早くないか?」
ああ、そうか。鑑定魔法が使える人は基本的に大忙しなんだって、前にハルから聞いた事があるな。特に腕が良ければ良いほど忙しいって言ってたはず。商業ギルドに抱え込まれてるような人は特に凄腕だって聞いてるから、それだけ忙しいって事だよね。
そんな商業ギルドの鑑定魔法士さんが既に来てる事に、ハルは驚いてるのか。
不思議そうに首を傾げながらのハルの質問に、ボルトさんはにっこりと笑みを返した。
「キース様とアキト様がお戻りになった時点で、商業ギルドには数日中には盗賊団を潰せるだろうと一報を入れておきました」
つまりボルトさんが素早く根回ししてくれていたから、商業ギルドもすぐに動いてくれた…って事なのかな?
ボルトさんはすごいなと俺は感心したんだけど、ハルはまだ首を傾げている。
「それにしても…やっぱり早すぎないか?」
「アキト様とキース様、お二人の行方についての調査に当たっていた陰護衛組から、最近の牙蛇盗賊団は商人を主に狙っていたようだという報告がありました」
「そうなのか?」
「ええ、ですので、商業ギルドには被害にあった商人の品がわずかでも取り戻せるかもしれないという情報も、しっかりとお伝えしておきましたよ」
なるほどと、ハルは面白そうに笑った。
なんでもハルによると商業ギルドというのは、商人を守るために存在していると公言している組織らしい。だからこそ、分かりやすく商人の利になると分かれば、他の何よりも優先して動いてくれる事があるらしい。
そう言う事かと聞いていると、ボルトさんが横から口を開いた。
「それに…どうやら商業ギルドには、牙蛇盗賊団の被害にあったという商人からの届け出がいくつも来ていたらしいのです。ですがその情報を、わざと隠していたようなんですよ」
衛兵の調査によると、ただでさえ危険だと言われている辺境に来てくれる商人を、これ以上減らしたくなかったとそう言っていたらしい。
えー、そういう問題なの?って言いたくなるよね。どこが商人を守るために存在してる組織なんだろうって、疑問に思ってしまう返答だ。
「それはひどいな」
「私も全ての情報を一般市民に広く公開しろとまでは言いませんが、衛兵隊にも騎士団にも、そして領主様一家にも一切情報を回していなかったのには問題があるでしょう?」
にっこり笑顔のボルトさんだけど、目は全く笑ってない。衛兵隊と騎士団にはともかく、領主様一家にぐらいは伝えておけって怒ってる顔だ。
まあでも、ボルトさんの気もちは分かる。
「もしもっと早く商業ギルドが情報を回してくれていたら、もっと早く盗賊団に対処できていたかもしれないですもんね…被害にあう人も減ったかもしれない…」
思わずぼそりとそう呟いた俺に、ハルもボルトさんもそうだなと言わんばかりに頷いてくれた。
「それに…もっと早く対処できていたら、アキトもキースも攫われていなかったかも…だよね」
あ、ハルが悪い笑みを浮かべている。
「そこの所は、領主様がきっちりと抗議をしてくださいましたよ」
久しぶりに本気で怒ったケイリー様を拝見しましたと、ボルトさんは楽しそうに笑っている。
「それで鑑定魔法士を回してもらったんだな」
「ええ、鑑定が遅くなると、その分報告書の処理も遅くなりますからね」
「少しでも早く事件を終わらせるためだな」
「ええ、その通りです」
ケイリーさんは王都にある商業ギルドの本部にも、今回の一件をきちんと報告したらしい。情報の隠蔽にあたるから、さすがに隠すわけにはいかないんだって。
でも領主としては処罰は求めないとして、その代わりにと鑑定魔法士を回してもらったそうだ。
「もし鑑定に興味がおありなら、ハロルド様とアキト様なら鑑定の場に顔を出しても問題は無いですが…」
「アキト、興味はある?」
「え、ううん?」
持ち主の元にちゃんと戻ると良いねとは思うけど、逆に言えばそれぐらいの興味しかない。
「俺も興味は無いな。鑑定魔法士を睨んでしまいそうだし…やめておこう」
「かしこまりました」
すっとお辞儀をしたボルトさんは、食事の用意はラスに頼んでありますので応接室へどうぞと教えてくれた。
今度こそ、朝ごはん…いや昼ごはんかな。
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