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1114.【ハル視点】目覚めて最初に
身じろぎをした俺は、ふと目を覚ました。
「ん…」
ああ、俺は眠っていたのか。まだ寝ぼけた頭でそんな事を考えながら、そっと目を開いた。
部屋の中は思っていたよりも眩しくて、うっすらとしか目が開けられなかった。この明るさは、もしかしてもう昼が近いんだろうか。
それほどゆっくり眠ってしまったのか?
そんな事を思いつつぼんやりと周りの景色を見るともなしに眺めていると、ふとこちらを見つめている視線がある事に気が付いた。目線を動かしてそちらを見てみれば、ふわりと笑みを浮かべたアキトの顔が見えた。
あ、アキトだ。思わずじっと見つめれば、アキトはふふと楽し気に笑った。
「おはよ、ハル」
可愛らしい笑顔と甘くて優しい声の呼びかけに、俺はパチパチと何度か瞬きを繰り返した。
アキトは…本当にここまで帰ってきたんだよな。これは俺が見てる夢とかじゃないよな。挨拶を返しても、消えたりしない――よな。
「おはよう、アキト」
内心少しだけ怯えながらもぽつりと挨拶を返せば、アキトは更に優しい笑顔に変わった。
うん、やっぱりこの笑顔は本物のアキトだな。きちんと確認できたところで、俺はようやく自分が両腕でアキトを抱きこんで眠っていた事に気が付いた。
あー…そういえば昨日眠る前に、抱きしめて眠りたいなんて恥ずかしい事を言ったんだったな。心よくアキトが応じてくれたのは、さすがに覚えている。
ただ前の夜の睡眠不足のせいで、そこからの記憶は一切無い。たぶんすぐに寝落ちしてしまったんだろうな。
それにしても、まさか朝まで抱きこんだまま眠っていたとは。今もまだアキトを解放する気は無いと言わんばかりに抱きしめている自分の両腕を、他人事のように呆れ顔で見つめてしまった。
「思いっきり抱き着いてたみたいだけど…ちゃんと眠れた?」
恐る恐るそう声をかければ、アキトは嬉しそうに笑顔で頷いてくれた。
「うん、ぐっすり眠ってたよ。さっき目を覚ますまでずーっと熟睡してた」
そう続けたアキトに、俺は強張っていた体の力を抜いた。
「なら良かった」
「ハルもぐっすり寝れた?」
すこし心配そうに尋ねられたが、俺は笑顔で頷いた。
「ああ、アキトのおかげでね。夢も見ずにぐっすりだったよ」
「それなら良かった」
「あーまだ起きたくないな」
このまま腕の中にアキトを抱きしめたまま、ベッドでごろごろしていたい。きっとそれは最高に幸せな時間だと思うんだよな。
「じゃあ二度寝しちゃう?」
「魅力的なお誘いだね」
しばらくクスクスと笑い合った後、俺はそーっとアキトに手を伸ばした。
アキトは咎めるでもなくじっと俺の手を見つめている。寝転がったまま、俺は伸ばした手でアキトの頬をするりと撫でた。
「アキトは…ちゃんとここにいるよね?」
あまりにも今のこの時間が幸せすぎて、急に不安になってしまった。アキトの頬を確かめるように何度も何度も撫でながら尋ねれば、アキトはコクリと頷いた。
「うん、ちゃんとここにいるよ」
「…そっか。夢じゃなくて、本当に良かった」
アキトとキースが攫われてしまってからは、本当に生きた心地がしなかった。もしこのまま二人がどこか手の届かない遠くへ行ってしまったらどうしようという不安が、常に頭の片隅にあった。
いや、だが、もしキースが一緒じゃなかったら、もっと取り乱していたかもしれない。
いつの間にか一人で異世界に戻ってしまったのかもなんて、考えて絶望していたかもしれない。絶望してもそれでも諦めきれずに、世界中をただ彷徨う事になっていたかもしれないな。
想像だけでぞっとしている間に、俺が頬を撫でる手をアキトの手がきゅっと握りしめた。
「うん、夢なんかじゃないよ。ちゃんとハルが助けに来てくれたでしょ?」
「うーん、助けに行ったというよりも、迎えに行っただけって感じだったけどね…」
脱出も移動も皆で出来てたんだしと続けた俺の言葉に、アキトはふるふると左右に首を振った。
「ハルがわざわざ迎えに来てくれて、俺はすごく嬉しかったよ?」
「…そう?」
「うん。すっごく緊張してたし不安もあったけど、ハルの顔を見たらもう大丈夫だって思えたからね」
役に立てなかったと思っていたけれど、アキトがそう言ってくれるなら行って良かったな。
「…それなら迎えに行けて良かったな」
こんな時ですら俺の気持ちを軽くしてくれるんだから、アキトは本当にすごいな。
「ん…」
ああ、俺は眠っていたのか。まだ寝ぼけた頭でそんな事を考えながら、そっと目を開いた。
部屋の中は思っていたよりも眩しくて、うっすらとしか目が開けられなかった。この明るさは、もしかしてもう昼が近いんだろうか。
それほどゆっくり眠ってしまったのか?
そんな事を思いつつぼんやりと周りの景色を見るともなしに眺めていると、ふとこちらを見つめている視線がある事に気が付いた。目線を動かしてそちらを見てみれば、ふわりと笑みを浮かべたアキトの顔が見えた。
あ、アキトだ。思わずじっと見つめれば、アキトはふふと楽し気に笑った。
「おはよ、ハル」
可愛らしい笑顔と甘くて優しい声の呼びかけに、俺はパチパチと何度か瞬きを繰り返した。
アキトは…本当にここまで帰ってきたんだよな。これは俺が見てる夢とかじゃないよな。挨拶を返しても、消えたりしない――よな。
「おはよう、アキト」
内心少しだけ怯えながらもぽつりと挨拶を返せば、アキトは更に優しい笑顔に変わった。
うん、やっぱりこの笑顔は本物のアキトだな。きちんと確認できたところで、俺はようやく自分が両腕でアキトを抱きこんで眠っていた事に気が付いた。
あー…そういえば昨日眠る前に、抱きしめて眠りたいなんて恥ずかしい事を言ったんだったな。心よくアキトが応じてくれたのは、さすがに覚えている。
ただ前の夜の睡眠不足のせいで、そこからの記憶は一切無い。たぶんすぐに寝落ちしてしまったんだろうな。
それにしても、まさか朝まで抱きこんだまま眠っていたとは。今もまだアキトを解放する気は無いと言わんばかりに抱きしめている自分の両腕を、他人事のように呆れ顔で見つめてしまった。
「思いっきり抱き着いてたみたいだけど…ちゃんと眠れた?」
恐る恐るそう声をかければ、アキトは嬉しそうに笑顔で頷いてくれた。
「うん、ぐっすり眠ってたよ。さっき目を覚ますまでずーっと熟睡してた」
そう続けたアキトに、俺は強張っていた体の力を抜いた。
「なら良かった」
「ハルもぐっすり寝れた?」
すこし心配そうに尋ねられたが、俺は笑顔で頷いた。
「ああ、アキトのおかげでね。夢も見ずにぐっすりだったよ」
「それなら良かった」
「あーまだ起きたくないな」
このまま腕の中にアキトを抱きしめたまま、ベッドでごろごろしていたい。きっとそれは最高に幸せな時間だと思うんだよな。
「じゃあ二度寝しちゃう?」
「魅力的なお誘いだね」
しばらくクスクスと笑い合った後、俺はそーっとアキトに手を伸ばした。
アキトは咎めるでもなくじっと俺の手を見つめている。寝転がったまま、俺は伸ばした手でアキトの頬をするりと撫でた。
「アキトは…ちゃんとここにいるよね?」
あまりにも今のこの時間が幸せすぎて、急に不安になってしまった。アキトの頬を確かめるように何度も何度も撫でながら尋ねれば、アキトはコクリと頷いた。
「うん、ちゃんとここにいるよ」
「…そっか。夢じゃなくて、本当に良かった」
アキトとキースが攫われてしまってからは、本当に生きた心地がしなかった。もしこのまま二人がどこか手の届かない遠くへ行ってしまったらどうしようという不安が、常に頭の片隅にあった。
いや、だが、もしキースが一緒じゃなかったら、もっと取り乱していたかもしれない。
いつの間にか一人で異世界に戻ってしまったのかもなんて、考えて絶望していたかもしれない。絶望してもそれでも諦めきれずに、世界中をただ彷徨う事になっていたかもしれないな。
想像だけでぞっとしている間に、俺が頬を撫でる手をアキトの手がきゅっと握りしめた。
「うん、夢なんかじゃないよ。ちゃんとハルが助けに来てくれたでしょ?」
「うーん、助けに行ったというよりも、迎えに行っただけって感じだったけどね…」
脱出も移動も皆で出来てたんだしと続けた俺の言葉に、アキトはふるふると左右に首を振った。
「ハルがわざわざ迎えに来てくれて、俺はすごく嬉しかったよ?」
「…そう?」
「うん。すっごく緊張してたし不安もあったけど、ハルの顔を見たらもう大丈夫だって思えたからね」
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「…それなら迎えに行けて良かったな」
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