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1138.【ハル視点】新しい料理
テーブルの上には、ラスが作ってくれたたくさんの料理が並んでいる。どの料理も自信作なのだろうと分かるぐらい、本当に美味しい料理ばかりだった。
その中でも特にアキトが気に入ったのは、好物であるハーレの新メニューと、一口サイズの小さなパンに様々な具材を挟んだ料理だったようだ。
この料理は、わざと小さなサイズに焼き上げたパンを上下半分に切り分け、その間に野菜と共に様々な料理を具材として挟んで仕上げているもののようだ。
色合いまで考えて作られているのだろうその小さなパンは、見た目も華やかで可愛らしい。
それにしても、だいたいの料理はあの地域の料理が元になっているのかと分かるものなんだが、これは今まで一度も見た事のない料理だな。ラスが考えた新しい料理なんだろうか。それとも俺が知らないどこかの料理なのかもしれない。
どちらにしてもその料理の名前すら分からないのが、少し残念だ。今度あの料理の名前は何だったのかと、ラスに忘れずに聞いておかないとな。
そう考えてしまうぐらい、アキトは嬉しそうに何度も手を伸ばしていた。
具材によって全然違う味になるだろうから、きっと全種類を食べたいと思っているんだろうな。
「アキトはそれがすごく気に入ったんだね」
俺も分厚く切って焼いた肉を挟んだものは食べてみたが、たしかに美味しかった。
そう思いつつ声をかければ、アキトは照れながらもこくりと頷いてくれた。
「うん、味もすっごく美味しいんだけど、この見た目もね…ちょっと懐かしくて」
「え、そうなの?」
たしかにじっと見つめてはいたが、ただ珍しい料理だなとでも思っているのかと――。そうか、懐かしいと思うような料理だったのか。
「うん、故郷でね、こういう食べ物があったんだ。まあ挟んでる具材は全然違うし、もっと大きかったんだけどね」
ふふと笑いながらそう教えてくれたアキトに何と返すべきかと考えていると、不意にジルさんが口を開いた。
「アキトさん」
「はい!どうかしましたか?」
アキトが視線を向けたのと同時に視線を向けたが、ジルさんは真剣な表情で続けた。
「…もしアキトさんさえよろしければ…ですが、ラスにこういう具材が挟んであったとかもっと大きなパンだったとかそういう情報を伝えてみるというのは…どうでしょう?」
なるほど。それは良いかもしれないな。アキトが食べたいという理由なら、ラスが断るわけがない。
「え…っ?でも、迷惑じゃないですか?」
「迷惑では無いですよ。アキトさんは懐かしい料理が食べられて嬉しいでしょうし、ラスもきっと新しい料理の事が知れて嬉しいでしょうから」
もちろんアキトさんの気持ち次第ですがと、ジルさんは優しく笑ってそう続けた。そう、俺達は決して異世界人の知識を利用したいわけでは無いからな。アキトが嫌だというなら、断ってもらっても問題は無い。
きちんとここでそう付け加えてアキトに判断を委ねてくれるんだから、ジルさんはやっぱり賢い人だと思う。
アキトは戸惑った様子で俺の方をちらりと見たが、俺はうんうんと頷きながら口を開いた。
「ラスならきっと大喜びで、張り切って作ろうとするだろうな。まあアキトの気が向いたら程度で良いけどな」
ラスだけじゃなくレーブンとローガンに頼むという手もあるぞと、俺はさらりとそう続けた。
別にここでレーブンとローガンの名前を出さないと、二人に恨まれそうだと考えたわけではない。アキトが気軽に頼める相手と考えて浮かんだのが、その二人だっただけだ。
「そっか…俺はそこまでの料理の腕が無いから再現とかはできないけど、ラスさんとかレーブンさん、ローガンさんなら作れるかもしれないんだ」
「ああ、むしろ頼られたと喜ぶだろうな」
「うん、今度機会があれば話してみようかな」
アキトはワクワクした様子で、ジルさんに向かって笑顔をみせた。
「ジルさん、良い事を教えてくれてありがとうございます」
「いえ、余計な事で無かったなら良かったです」
ニコニコと笑い合っていると、静かに俺達のやりとりを見守っていたキースがそっと口を開いた。
「アキトくん…」
「ん?」
「その再現したやつ、うまくできたら僕も食べたい…なー」
駄目かな?と言いたげにチラチラと視線を送るキースの姿に、アキトはすぐに答えた。
「もちろん!まだ作ってくれるかも分からないけど、でも完成した時には一緒に食べてくれたら俺も嬉しいよ!」
「良かったー約束だよ」
「うん、約束しよ」
へへーと笑い合ったアキトとキースは、今度は揃ってデザートへと手を伸ばした。楽しそうで何よりだなと思いながら、俺はジルさんに感謝の目礼を送っておいた。
四人で楽しい食事の時間を過ごした後は、アキトと俺、そしてキースの三人で厩舎へと向かう事になった。
これからどうしようかとみんなで相談した時に、アキトとキースからシュリがどうしているかが気になるという意見が出たんだ。
元々もしこのあと何も予定が無いようならシュリの所に行かないかと誘うつもりだったから、もちろん俺には何の異論も無い。
ジルさんだけは、そろそろウィルが起きてくる頃だと思うのでと言って笑顔で帰っていった。
朝の挨拶もせずに出てきたからとまるで言い訳のように言っていたけれど、あれは間違いなくただ会いたいだけだと思う。ウィル兄も愛されているようでなによりだ。
その中でも特にアキトが気に入ったのは、好物であるハーレの新メニューと、一口サイズの小さなパンに様々な具材を挟んだ料理だったようだ。
この料理は、わざと小さなサイズに焼き上げたパンを上下半分に切り分け、その間に野菜と共に様々な料理を具材として挟んで仕上げているもののようだ。
色合いまで考えて作られているのだろうその小さなパンは、見た目も華やかで可愛らしい。
それにしても、だいたいの料理はあの地域の料理が元になっているのかと分かるものなんだが、これは今まで一度も見た事のない料理だな。ラスが考えた新しい料理なんだろうか。それとも俺が知らないどこかの料理なのかもしれない。
どちらにしてもその料理の名前すら分からないのが、少し残念だ。今度あの料理の名前は何だったのかと、ラスに忘れずに聞いておかないとな。
そう考えてしまうぐらい、アキトは嬉しそうに何度も手を伸ばしていた。
具材によって全然違う味になるだろうから、きっと全種類を食べたいと思っているんだろうな。
「アキトはそれがすごく気に入ったんだね」
俺も分厚く切って焼いた肉を挟んだものは食べてみたが、たしかに美味しかった。
そう思いつつ声をかければ、アキトは照れながらもこくりと頷いてくれた。
「うん、味もすっごく美味しいんだけど、この見た目もね…ちょっと懐かしくて」
「え、そうなの?」
たしかにじっと見つめてはいたが、ただ珍しい料理だなとでも思っているのかと――。そうか、懐かしいと思うような料理だったのか。
「うん、故郷でね、こういう食べ物があったんだ。まあ挟んでる具材は全然違うし、もっと大きかったんだけどね」
ふふと笑いながらそう教えてくれたアキトに何と返すべきかと考えていると、不意にジルさんが口を開いた。
「アキトさん」
「はい!どうかしましたか?」
アキトが視線を向けたのと同時に視線を向けたが、ジルさんは真剣な表情で続けた。
「…もしアキトさんさえよろしければ…ですが、ラスにこういう具材が挟んであったとかもっと大きなパンだったとかそういう情報を伝えてみるというのは…どうでしょう?」
なるほど。それは良いかもしれないな。アキトが食べたいという理由なら、ラスが断るわけがない。
「え…っ?でも、迷惑じゃないですか?」
「迷惑では無いですよ。アキトさんは懐かしい料理が食べられて嬉しいでしょうし、ラスもきっと新しい料理の事が知れて嬉しいでしょうから」
もちろんアキトさんの気持ち次第ですがと、ジルさんは優しく笑ってそう続けた。そう、俺達は決して異世界人の知識を利用したいわけでは無いからな。アキトが嫌だというなら、断ってもらっても問題は無い。
きちんとここでそう付け加えてアキトに判断を委ねてくれるんだから、ジルさんはやっぱり賢い人だと思う。
アキトは戸惑った様子で俺の方をちらりと見たが、俺はうんうんと頷きながら口を開いた。
「ラスならきっと大喜びで、張り切って作ろうとするだろうな。まあアキトの気が向いたら程度で良いけどな」
ラスだけじゃなくレーブンとローガンに頼むという手もあるぞと、俺はさらりとそう続けた。
別にここでレーブンとローガンの名前を出さないと、二人に恨まれそうだと考えたわけではない。アキトが気軽に頼める相手と考えて浮かんだのが、その二人だっただけだ。
「そっか…俺はそこまでの料理の腕が無いから再現とかはできないけど、ラスさんとかレーブンさん、ローガンさんなら作れるかもしれないんだ」
「ああ、むしろ頼られたと喜ぶだろうな」
「うん、今度機会があれば話してみようかな」
アキトはワクワクした様子で、ジルさんに向かって笑顔をみせた。
「ジルさん、良い事を教えてくれてありがとうございます」
「いえ、余計な事で無かったなら良かったです」
ニコニコと笑い合っていると、静かに俺達のやりとりを見守っていたキースがそっと口を開いた。
「アキトくん…」
「ん?」
「その再現したやつ、うまくできたら僕も食べたい…なー」
駄目かな?と言いたげにチラチラと視線を送るキースの姿に、アキトはすぐに答えた。
「もちろん!まだ作ってくれるかも分からないけど、でも完成した時には一緒に食べてくれたら俺も嬉しいよ!」
「良かったー約束だよ」
「うん、約束しよ」
へへーと笑い合ったアキトとキースは、今度は揃ってデザートへと手を伸ばした。楽しそうで何よりだなと思いながら、俺はジルさんに感謝の目礼を送っておいた。
四人で楽しい食事の時間を過ごした後は、アキトと俺、そしてキースの三人で厩舎へと向かう事になった。
これからどうしようかとみんなで相談した時に、アキトとキースからシュリがどうしているかが気になるという意見が出たんだ。
元々もしこのあと何も予定が無いようならシュリの所に行かないかと誘うつもりだったから、もちろん俺には何の異論も無い。
ジルさんだけは、そろそろウィルが起きてくる頃だと思うのでと言って笑顔で帰っていった。
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