生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1147.お礼を言いたい

 厩舎の一室でギュームさんたちとたくさんの話をした後は、俺たちの救出のためにわざわざ志願してあの森まで来てくれた人たちにお礼を言って回る事に決めた。

 どうしても、改めて直接お礼が言いたかったんだ。

 キースくんもどうやら同じ気持ちだったみたいで、お礼を言って回る事自体はすぐに決まったんだ。

 でも、俺達は誰が参加してくれてたのかをはっきりと覚えてないんだよね。

 あの森の中で助かって良かったって声をかけてくれた人のうちの何人かの顔は、さすがに覚えてる。でもその人の名前まで分からないんだよね。ハルのお師匠様が来てくれてたのと、メイド長のリモさんが来てくれてたのは覚えてるんだけど。

「…キースくん、誰が来てくれてたか覚えてる?」

 小さな声でこっそりとそう尋ねれば、キースくんはあんまり自信が無さそうに指を折りながら数人の名前をあげてくれた。

「あんまり覚えてない…ごめんね」
「いやいや、俺よりはよっぽど覚えてるよ」

 落ち込む前にと俺は慌てて口を開いた。
 
「えーっと…ハルは誰が参加してたか…覚えてる?」
「ああ、ある程度は覚えているし、ここに参加者の一覧があるよ」

 ハルの魔導収納のついた腕輪から、数枚の紙がさっと取り出される。そこには確かに所属と名前がずらりと並んでいた。

「え、これ、わざわざ用意してくれてたの…?」
「まぁね。きっとアキトとキースなら、お礼を言いたいと言うだろうなと思って」

 予想通りだったねと笑ったハルは、キースくんにもさすがハル兄と褒められて嬉しそうにしている。

「うん、ハルはやっぱり頼りになるね」
「褒めてくれてありがとう」

 ふふっと笑ったハルは、まずは騎士団本部に向かおうかと提案してくれた。

「昨夜はあそこで眠った筈だからね。まあ、ウィル兄さんが起きるような時間帯だから、全員がそこにいるわけじゃないだろうけど…数人はいると思うんだ」
「うん、それじゃあそこまで案内お願いします」
「まかせて」

 ハルとキースくんと両手を繋いで、俺はゆっくりと歩き出した。



 辿り着いた騎士団本部の広間には、ハルの予想通りまだ数人の人の姿があった。

 寛いだ様子の騎士団の人もいれば、まだ眠そうに目を擦っている衛兵の人、そんな人たちの間をきびきびと動いている使用人さんもいる。

「これはこれは。ハロルド様、キース様、アキト様、おはようございます。何かこちらにご用でしょうか?」

 まじまじと広間の人たちを観察していると、ちょうど目があった侍従さんからそう声をかけられた。

「おはよう」
「おはようございます」
「おはよー!」

 それぞれが挨拶を返し終わると、ハルが口を開いた。

「アキトとキースが探索隊に志願してくれたみんなに用があるそうなんだ」
「探索隊の?ここにいる参加者は七人ほどですね」

 さっと広間の中をぐるりと見渡した侍従さんは、すぐにそう教えてくれた。参加していた人を把握しているんだと驚いていると、その侍従さんは私も参加者ですからと笑って続けた。

「あれ、ハロルド様、どうしたんです?」
「あ、アキト様とキース様もいらっしゃるぞ!」
「昨夜は…よく眠れましたか?」
「あのくそ盗賊団たちはちゃんと懲らしめてきましたからね!」
「おい、もちろんあの盗賊団を許すつもりはないが、くそ呼ばわりはやめろ。お前仮にも騎士だろうが」
「はー?お前ら衛兵は、普段からもっと過激な事言うだろうが!」

 ぽんぽんと言い合う二人をじっと見つめていると、ハルが苦笑しながら教えてくれた。

「この二人は騎士と衛兵だが、幼馴染みでな…」

 なるほど。このやりとりは仲良しだからこそか。ぽんぽんと言い合う二人の声に、広間の隅にいた人たちもまたやってると笑いながら近づいてきた。

 うん、これで七人の人が揃ってな。

「それで…皆様は何のご用でこちらに…?とお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 侍従さんからの問いかけに、俺とキースくんはぴたりと目を見合わせてから口を開いた。

「助けにきてくれてありがとう」
「助けに来て頂きありがとうございました」
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