生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1149.ここにいた理由

 騎士団本部の広間に残っていたこの七人の人たちは、今日は仕事はお休みだよって急に言われてさあ何をするかって悩んでいる所だったんだって。

 俺達が来た時侍従さんはきびきび動いてたけど…と思ったら、あれは仕事じゃなくてただの趣味なんだとあっさりとそう言われてしまった。

 そっか、普段から皆の世話を焼いているから、お休みって言われても自然と体が動いちゃうんだね。ある意味職業病なのかな。

 それにしても…すごく気になる事があるんだけど、聞いても良いかな。

「あの…という事は…ここにいない他の人たちは、もう仕事に行ったって事なんですか?」

 恐る恐るそう尋ねてみたんだけど、答えはさっぱりしたものだった。

「いえ、仕事に戻った人も何人かはいますが、それ以外は目的を決めて移動していきましたね」
「…目的を決めて…?」
「えーと、例えば休みだって決まるなり、それなら訓練だーって全力で走り出した騎士たちの集団がいました」

 苦笑しながらそう教えてくれた騎士さんは、自分も誘われたけど暑苦しいやりとりが面倒で断ったと続けた。

「あいつらは本当に暑苦しいからな」

 他の騎士さんもうんうんと頷いている。

「あ、でも俺達は別に訓練が嫌いなわけじゃないんですよ」

 少し心配そうにそう付け加えられたけど、その立派な体格を見たら訓練が嫌いなのかもなんて誤解はされないよ。絶対みっちり鍛えている人の体つきだもん。だから安心して欲しい。

「私たち使用人は、まずは自分の担当している部門の手が足りてるかを確認に行く者が多かったですね」

 侍従さんによれば、手が足りていればそれぞれが街に出て買い物や食事を楽しむだろうとの事だった。えっと…それって手が足りてなかったら、休まないって事にならない?

 ちょっとだけ心配になったけど、ハルが耳元でこっそりと探索隊に行ってた事は分かってるからきっとみんなに休まされるよと教えてくれた。

 そっか、それならちょっと安心だね。

「俺達衛兵は、えーと…その…ですね」

 何故かそこで言い淀んだ衛兵さんに、ハルは全て分かっていると言いたげに苦笑しながら頷いた。

 言い淀む事って、いったい何だろう?

「俺の師匠もいたし、あれだけベテランの衛兵が揃っていたんだ…今はまず間違いなく酒盛りだろう?」
「…はい。元気いっぱいで今日の酒はきっとうまいと飛び出していきましたね」
「ウェルマ市場の奥にあるあそこだろうな…」
「ええ、俺は酒が苦手なので…不参加になりました」

 衛兵のみんなは、祝杯的な感じで皆で飲みにいってるって事か。打ち上げって健司なのかな。

 別にお休みならいくらお酒を飲んでも何も問題は無いんだけど、騎士さんは訓練、使用人さんは仕事の確認なのに、衛兵さんはお酒って言いにくかったんだろうな。

 それにしてもその飲み会、絶対楽しいやつだよね。

 さすがにそこに飛び入り参加したいとは言わないけど、いつか機会があればハルの師匠やベテラン衛兵さんたちと一緒にお酒を飲んでみたいな。

 そしてできる事なら、ハルの昔の話とかをもっともっと聞かせて欲しい。



 もうしばらくここにいるという人たちに手を振って別れ、俺達は次の場所を目指す事になった。

「ハル兄、次はどこに行くの?」

 キースくんに期待に満ちた目で見あげられたハルは、んーと考えてから口を開いた。

「そうだな。次は兄さんたちがいるだろう、領主城の方へ戻ろうか?」
「うん!」
「アキトも良いか?」
「もちろん!ただ…領主城のどこに行けば良いのかな?」

 領主城もかなり広いからね、どこを目指すのかを聞いておきたい。

「そうだなー俺の予想が正しければ、父さんの執務室に集まっているか、もしくはファーガス兄さんの執務室、それか会議室代わりに使っている応接室のどこかだろう」

 仕事に戻っていたり、街中に出ている人を探すのは大変そうだからねと、ハルはそう続けた。

 うん、確かにそれはどう考えても大変だよね。

 だって行先がはっきりしてるのは、訓練に向かった騎士さんたちと飲み会中の衛兵さんたちだけだからね。

 ちなみに訓練場に行けば騎士さんたちはいるんだけど、ハルいわく訓練の邪魔はしたくないからって却下されたんだ。

 そこまで配慮ができるあたり、ハルはさすがだと思う。
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