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1154.【ハル視点】最初の七人
厩舎の一室でたくさん話した後は、アキトとキースの救出のためにわざわざ志願した参加者たちにお礼を言って回る事に決まった。
アキトが、どうしても改めて直接お礼が言いたいんだと主張したからね。
ただもしかしたら、キースは嫌がるかもしれないな。俺が最初に考えたのは、それだった。
参加者には、キースとはあまり関わりのない人も多かった。もし人見知りを発揮したキースが直接お礼を言いに行くのはちょっと無理だと言うなら、その場合は二人で回れば良いか。
そう考えながら視線を向けたんだが、キースはうんうんと元気に頷いて同意を示していた。どうやらキースもお礼を言いたいと思っていたらしい。
「じゃあ一緒に行こうか」
「うん」
「ありがとう、ハル」
やったーと喜んだ二人だったが、不意に真剣な表情になって考えこんでしまった。何を考えているんだろうと二人を見つめていると、アキトが小さな声でキースに話しかける。
「…キースくん、誰が来てくれてたか覚えてる?」
距離が近いから、俺にも普通に聞こえているんだが。
キースはあまり自信が無さそうに、指を折りながら数人の名前をあげた。どの名前も確かに参加していた人ばかりだな。あの一瞬でそこまで覚えていたなんて、キースはすごいなと褒めてやりたくなった。
「あんまり覚えてない…ごめんね」
「いやいや、俺よりはよっぽど覚えてるよ」
キースにそう声をかけたアキトは、ちらりとこちらを見た。
「えーっと…ハルは誰が参加してたか…覚えてる?」
「ああ、ある程度は覚えているし、ここに参加者の一覧があるよ」
魔導収納機能のついた腕輪から、俺は数枚の紙をさっと取り出してみせた。探索隊兼殲滅隊に参加した人の所属と名前がずらりと並んだこれは、ファーガス兄さんが持っている書類を複製したものだ。
「え、これ、わざわざ用意してくれてたの…?」
「まぁね。きっとアキトとキースなら、お礼を言いたいと言うだろうなと思って」
まさか二人揃ってこんなに早く直接お礼を言いに行くと言い出すとは、思っていなかったんだがな。
いつかお礼を言いたいと言った時のためにと複製を貰っておいて、本当に良かった。
「さすが、ハル兄!」
「うん、ハルはやっぱり頼りになるね」
「褒めてくれてありがとう」
お礼を言って回るなら、最初に行くべきなのはやはり騎士団本部だろうな。
「まずは騎士団本部に行こうか?昨夜はあそこで眠った筈だからね。まあ、ウィル兄さんが起きるような時間帯だから、全員がそこにいるわけじゃないだろうけど…数人はいると思うんだ」
あまりたくさんの人に一気に会うよりも、それぐらいの方がキースの人見知り的にも良い事かもしれない。
「うん、それじゃあそこまで案内お願いします」
「まかせて」
俺はアキトと、アキトはキースと手を繋いだ状態で、ゆっくりと歩き出した。
辿り着いた騎士団本部の広間には、俺の予想通りまだ数人の人の姿があった。多すぎず少なすぎずのちょうど良い人数だな。
寛いだ様子の騎士団員もいれば、まだ眠そうに目を擦っている衛兵、そしてそんな人たちの間をきびきびと動いている侍従もいるな。
「これはこれは。ハロルド様、キース様、アキト様、おはようございます。何かこちらにご用でしょうか?」
まじまじと広間の人たちを観察しているアキトの姿に、最初に気が付いたのは侍従だった。ああ、キースも緊張しない侍従がいて良かったなと考えながら、俺はおはようと侍従に挨拶を返した。
「おはようございます」
「おはよー!」
それぞれが挨拶を返し終わった所で、俺は口を開いた。
「アキトとキースが探索隊に志願してくれたみんなに用があるそうなんだ」
「探索隊の?ここにいる参加者は七人ほどですね」
さっと広間の中をぐるりと見渡した侍従は、すぐにそう答えた。
驚いた様子のアキトに、私も参加者ですからと笑って続けた。
「あれ、ハロルド様、どうしたんです?」
「あ、アキト様とキース様もいらっしゃるぞ!」
「昨夜は…よく眠れましたか?」
「あのくそ盗賊団たちはちゃんと懲らしめてきましたからね!」
「おい、もちろんあの盗賊団を許すつもりはないが、くそ呼ばわりはやめろ。お前仮にも騎士だろうが」
「はー?お前ら衛兵は、普段からもっと過激な事言うだろうが!」
ぽんぽんと言い合う二人のやり取りを、アキトは驚いた様子でじっと見つめている。二人の関係性を知らなければ、これは確かに驚くだろうな。
俺は苦笑しながらアキトに声をかける。
「この二人は騎士と衛兵だが、幼馴染みでな…」
仕事となればそれぞれ割り切って動けるし、何なら優秀な二人だと言える。だが仕事が絡まずに二人が一緒になると、毎回こういうやり取りを繰り広げる。
まあ言い合いの内容は今日のような本当に些細な事だから、これも普通に周りに受け入れられているんだが。何なら言い合いが始まれば、面白がって見に来る人もいるような名物になりつつある。
今日も広間の隅にいた人たちが、またやってると笑いながらこちらへと近づいてきた。
「それで…皆様は何のご用でこちらに…?とお聞きしてもよろしいでしょうか?」
侍従からの問いかけに、アキトとキースくんはぴたりと目を見合わせてから口を開いた。
「助けにきてくれてありがとう」
「助けに来て頂きありがとうございました」
アキトが、どうしても改めて直接お礼が言いたいんだと主張したからね。
ただもしかしたら、キースは嫌がるかもしれないな。俺が最初に考えたのは、それだった。
参加者には、キースとはあまり関わりのない人も多かった。もし人見知りを発揮したキースが直接お礼を言いに行くのはちょっと無理だと言うなら、その場合は二人で回れば良いか。
そう考えながら視線を向けたんだが、キースはうんうんと元気に頷いて同意を示していた。どうやらキースもお礼を言いたいと思っていたらしい。
「じゃあ一緒に行こうか」
「うん」
「ありがとう、ハル」
やったーと喜んだ二人だったが、不意に真剣な表情になって考えこんでしまった。何を考えているんだろうと二人を見つめていると、アキトが小さな声でキースに話しかける。
「…キースくん、誰が来てくれてたか覚えてる?」
距離が近いから、俺にも普通に聞こえているんだが。
キースはあまり自信が無さそうに、指を折りながら数人の名前をあげた。どの名前も確かに参加していた人ばかりだな。あの一瞬でそこまで覚えていたなんて、キースはすごいなと褒めてやりたくなった。
「あんまり覚えてない…ごめんね」
「いやいや、俺よりはよっぽど覚えてるよ」
キースにそう声をかけたアキトは、ちらりとこちらを見た。
「えーっと…ハルは誰が参加してたか…覚えてる?」
「ああ、ある程度は覚えているし、ここに参加者の一覧があるよ」
魔導収納機能のついた腕輪から、俺は数枚の紙をさっと取り出してみせた。探索隊兼殲滅隊に参加した人の所属と名前がずらりと並んだこれは、ファーガス兄さんが持っている書類を複製したものだ。
「え、これ、わざわざ用意してくれてたの…?」
「まぁね。きっとアキトとキースなら、お礼を言いたいと言うだろうなと思って」
まさか二人揃ってこんなに早く直接お礼を言いに行くと言い出すとは、思っていなかったんだがな。
いつかお礼を言いたいと言った時のためにと複製を貰っておいて、本当に良かった。
「さすが、ハル兄!」
「うん、ハルはやっぱり頼りになるね」
「褒めてくれてありがとう」
お礼を言って回るなら、最初に行くべきなのはやはり騎士団本部だろうな。
「まずは騎士団本部に行こうか?昨夜はあそこで眠った筈だからね。まあ、ウィル兄さんが起きるような時間帯だから、全員がそこにいるわけじゃないだろうけど…数人はいると思うんだ」
あまりたくさんの人に一気に会うよりも、それぐらいの方がキースの人見知り的にも良い事かもしれない。
「うん、それじゃあそこまで案内お願いします」
「まかせて」
俺はアキトと、アキトはキースと手を繋いだ状態で、ゆっくりと歩き出した。
辿り着いた騎士団本部の広間には、俺の予想通りまだ数人の人の姿があった。多すぎず少なすぎずのちょうど良い人数だな。
寛いだ様子の騎士団員もいれば、まだ眠そうに目を擦っている衛兵、そしてそんな人たちの間をきびきびと動いている侍従もいるな。
「これはこれは。ハロルド様、キース様、アキト様、おはようございます。何かこちらにご用でしょうか?」
まじまじと広間の人たちを観察しているアキトの姿に、最初に気が付いたのは侍従だった。ああ、キースも緊張しない侍従がいて良かったなと考えながら、俺はおはようと侍従に挨拶を返した。
「おはようございます」
「おはよー!」
それぞれが挨拶を返し終わった所で、俺は口を開いた。
「アキトとキースが探索隊に志願してくれたみんなに用があるそうなんだ」
「探索隊の?ここにいる参加者は七人ほどですね」
さっと広間の中をぐるりと見渡した侍従は、すぐにそう答えた。
驚いた様子のアキトに、私も参加者ですからと笑って続けた。
「あれ、ハロルド様、どうしたんです?」
「あ、アキト様とキース様もいらっしゃるぞ!」
「昨夜は…よく眠れましたか?」
「あのくそ盗賊団たちはちゃんと懲らしめてきましたからね!」
「おい、もちろんあの盗賊団を許すつもりはないが、くそ呼ばわりはやめろ。お前仮にも騎士だろうが」
「はー?お前ら衛兵は、普段からもっと過激な事言うだろうが!」
ぽんぽんと言い合う二人のやり取りを、アキトは驚いた様子でじっと見つめている。二人の関係性を知らなければ、これは確かに驚くだろうな。
俺は苦笑しながらアキトに声をかける。
「この二人は騎士と衛兵だが、幼馴染みでな…」
仕事となればそれぞれ割り切って動けるし、何なら優秀な二人だと言える。だが仕事が絡まずに二人が一緒になると、毎回こういうやり取りを繰り広げる。
まあ言い合いの内容は今日のような本当に些細な事だから、これも普通に周りに受け入れられているんだが。何なら言い合いが始まれば、面白がって見に来る人もいるような名物になりつつある。
今日も広間の隅にいた人たちが、またやってると笑いながらこちらへと近づいてきた。
「それで…皆様は何のご用でこちらに…?とお聞きしてもよろしいでしょうか?」
侍従からの問いかけに、アキトとキースくんはぴたりと目を見合わせてから口を開いた。
「助けにきてくれてありがとう」
「助けに来て頂きありがとうございました」
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