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1173.【ハル視点】休憩のために
「この美味しい焼き菓子を、この場で立ったまま摘まむというのは…なんだかもったいないですね」
困り顔でぼそりと口にしたギュームの言葉に、アキトとキースもうんうんと頷いている。その気持ちはよく分かる。何ならそうなると良いなと思って、ヴェリス婆の菓子を選んだと言っても良いぐらいだ。
「一応焼き菓子に合う果実水やお茶も、何種類か用意してはいるんだが…」
少し控え目にそう切り出せば、皆が嬉しそうに顔を見合わせた。良い反応だ。
「それでは折角ですし、移動してみんなで休憩にしましょうか?」
ギュームからの提案に、アキトとキースは嬉しそうに答えた。
「うん、僕、賛成ー!」
「良いですね」
「それではこちらへどうぞ」
ギュームの先導で、俺達はぞろぞろと歩きだした。アキトだけが少し不思議そうな表情だ。
「アキト、どうかした?」
「や、えっと、ここの周回コースの真ん中あたりで休憩するのかなーと思ってたから…」
「ああ、端の方に小さな休憩用の建物があるんだよ」
「え、そうなの?」
初めての乗馬に夢中すぎて建物がある事にすら気づかなかったと、アキトは苦笑しながらそう教えてくれた。
「いや、知らなければ気付けないと思うよ。ちょうど木に隠れるように建ててあるんだ」
「へーそうなんだ」
そんな事を話しながら建物の所まで移動すれば、ギュームはささっと取り出した鍵で建物の扉を開けてくれた。
「さ、どうぞ入ってください」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ありがとー」
口々にお礼を言いながら中へと足を踏みいれれば、広い部屋へと辿り着く。ここはウマと人、どちらもが休憩するために作られた場所だ。
広い部屋の片側にはウマが寛げるような藁や布が集められており、もう片側には人が休憩するためのテーブルや椅子が集められている。
「わ、すごい。綺麗だ…」
感心してあちこちを見て回っているアキトに、ここは領主様も普通に使う部屋ですからとギュームが教えている。
他の領なら貴族用と一般市民用を分けて作られる事もある設備なんだが、ここでは申請さえすれば身分に関わらずにここを使う事ができる。
これは数代前の領主が経費の無駄だ、別に共用で良いだろうと言って建てたものなんだが、領主様も使うならと大工たちが張り切った。その結果がこの綺麗に整えられた内装だ。
「みなさんはそちらのテーブルの、好きな所へどうぞ」
ギュームは笑顔で俺達にテーブルを勧めると、さてそれではとすぐにウマたちのいる方へと視線を向けた。
「タユ、イワン、フェレは水と…肉も必要でしょうか?一応用意はしていますが、お腹は空いていますか?」
そう尋ねたギュームに、それぞれが小さく返事を返した。
「みんなほしいってー」
「シュリ様、通訳ありがとうございます」
「どういたしまして」
照れながらも嬉しそうなシュリに、キースはシュリくんすごいと笑顔を見せている。
うん、本当にこの二人はすっかり仲良くなったな。微笑ましく可愛らしいやりとりは、見ていて本当に和む。
だが迎えが来てしまえば、シュリは王宮の厩舎に帰る事になるんだよな。そうなったらきっとキースが寂しがるだろう。
そんな事をぼんやりと考えながら見つめていると、ギュームは慣れた様子で取り出した台の上に、握りこぶし程度の大きさの肉の塊を並べていった。
「あ、そうだ。シュリくんも魔力いる?」
いっぱい動いてお腹も空いたでしょ?とアキトが声をかければ、シュリはすぐにじゃあちょっとだけお願いしても良いかなと答えた。
最初の頃はちょっと魔力を貰うだけでも申し訳なさそうにしてたシュリだが、ようやく最近すこしだけ遠慮がなくなってきた気がするな。
アキトは魔力が豊富だといくら俺が口で説明しても変わらなかったが、そろそろアキトの魔力量を実感してきたのかもしれないな。いや、もしかしたらタユが何か言ったとかいう可能性もあるか。
いそいそと魔力を練り始めたアキトの行動を、ウマたちもじっと見つめている。
ギュームによると、シュリはまだ子どもだからどの馬にとっても庇護対象らしい。だから一番最初に食事をさせるというのが、ウマにとっての常識だそうだ。
そんな習性があった事すら、俺は知らなかった。だからあの森でシュリを見たウマたちが、シュリについて行きたいと主張したのかと納得もできた。
「アキト、きょうもおいしかったよ。ありがとう」
「どういたしまして」
無事にシュリの食事が終わった所で、今度は俺が飲み物とお菓子を並べる番だな。
困り顔でぼそりと口にしたギュームの言葉に、アキトとキースもうんうんと頷いている。その気持ちはよく分かる。何ならそうなると良いなと思って、ヴェリス婆の菓子を選んだと言っても良いぐらいだ。
「一応焼き菓子に合う果実水やお茶も、何種類か用意してはいるんだが…」
少し控え目にそう切り出せば、皆が嬉しそうに顔を見合わせた。良い反応だ。
「それでは折角ですし、移動してみんなで休憩にしましょうか?」
ギュームからの提案に、アキトとキースは嬉しそうに答えた。
「うん、僕、賛成ー!」
「良いですね」
「それではこちらへどうぞ」
ギュームの先導で、俺達はぞろぞろと歩きだした。アキトだけが少し不思議そうな表情だ。
「アキト、どうかした?」
「や、えっと、ここの周回コースの真ん中あたりで休憩するのかなーと思ってたから…」
「ああ、端の方に小さな休憩用の建物があるんだよ」
「え、そうなの?」
初めての乗馬に夢中すぎて建物がある事にすら気づかなかったと、アキトは苦笑しながらそう教えてくれた。
「いや、知らなければ気付けないと思うよ。ちょうど木に隠れるように建ててあるんだ」
「へーそうなんだ」
そんな事を話しながら建物の所まで移動すれば、ギュームはささっと取り出した鍵で建物の扉を開けてくれた。
「さ、どうぞ入ってください」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「ありがとー」
口々にお礼を言いながら中へと足を踏みいれれば、広い部屋へと辿り着く。ここはウマと人、どちらもが休憩するために作られた場所だ。
広い部屋の片側にはウマが寛げるような藁や布が集められており、もう片側には人が休憩するためのテーブルや椅子が集められている。
「わ、すごい。綺麗だ…」
感心してあちこちを見て回っているアキトに、ここは領主様も普通に使う部屋ですからとギュームが教えている。
他の領なら貴族用と一般市民用を分けて作られる事もある設備なんだが、ここでは申請さえすれば身分に関わらずにここを使う事ができる。
これは数代前の領主が経費の無駄だ、別に共用で良いだろうと言って建てたものなんだが、領主様も使うならと大工たちが張り切った。その結果がこの綺麗に整えられた内装だ。
「みなさんはそちらのテーブルの、好きな所へどうぞ」
ギュームは笑顔で俺達にテーブルを勧めると、さてそれではとすぐにウマたちのいる方へと視線を向けた。
「タユ、イワン、フェレは水と…肉も必要でしょうか?一応用意はしていますが、お腹は空いていますか?」
そう尋ねたギュームに、それぞれが小さく返事を返した。
「みんなほしいってー」
「シュリ様、通訳ありがとうございます」
「どういたしまして」
照れながらも嬉しそうなシュリに、キースはシュリくんすごいと笑顔を見せている。
うん、本当にこの二人はすっかり仲良くなったな。微笑ましく可愛らしいやりとりは、見ていて本当に和む。
だが迎えが来てしまえば、シュリは王宮の厩舎に帰る事になるんだよな。そうなったらきっとキースが寂しがるだろう。
そんな事をぼんやりと考えながら見つめていると、ギュームは慣れた様子で取り出した台の上に、握りこぶし程度の大きさの肉の塊を並べていった。
「あ、そうだ。シュリくんも魔力いる?」
いっぱい動いてお腹も空いたでしょ?とアキトが声をかければ、シュリはすぐにじゃあちょっとだけお願いしても良いかなと答えた。
最初の頃はちょっと魔力を貰うだけでも申し訳なさそうにしてたシュリだが、ようやく最近すこしだけ遠慮がなくなってきた気がするな。
アキトは魔力が豊富だといくら俺が口で説明しても変わらなかったが、そろそろアキトの魔力量を実感してきたのかもしれないな。いや、もしかしたらタユが何か言ったとかいう可能性もあるか。
いそいそと魔力を練り始めたアキトの行動を、ウマたちもじっと見つめている。
ギュームによると、シュリはまだ子どもだからどの馬にとっても庇護対象らしい。だから一番最初に食事をさせるというのが、ウマにとっての常識だそうだ。
そんな習性があった事すら、俺は知らなかった。だからあの森でシュリを見たウマたちが、シュリについて行きたいと主張したのかと納得もできた。
「アキト、きょうもおいしかったよ。ありがとう」
「どういたしまして」
無事にシュリの食事が終わった所で、今度は俺が飲み物とお菓子を並べる番だな。
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