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1179.クレットさんの活躍
俺もアキトもデートの邪魔をされたとは思っていない。二人とも気にしていないから謝罪はもう必要ない。
そう何度もハルが説明してくれて、クレットさんはようやく落ち着いてくれた。
「それより…さっきかなり気になる事を言っていたが、クレットはまた城を離れていたのか?今回はいったいどこまで行っていたんだ?」
明らかに話を反らしたいんだろうなーって分かるハルからの質問に、クレットさんは柔らかな笑顔を浮かべて答えた。
「はい、でも今回は、趣味の情報収集に出ていた――というわけでは無いんです」
あ、今の言い方――わざわざ自分の趣味が情報収集だって事を、俺にも分かるように説明してくれたんだろうな。クレットさんは気配りのできる本当に優しい人なんだ。
そんな事を考えていた俺は、続けられた予想外の言葉に本気で驚いてしまった。
「その…実はアキト様とキース様が捕まっていたルティルーの森の牙蛇盗賊団の本拠地まで、足を運んでいました」
「え、クレットさん、ルティルーの森のあの拠点にいたんですか?」
驚きすぎて思わず大きな声を出してしまったけど、クレットさんは慌てた様子もみせずにはいと頷いた。
「とは言っても、アキト様とキース様が捕まっていた部屋までは何とか辿り着きましたが、お二人はまだ眠っている時でしたからお声がけもできなかったんです」
「クレット、わざわざ二人の様子を見に行ってくれていたのかい?」
ハルも驚いたようで、大きく目を見開いてクレットさんを見つめている。
「情報提供のために会議にお邪魔した時、ハロルド様は魔物が多くなる夜にたとえ一人でも飛び出して行きたいというご様子でした」
「あークレット、それは…」
できれば言わないで欲しいと言いたげな表情でハルは慌ててるけど、俺はすっごく興味がある話だ。
「俺は聞きたい!」
「う…アキトがそう言うなら…」
続けても良いとハルが呟けば、クレットさんは申し訳なさそうに続けた。
「あの時ハロルド様は、ケイリー様と、ファーガス様、それにウィリアム隊長に止められて危険な夜の移動を思いとどまりましたよね?」
「そうなの?」
「ああ、もし夜に無理やり出発して怪我をしたとして、そんな状態で助けに行ってもアキトは喜ぶのかって言われたよ。あれは効いたな」
ただでさえ夜は魔物が活発に動く時間帯で、しかもここはトライプールなんて話にならないぐらい危険だという辺境領だ。みんなが止めてくれて良かったし、そこで思いとどまってくれて本当に良かった。
「分かってると思うけど…俺は絶対に喜ばないよ?なんなら怒るし泣くからね?」
「ああ、分かってるよ。だから、何とか我慢したんだ」
みんなから止められて辛そうにしながらも夜の出発を諦めたハルの姿を見て、クレットさんは考えたらしい。
ここはもしかして、自分が行くべきなんじゃないかって。
生きた人には危険すぎる夜の移動も、幽霊であるクレットさんには何の問題も無い。
どれだけ危険で強い魔物が相手でも、決して存在に気づかれないし攻撃すらされない。堂々と正面から拠点に入ったとしても、盗賊たちに見とがめられる心配もない。しかもウマよりも早く移動ができるから、すぐに目的地まで辿り着ける。
そう思いついたクレットさんは、すぐに行動に移してくれたらしい。
「そうだったのか」
ハルは納得顔で頷いている。
でもたしかに道案内をしてくれる幽霊が身近にいてくれたなら、どんな拠点からでもうまく脱出できる気がするよね。壁の向こうの見張りの動きを教えてもらったりもできるし、逃走するためのルートを調べてきてもらったりもできるって事だもんね。
それは絶対に、すっごく助かると思う。
「ハロルド様に何も言わずに向かって申し訳ありません。アキト様とキース様に合流できるかどうかの保証が無かったですから…実際にお二人の姿は見られたもののお役には立てなかったですし」
「いや、役に立ったかどうかではなく、わざわざ向かってくれていた事が嬉しいよ。アキトとキースのためにそこまでしてくれてありがとう」
「俺からもありがとうございます」
「いえ、光栄です」
俺達がまだ眠っている事を確認した後、クレットさんは近くの偵察をして来ようと本拠地内を一人で探索してくれていたらしい。
武器庫の位置や戦利品が詰まった倉庫、それに盗賊たちの配置を確認し、ボスの部屋に隠されていた秘密通路まで割り出してくれてたんだって。
すごい情報収集能力だね。趣味というだけの事はある。さっきウィリアムさんの事だけ隊長って呼んでたから、ウィリアムさんとジルさんの隊の人たったのかな。
「隠し通路はお二人のいる部屋の近くにも入口がありましたし他の盗賊は知らないようでしたから、そのルートを提案しようと決めたんです。そうして部屋に戻ろうとした時に、ものすごい轟音が聞こえてきました」
あー、なるほど。その時にシュリくんが壁をぶち破ったんだろうな。それで慌てて戻ってみれば部屋の壁には大穴があって、俺達は既にいなかったらしい。
その時のクレットさんの気持ちを思うと、すごく申し訳ない気持ちになったよね。
そう何度もハルが説明してくれて、クレットさんはようやく落ち着いてくれた。
「それより…さっきかなり気になる事を言っていたが、クレットはまた城を離れていたのか?今回はいったいどこまで行っていたんだ?」
明らかに話を反らしたいんだろうなーって分かるハルからの質問に、クレットさんは柔らかな笑顔を浮かべて答えた。
「はい、でも今回は、趣味の情報収集に出ていた――というわけでは無いんです」
あ、今の言い方――わざわざ自分の趣味が情報収集だって事を、俺にも分かるように説明してくれたんだろうな。クレットさんは気配りのできる本当に優しい人なんだ。
そんな事を考えていた俺は、続けられた予想外の言葉に本気で驚いてしまった。
「その…実はアキト様とキース様が捕まっていたルティルーの森の牙蛇盗賊団の本拠地まで、足を運んでいました」
「え、クレットさん、ルティルーの森のあの拠点にいたんですか?」
驚きすぎて思わず大きな声を出してしまったけど、クレットさんは慌てた様子もみせずにはいと頷いた。
「とは言っても、アキト様とキース様が捕まっていた部屋までは何とか辿り着きましたが、お二人はまだ眠っている時でしたからお声がけもできなかったんです」
「クレット、わざわざ二人の様子を見に行ってくれていたのかい?」
ハルも驚いたようで、大きく目を見開いてクレットさんを見つめている。
「情報提供のために会議にお邪魔した時、ハロルド様は魔物が多くなる夜にたとえ一人でも飛び出して行きたいというご様子でした」
「あークレット、それは…」
できれば言わないで欲しいと言いたげな表情でハルは慌ててるけど、俺はすっごく興味がある話だ。
「俺は聞きたい!」
「う…アキトがそう言うなら…」
続けても良いとハルが呟けば、クレットさんは申し訳なさそうに続けた。
「あの時ハロルド様は、ケイリー様と、ファーガス様、それにウィリアム隊長に止められて危険な夜の移動を思いとどまりましたよね?」
「そうなの?」
「ああ、もし夜に無理やり出発して怪我をしたとして、そんな状態で助けに行ってもアキトは喜ぶのかって言われたよ。あれは効いたな」
ただでさえ夜は魔物が活発に動く時間帯で、しかもここはトライプールなんて話にならないぐらい危険だという辺境領だ。みんなが止めてくれて良かったし、そこで思いとどまってくれて本当に良かった。
「分かってると思うけど…俺は絶対に喜ばないよ?なんなら怒るし泣くからね?」
「ああ、分かってるよ。だから、何とか我慢したんだ」
みんなから止められて辛そうにしながらも夜の出発を諦めたハルの姿を見て、クレットさんは考えたらしい。
ここはもしかして、自分が行くべきなんじゃないかって。
生きた人には危険すぎる夜の移動も、幽霊であるクレットさんには何の問題も無い。
どれだけ危険で強い魔物が相手でも、決して存在に気づかれないし攻撃すらされない。堂々と正面から拠点に入ったとしても、盗賊たちに見とがめられる心配もない。しかもウマよりも早く移動ができるから、すぐに目的地まで辿り着ける。
そう思いついたクレットさんは、すぐに行動に移してくれたらしい。
「そうだったのか」
ハルは納得顔で頷いている。
でもたしかに道案内をしてくれる幽霊が身近にいてくれたなら、どんな拠点からでもうまく脱出できる気がするよね。壁の向こうの見張りの動きを教えてもらったりもできるし、逃走するためのルートを調べてきてもらったりもできるって事だもんね。
それは絶対に、すっごく助かると思う。
「ハロルド様に何も言わずに向かって申し訳ありません。アキト様とキース様に合流できるかどうかの保証が無かったですから…実際にお二人の姿は見られたもののお役には立てなかったですし」
「いや、役に立ったかどうかではなく、わざわざ向かってくれていた事が嬉しいよ。アキトとキースのためにそこまでしてくれてありがとう」
「俺からもありがとうございます」
「いえ、光栄です」
俺達がまだ眠っている事を確認した後、クレットさんは近くの偵察をして来ようと本拠地内を一人で探索してくれていたらしい。
武器庫の位置や戦利品が詰まった倉庫、それに盗賊たちの配置を確認し、ボスの部屋に隠されていた秘密通路まで割り出してくれてたんだって。
すごい情報収集能力だね。趣味というだけの事はある。さっきウィリアムさんの事だけ隊長って呼んでたから、ウィリアムさんとジルさんの隊の人たったのかな。
「隠し通路はお二人のいる部屋の近くにも入口がありましたし他の盗賊は知らないようでしたから、そのルートを提案しようと決めたんです。そうして部屋に戻ろうとした時に、ものすごい轟音が聞こえてきました」
あー、なるほど。その時にシュリくんが壁をぶち破ったんだろうな。それで慌てて戻ってみれば部屋の壁には大穴があって、俺達は既にいなかったらしい。
その時のクレットさんの気持ちを思うと、すごく申し訳ない気持ちになったよね。
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