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1182.したい事
「心残りが何なのかは分からないけど、自分がやりたい事をやり続けてみるっていう幽霊たちも多かったですね」
「やりたいこと…ですか」
「いつかは当たるかもって、みんな楽しそうに色々としてましたよ」
黙り込んでしまったクレットさんの様子をちらりと見てから、ハルは俺に向かって尋ねた。
「例えば…アキトの知ってる幽霊たちはどんな事をしていたんだい?」
おお、ナイスアシスト。困ってるクレットさんのために、色々と話して欲しいって事だね。まかせて。
「えっとね、国で一番高い山の頂上からの景色を見たいって、山に行った人がいたなー」
昔から一度行ってみたいとはずっと思ってたけど、体力とか年齢とかを理由に諦めてたんだって。でも幽霊になったら体力も関係ないからって、ワクワクした様子で行ってくるって挨拶されたんだよね。
そう説明すれば、クレットさんとハルはなるほどと何度も頷いてくれた。
「その人は…戻ってきたのか?」
「うん、次は国内の違う山にも行ってみたいし、外国…えっと、他国の山にも行くんだーって張り切ってたよ」
「そうか。その人は生前に出来なかった事を、幽霊になってから叶えたんだな」
ハルは噛み締めるようにそう言うと、ふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
「なあ、アキト。他には?」
どうやらさっきとは違って、クレットさんのためにもっと話して欲しい――とかじゃないみたいだ。だって今はハルの目が、好奇心でキラキラしてるからね。
ハル自身が、もっと詳しい話を聞きたくなってきちゃったみたいだ。
「そうだなー動物が好きだけど近寄れないアレルギー…えっとそういう病気だった人が、動物がいっぱいいる場所に行ったとかもあったよ」
「それはつらい病気だな…」
「そんな病気があるんですね…」
「あれ、こっちの世界にはアレルギーってないの?」
驚いて尋ねてみれば、あれるぎーとは一体どんなものだ?って聞き返されちゃった。そっか、そこからか。
悩みつつもあれこれと説明したのを聞き終えたハルは、あっさりと無いなと断言した。
ブツブツができたりどこかがかゆくなるみたいな症状自体はあるらしいけど、どちらかというとそれは毒や呪い扱いになるからポーションで治るらしい。
すごいな、異世界。
感心していると、不意にクレットさんが口を開いた。
「話を聞きながら考えていたんですが…私がやりたい事はひとつしかありません」
「それは何だ?」
「今までと変わらずこの領や騎士団のために情報を集める事――そして可能なら、それをウィリアム隊長やジル副隊長に、役立てて頂きたいです」
クレットさんがしたい事は、それなんだ。ジルさんの事も副隊長って呼んでるなら、クレットさんはやっぱりウィリアムさんの隊の隊員さんだったんだろうな。
「クレットがやりたいなら、すれば良い」
「ですが…伝える方法が…」
ありませんからとしょんぼりと肩を落としたクレットさんに、ハルはあっさりと答えた。
「大丈夫、俺たちがいるじゃないか」
「そうですよ、クレットさん」
もし他の事でもちゃんと伝えるつもりだけど、ハルの家族やここの領のためになる情報ならむしろこちらからお願いして聞きたいぐらいだ。
ああ、だがまあ…と少し申し訳なさそうにハルは続けた。
「アキトと俺は、もうしばらくすればトライプールに帰る事になるんだが…」
「はい、分かっています」
そっか、それが分かってたから、クレットさんは伝える方法が無いって言ったのか。俺達に帰らないでとは言えないから、そう言ったんだなって今分かったよ。
「でも、もう二度とここに来ないなんてわけでも無い。だよな、アキト?」
「うん、俺はハルの家族の事が大好きになっちゃったからね!もし可能なら、頻繁に会いに来たいぐらいだよ!」
それにここでは、同郷のケンっていう大事な友達もできたしね。絶対また会いに来たい。
「それにもしどうしても急ぎで何か伝えたい事があるなら、クレットさえ良ければトライプールまで俺達に会いにきても良いしな」
ハルはあっさりとそう言って、ふわりと笑った。
あ、そっか。幽霊になったら、ウマよりも早く移動できるって言ってたな。それなら普通に移動するとすごい日数がかかるトライプールまでの道のりも、短縮できるって事だ。
「やりたいこと…ですか」
「いつかは当たるかもって、みんな楽しそうに色々としてましたよ」
黙り込んでしまったクレットさんの様子をちらりと見てから、ハルは俺に向かって尋ねた。
「例えば…アキトの知ってる幽霊たちはどんな事をしていたんだい?」
おお、ナイスアシスト。困ってるクレットさんのために、色々と話して欲しいって事だね。まかせて。
「えっとね、国で一番高い山の頂上からの景色を見たいって、山に行った人がいたなー」
昔から一度行ってみたいとはずっと思ってたけど、体力とか年齢とかを理由に諦めてたんだって。でも幽霊になったら体力も関係ないからって、ワクワクした様子で行ってくるって挨拶されたんだよね。
そう説明すれば、クレットさんとハルはなるほどと何度も頷いてくれた。
「その人は…戻ってきたのか?」
「うん、次は国内の違う山にも行ってみたいし、外国…えっと、他国の山にも行くんだーって張り切ってたよ」
「そうか。その人は生前に出来なかった事を、幽霊になってから叶えたんだな」
ハルは噛み締めるようにそう言うと、ふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
「なあ、アキト。他には?」
どうやらさっきとは違って、クレットさんのためにもっと話して欲しい――とかじゃないみたいだ。だって今はハルの目が、好奇心でキラキラしてるからね。
ハル自身が、もっと詳しい話を聞きたくなってきちゃったみたいだ。
「そうだなー動物が好きだけど近寄れないアレルギー…えっとそういう病気だった人が、動物がいっぱいいる場所に行ったとかもあったよ」
「それはつらい病気だな…」
「そんな病気があるんですね…」
「あれ、こっちの世界にはアレルギーってないの?」
驚いて尋ねてみれば、あれるぎーとは一体どんなものだ?って聞き返されちゃった。そっか、そこからか。
悩みつつもあれこれと説明したのを聞き終えたハルは、あっさりと無いなと断言した。
ブツブツができたりどこかがかゆくなるみたいな症状自体はあるらしいけど、どちらかというとそれは毒や呪い扱いになるからポーションで治るらしい。
すごいな、異世界。
感心していると、不意にクレットさんが口を開いた。
「話を聞きながら考えていたんですが…私がやりたい事はひとつしかありません」
「それは何だ?」
「今までと変わらずこの領や騎士団のために情報を集める事――そして可能なら、それをウィリアム隊長やジル副隊長に、役立てて頂きたいです」
クレットさんがしたい事は、それなんだ。ジルさんの事も副隊長って呼んでるなら、クレットさんはやっぱりウィリアムさんの隊の隊員さんだったんだろうな。
「クレットがやりたいなら、すれば良い」
「ですが…伝える方法が…」
ありませんからとしょんぼりと肩を落としたクレットさんに、ハルはあっさりと答えた。
「大丈夫、俺たちがいるじゃないか」
「そうですよ、クレットさん」
もし他の事でもちゃんと伝えるつもりだけど、ハルの家族やここの領のためになる情報ならむしろこちらからお願いして聞きたいぐらいだ。
ああ、だがまあ…と少し申し訳なさそうにハルは続けた。
「アキトと俺は、もうしばらくすればトライプールに帰る事になるんだが…」
「はい、分かっています」
そっか、それが分かってたから、クレットさんは伝える方法が無いって言ったのか。俺達に帰らないでとは言えないから、そう言ったんだなって今分かったよ。
「でも、もう二度とここに来ないなんてわけでも無い。だよな、アキト?」
「うん、俺はハルの家族の事が大好きになっちゃったからね!もし可能なら、頻繁に会いに来たいぐらいだよ!」
それにここでは、同郷のケンっていう大事な友達もできたしね。絶対また会いに来たい。
「それにもしどうしても急ぎで何か伝えたい事があるなら、クレットさえ良ければトライプールまで俺達に会いにきても良いしな」
ハルはあっさりとそう言って、ふわりと笑った。
あ、そっか。幽霊になったら、ウマよりも早く移動できるって言ってたな。それなら普通に移動するとすごい日数がかかるトライプールまでの道のりも、短縮できるって事だ。
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