1,188 / 1,561
1187.参加するのは
「ダンジョンと繋がっているとなると…人選が更に難しくなるな」
ケイリーさんが重々しくそう呟けば、ファーガスさんがすぐにこくりと頷いた。同じぐらい真剣な表情だ。
「よくあそこのダンジョンに出入りしている私とうちの隊員たちは、行くべきだろう。それに父さんもムレングには詳しいから…可能なら一緒に来てもらいたいんだが…」
「まあそうだな。分かった」
「ファーグとケイリーさんが参加するなら、私は領主城に残ろうと思う」
グレースさんが不在だから、全員が揃っていなくなるわけにはいかない。そう口にしたマチルダさんは、すぐに残る事を決めたようだ。
「ああ、すまないマティ。助かるよ」
「いや、気にするな。盗賊の方はまかせるよ」
「まかせてくれ」
ファーガスさんとマチルダさんは、目を見合わせてふわりと笑い合っている。信頼し合ってるんだなって事が、伝わってくるやりとりだ。
「それで、ウィリアムとジルさんはどうするんだ?」
「うーん、たしかに俺はダンジョンにはあんまり詳しくないけどー、でも盗賊団の行方を探索するには俺と俺の隊がいた方が良いと思うんだよねー。中に入ったら痕跡を辿らないと駄目だろうし」
ああ、それもそうか。普通に考えて、入った場所にまだいるって可能性は無いよね。まず間違いなくダンジョン内を移動してるだろうし、何なら拠点にしてる場所なり隠れ家なりに隠れているのかもしれない。
「ウィリアム隊長、私もマティさんと一緒に、領主城に残ります」
「え…ジルも残るの?」
予想外だったのか驚くウィリアムさんに、ジルさんはええと頷いた。
「はい。領主様の不在をマティさん一人にまかせるのもどうかと思いますので、微力ながら手伝おうかと」
「ありがとう、ジル。頼りにしてるよ」
笑ってそう告げたマチルダさんの横から、ファーガスさんがうっすらと笑みを浮かべて口を開いた。
「マティをよろしく頼む」
「こちらこそ」
これでケイリーさんとファーガスさん、ウィリアムさんが参加決定か。
「それに、クレットは申し訳ないけど、つきあってもらわないと駄目なんだけどー大丈夫かな?」
「はっ!もちろんです、ウィリアム隊長!」
クレットさんの即答を伝えれば、ウィリアムさんは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだ。ハル、ハルにも来てもらうよ?クレットとの橋渡しをしてもらわないと駄目だからね」
「ああ、分かっている」
「アキトくんは…?」
「俺も行きたいです!」
そう声をあげれば、ハルは明らかな困り顔で俺を見た。
「アキトには、領主城に残って欲しいんだけど…」
「…なんで?」
「いくつか理由はあるけど、一番大事なのはシュリへの魔力供給のためだね。アキト以外にできる人はいないから…シュリのためにも残って貰わないといけない」
申し訳なさそうなハルの言葉に、ケイリーさんも重々しく頷いた。
「そうだな。かといって、シュリを勝手に危険な場所に連れていくわけにも行かないんだ」
今は一時的に辺境領で預かっているだけという形だから、迎えが来るまでは絶対に安全な場所で保護をしておきたいらしい。
あーなるほど。そう言われると勝手に連れまわすわけにはいかないってのも、理解はできる。
「…そっか、うん、分かった。シュリくんのためなら仕方ないと思うから、俺も残るね」
「アキト、ごめん。もう一つの理由は、あそこにアキトを連れて行きたくないんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、アキトとキースにあの盗賊団の本拠地に近づいて欲しくない」
「俺は別に何とも思ってないんだけど…」
トラウマとかが出来るほどの何かがあったわけじゃないし、そもそもそういう事を考えるよりも先に脱出しちゃったからな。
「うん、今まで数日かけてアキトの反応を見てきたから、それは分かってるよ。ただ、俺があの場所に近づいて欲しくないっていう――いわば我儘だな」
なるほど、ハルの我儘か。こんな風にはっきりと言われてしまうと、文句なんて言えないな。
「呆れた?」
「ううん、呆れたりしないよ。ハルが言うなら俺はあそこには近づかない」
「無理はしてない?」
「してないよ。伴侶候補の可愛い希望ぐらい、俺だって叶えたいんだからね」
思わずそう言い返せば、周りの人たちから拍手が湧いた。
わ、忘れてた。ここはハルと俺だけがいたわけじゃないんだった。
真っ赤になりながら周りを見回せば、ハルは愛されてるなとか、アキトくんは格好良いななんて言葉が聞こえてきてしまった。
ケイリーさんが重々しくそう呟けば、ファーガスさんがすぐにこくりと頷いた。同じぐらい真剣な表情だ。
「よくあそこのダンジョンに出入りしている私とうちの隊員たちは、行くべきだろう。それに父さんもムレングには詳しいから…可能なら一緒に来てもらいたいんだが…」
「まあそうだな。分かった」
「ファーグとケイリーさんが参加するなら、私は領主城に残ろうと思う」
グレースさんが不在だから、全員が揃っていなくなるわけにはいかない。そう口にしたマチルダさんは、すぐに残る事を決めたようだ。
「ああ、すまないマティ。助かるよ」
「いや、気にするな。盗賊の方はまかせるよ」
「まかせてくれ」
ファーガスさんとマチルダさんは、目を見合わせてふわりと笑い合っている。信頼し合ってるんだなって事が、伝わってくるやりとりだ。
「それで、ウィリアムとジルさんはどうするんだ?」
「うーん、たしかに俺はダンジョンにはあんまり詳しくないけどー、でも盗賊団の行方を探索するには俺と俺の隊がいた方が良いと思うんだよねー。中に入ったら痕跡を辿らないと駄目だろうし」
ああ、それもそうか。普通に考えて、入った場所にまだいるって可能性は無いよね。まず間違いなくダンジョン内を移動してるだろうし、何なら拠点にしてる場所なり隠れ家なりに隠れているのかもしれない。
「ウィリアム隊長、私もマティさんと一緒に、領主城に残ります」
「え…ジルも残るの?」
予想外だったのか驚くウィリアムさんに、ジルさんはええと頷いた。
「はい。領主様の不在をマティさん一人にまかせるのもどうかと思いますので、微力ながら手伝おうかと」
「ありがとう、ジル。頼りにしてるよ」
笑ってそう告げたマチルダさんの横から、ファーガスさんがうっすらと笑みを浮かべて口を開いた。
「マティをよろしく頼む」
「こちらこそ」
これでケイリーさんとファーガスさん、ウィリアムさんが参加決定か。
「それに、クレットは申し訳ないけど、つきあってもらわないと駄目なんだけどー大丈夫かな?」
「はっ!もちろんです、ウィリアム隊長!」
クレットさんの即答を伝えれば、ウィリアムさんは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだ。ハル、ハルにも来てもらうよ?クレットとの橋渡しをしてもらわないと駄目だからね」
「ああ、分かっている」
「アキトくんは…?」
「俺も行きたいです!」
そう声をあげれば、ハルは明らかな困り顔で俺を見た。
「アキトには、領主城に残って欲しいんだけど…」
「…なんで?」
「いくつか理由はあるけど、一番大事なのはシュリへの魔力供給のためだね。アキト以外にできる人はいないから…シュリのためにも残って貰わないといけない」
申し訳なさそうなハルの言葉に、ケイリーさんも重々しく頷いた。
「そうだな。かといって、シュリを勝手に危険な場所に連れていくわけにも行かないんだ」
今は一時的に辺境領で預かっているだけという形だから、迎えが来るまでは絶対に安全な場所で保護をしておきたいらしい。
あーなるほど。そう言われると勝手に連れまわすわけにはいかないってのも、理解はできる。
「…そっか、うん、分かった。シュリくんのためなら仕方ないと思うから、俺も残るね」
「アキト、ごめん。もう一つの理由は、あそこにアキトを連れて行きたくないんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、アキトとキースにあの盗賊団の本拠地に近づいて欲しくない」
「俺は別に何とも思ってないんだけど…」
トラウマとかが出来るほどの何かがあったわけじゃないし、そもそもそういう事を考えるよりも先に脱出しちゃったからな。
「うん、今まで数日かけてアキトの反応を見てきたから、それは分かってるよ。ただ、俺があの場所に近づいて欲しくないっていう――いわば我儘だな」
なるほど、ハルの我儘か。こんな風にはっきりと言われてしまうと、文句なんて言えないな。
「呆れた?」
「ううん、呆れたりしないよ。ハルが言うなら俺はあそこには近づかない」
「無理はしてない?」
「してないよ。伴侶候補の可愛い希望ぐらい、俺だって叶えたいんだからね」
思わずそう言い返せば、周りの人たちから拍手が湧いた。
わ、忘れてた。ここはハルと俺だけがいたわけじゃないんだった。
真っ赤になりながら周りを見回せば、ハルは愛されてるなとか、アキトくんは格好良いななんて言葉が聞こえてきてしまった。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。