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1227.【ハル視点】倉庫内調査
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クレットを伴って倉庫へと足を踏み入れた所で、俺はぴたりと立ち止まってしまった。
これは…すごい光景だな。
そのままぐるりと倉庫の中を見回した俺は、そこに保存されているあまりの物の多さに圧倒されてしまった。
想像していた以上に広い部屋の中には、大きな棚がずらりと並んでいる。その棚にあるのはどうやら保存の効く穀物や乾燥豆などの食材のようだ。倉庫のそこかしこには、大きな袋や木箱も無造作に積み上げられている。
これだけの物が詰まった倉庫は初めて見たな。
感心しながら視線をうろうろと動かしていると、不意にウィルと目が合った。
来たのかと言いたげに俺の顔をじっと見つめたウィルは、次の瞬間には俺の隣の空間に向けてニコッと笑みを浮かべてみせた。
見えていない筈なのに、きっちりクレットが立ってる場所に向いてるのはさすがだな。
俺達以外にも人がいるから声をかける事はできない。だからきっと、挨拶代わりの笑顔を見せたんだろうな。
笑顔を向けられたクレットも嬉しそうに笑い返しているから、ウィルの気持ちはきちんと伝わったようだ。
「それにしても…すごい量だな…」
あの盗賊団の人数でこれだけの食料を消費しようと思ったら、いったいどれだけの時間がかかるだろう。一盗賊団が備えとして置いている量では無い。
「だろ?だからおかしいと思ったんだよ」
思わずこぼれた俺の呟きに、ジーラルはそう答えた。
「普通はこれだけの食材を保存するなら、魔道収納鞄なり食料保存箱なりを使うだろ?」
ああ、確かに。これほどの物が並んだ倉庫を俺が見た事が無いのは、それが理由か。ウェルマールの領主城でもトライプールの騎士団本部でも、当たり前のように魔道具を使っているからな。
あの牙蛇盗賊団が、余分な魔導収納袋を持っていないはずが無い。
「確かにそうだな」
「これは倉庫だって分かりやすく目に見せるために、わざわざ設置されてると思ったんだ」
「まあ、僕たちはその隠し扉ってやつは発見できなかったんだけどね」
悔し気に横から続けたネルバの肩を、ウィルが慰めるようにポンポンと軽く叩いた。
「よし、それじゃあ、酒の入った木箱を見つけてくれるー?」
ウィルの言葉で、俺達は広い倉庫のあちこちへと散った。
「あの、場所は分かりますが…ここは遠いんです」
申し訳なさそうに、クレットがそう教えてくれる。小さく頷いてから、手信号でしばらく待って見つからなかったら俺が見つけるよと答えておいた。
クレットはにっこりと笑って、ジーラルとネルバならきっと見つけられますと呟いた。そうか、同じ隊の隊員だったんだもんな。
「瓶だと思ったら…これは果実水だな」
「えっと、こっちの瓶は…粘り気のある調味料みたいだー…これ痛んでない?」
絶対に蓋は開けないようにしようと、ウィルはすごく嫌そうにそっと瓶を木箱に戻した。
「あ、あった。お酒の入った木箱ってこれじゃないかな?」
ネルバの声にぞろぞろと集まってみれば、そこにはいくつかの重そうな木箱が積み上げられていた。確かに中身は酒の瓶のようだ。
ちらりと視線を向ければ、クレットもそれですと笑顔で頷いてくれている。ネルバが発見したのが嬉しいらしく、どことなく誇らし気な顔だ。
ジーラルは、一番上の箱をひょいっと持ち上げた。
「え、でもこの木箱、動かしても何も無いぞ?」
「本当だ。普通に壁だね」
「他にも酒の入った木箱があるのかもしれないな」
ここでは無いという雰囲気になりそうな所で、俺は慌てて声をあげた。
「いや、待ってくれ。情報提供者は、全てを動かしたらと言っていた。もしかしたら隠蔽の魔道具か何かを使っているのかもしれない」
俺の言葉に、ウィルはなるほどここで合ってるんだなと言いたげに小さく一つ頷いた。察しの良い兄で何よりだよ。
「あー…あの橋の下の拠点の所にも、そういうのがあったもんな…」
どうやらダンは、橋の下の拠点の探索の方に関わってくれていたようだ。
「え、そんなのあったの?」
「ああ、ストファー魔道具店の魔道具技師を呼んで解除してもらったんだ」
「へーさすがストファー魔道具店だな」
ぽんぽんと続いていく会話を聞きながら、俺は不意に飛び出した懐かしい名前に思わず微笑んだ。
クリスとカーディさんはここにはいないから当然別人なんだろうが、こんな所でその店名を聞くとはな。
たしかファーガス兄さんが、この街で一番腕が良いと思う魔道具技師に声をかけたと言っていた。そうか、あの時の魔道具技師は、ストファー魔道具店の人だったのか。
「隠蔽の魔道具は地面に埋めるか真上に設置するかだと言っていたんだが…」
「まずはこの木箱を全部動かしてからにしない?」
「それもそうだな」
これは…すごい光景だな。
そのままぐるりと倉庫の中を見回した俺は、そこに保存されているあまりの物の多さに圧倒されてしまった。
想像していた以上に広い部屋の中には、大きな棚がずらりと並んでいる。その棚にあるのはどうやら保存の効く穀物や乾燥豆などの食材のようだ。倉庫のそこかしこには、大きな袋や木箱も無造作に積み上げられている。
これだけの物が詰まった倉庫は初めて見たな。
感心しながら視線をうろうろと動かしていると、不意にウィルと目が合った。
来たのかと言いたげに俺の顔をじっと見つめたウィルは、次の瞬間には俺の隣の空間に向けてニコッと笑みを浮かべてみせた。
見えていない筈なのに、きっちりクレットが立ってる場所に向いてるのはさすがだな。
俺達以外にも人がいるから声をかける事はできない。だからきっと、挨拶代わりの笑顔を見せたんだろうな。
笑顔を向けられたクレットも嬉しそうに笑い返しているから、ウィルの気持ちはきちんと伝わったようだ。
「それにしても…すごい量だな…」
あの盗賊団の人数でこれだけの食料を消費しようと思ったら、いったいどれだけの時間がかかるだろう。一盗賊団が備えとして置いている量では無い。
「だろ?だからおかしいと思ったんだよ」
思わずこぼれた俺の呟きに、ジーラルはそう答えた。
「普通はこれだけの食材を保存するなら、魔道収納鞄なり食料保存箱なりを使うだろ?」
ああ、確かに。これほどの物が並んだ倉庫を俺が見た事が無いのは、それが理由か。ウェルマールの領主城でもトライプールの騎士団本部でも、当たり前のように魔道具を使っているからな。
あの牙蛇盗賊団が、余分な魔導収納袋を持っていないはずが無い。
「確かにそうだな」
「これは倉庫だって分かりやすく目に見せるために、わざわざ設置されてると思ったんだ」
「まあ、僕たちはその隠し扉ってやつは発見できなかったんだけどね」
悔し気に横から続けたネルバの肩を、ウィルが慰めるようにポンポンと軽く叩いた。
「よし、それじゃあ、酒の入った木箱を見つけてくれるー?」
ウィルの言葉で、俺達は広い倉庫のあちこちへと散った。
「あの、場所は分かりますが…ここは遠いんです」
申し訳なさそうに、クレットがそう教えてくれる。小さく頷いてから、手信号でしばらく待って見つからなかったら俺が見つけるよと答えておいた。
クレットはにっこりと笑って、ジーラルとネルバならきっと見つけられますと呟いた。そうか、同じ隊の隊員だったんだもんな。
「瓶だと思ったら…これは果実水だな」
「えっと、こっちの瓶は…粘り気のある調味料みたいだー…これ痛んでない?」
絶対に蓋は開けないようにしようと、ウィルはすごく嫌そうにそっと瓶を木箱に戻した。
「あ、あった。お酒の入った木箱ってこれじゃないかな?」
ネルバの声にぞろぞろと集まってみれば、そこにはいくつかの重そうな木箱が積み上げられていた。確かに中身は酒の瓶のようだ。
ちらりと視線を向ければ、クレットもそれですと笑顔で頷いてくれている。ネルバが発見したのが嬉しいらしく、どことなく誇らし気な顔だ。
ジーラルは、一番上の箱をひょいっと持ち上げた。
「え、でもこの木箱、動かしても何も無いぞ?」
「本当だ。普通に壁だね」
「他にも酒の入った木箱があるのかもしれないな」
ここでは無いという雰囲気になりそうな所で、俺は慌てて声をあげた。
「いや、待ってくれ。情報提供者は、全てを動かしたらと言っていた。もしかしたら隠蔽の魔道具か何かを使っているのかもしれない」
俺の言葉に、ウィルはなるほどここで合ってるんだなと言いたげに小さく一つ頷いた。察しの良い兄で何よりだよ。
「あー…あの橋の下の拠点の所にも、そういうのがあったもんな…」
どうやらダンは、橋の下の拠点の探索の方に関わってくれていたようだ。
「え、そんなのあったの?」
「ああ、ストファー魔道具店の魔道具技師を呼んで解除してもらったんだ」
「へーさすがストファー魔道具店だな」
ぽんぽんと続いていく会話を聞きながら、俺は不意に飛び出した懐かしい名前に思わず微笑んだ。
クリスとカーディさんはここにはいないから当然別人なんだろうが、こんな所でその店名を聞くとはな。
たしかファーガス兄さんが、この街で一番腕が良いと思う魔道具技師に声をかけたと言っていた。そうか、あの時の魔道具技師は、ストファー魔道具店の人だったのか。
「隠蔽の魔道具は地面に埋めるか真上に設置するかだと言っていたんだが…」
「まずはこの木箱を全部動かしてからにしない?」
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