生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1252.二人で朝食を

 ラスさん特製のサンドイッチをお皿に乗せて用意している間に、ハルもささっと動いて飲み物を用意してくれた。

 俺のために用意してくれたのは、毎朝飲んでる一番好きなすっきりした柑橘系の果実水。ハルは日によって違うものを飲むんだけど、今日は温かい花茶にするみたいだ。

 ポットがわりに使っている大きめの木製コップをお湯で温める。その次に花茶を入れてお湯を少しだけ足し、フタをして蒸らす。花が少し開きかけた所で最後にゆっくりとお湯を入れる。

 美味しい花茶を淹れるための手順を、ハルはいつもきちんと守っている。

 丁寧な動きを何となく横目で追いながら、俺は新鮮な果物をいくつか取り出してカゴに入れていく。皮ごとそのまま食べられるものもあれば、皮だけ剥けば食べられるものも混ざってるんだけど、全部生食できる果物――のはず。

 実はあんまり自信は無い。

「ああ、果物も美味しそうだね」
「これって全部生食できるやつで合ってる?」

 不安な時は、しっかり分かる人に聞く方が良いよね。そう思って尋ねてみれば、ハルは合ってるよと笑って頷いてくれた。良かった。

 本当にあっという間に、朝食の用意が完了した。



 何種類も用意されていたサンドイッチを、これが美味しいあれが美味しいと言い合いながら食べ進めていく。

「このサンドイッチのソースって、アキトが昨日作ってくれたやつかな?」
「ん、たしかに、これはそうかも!マルックスにも合うね」

 香草で香りつけした鶏肉に似たマルックスを、ただ焼いたものだと思うんだけど、このソースだと深みが出る。

「サンドイッチにも合うんだな…」
「ね、野菜にも合うから…もしかしてサラダにも合う?」

 そんな風にラスさんから教わったソースの可能性に驚いたり、いつもより美味しく淹れられたという花茶を味見をさせてもらったりもした。

 いつもハルが淹れてくれる花茶ももちろん美味しいんだけど、今日は確かにすっごく美味しかった。

「いつものも美味しいけど、今日のは確かにすっごく美味しいね!」
「そうだよね…でも、なんでだろう?」

 淹れた本人もいつも通りの手順で淹れたらしくて、一体何が違うのか分からないと困り顔をしながら味わってた。眉間にしわを寄せながら、美味しいっていうからちょっと笑ってしまった。

 サンドイッチを食べ終えた後は、デザート代わりの果物へと手を伸ばした。

 ハルと俺は別に相談した訳でもないのに、お互いに違う果物を手に取った。

 俺が選んだのはナクルコだ。これは皮が蛍光ピンクな事さえ除けば、まるでみかんのような味の柑橘系の果物だ。みかんと比べると、かなり甘みが強いのが特徴かな。

 裏の厨房の食料保存箱に、ご自由にどうぞと書かれて保存されていた果物の一つだ。美味しかったからハルと食べたいと思ってもらってきたんだよね。

「へぇ、ナクルコか」
「うん、食料保存箱に置いてくれてたやつなんだ」
「そうなんだ。それにしても…アキトは器用に剥くね」

 普通はナイフで切って皮はついたまま食べるのにと感心しているハルに、俺は元の世界でよく食べてたみかんっていう果物があってねーと説明をしつつ皮を剥いていく。

 二人きりだから、異世界の話だってできちゃうんだよね。

「へぇ、似てる果物があったんだね」
「まあ、みかんの皮はこんなに派手な色じゃなかったけどね」

 思わずそうつぶやけば、ハルはクスクスと声をあげて笑った。

「そっか、本物のみかんは、アキト好みの落ち着いた色合いの皮だったって事だね?」
「そうそう。色で言うと…そうだなー夕陽みたいな色かな」
「ああ、そういう色なのか」

 そんな事を話しながら房ごとに丁寧に分けていく俺の隣で、ハルはさっと腕輪から取り出した調理用のナイフで皮ごと食べられる果物をどんどん切り分けてくれていた。

 ちなみに切り分けた果物は、いつの間に取り出したのかお皿の上に見栄え良く綺麗に並べられている。かなり豪華な果物の盛り合わせみたいになってて、迫力がすごい。

「ハル、すごい!美味しそうだね」
「アキトが選んだ果物が良かったんだよ。色合いが綺麗だから」

 そう答えたハルに、俺はいやいやハルの腕前でしょう?とすかさず返した。

 二人でじっと見つめ合ってから、どちらからともなく笑い合う。なんでお互いにお互いのおかげだって言い合ってるんだろうね、俺達。

 色んな種類を用意した果物は、お互いに食べさせ合いつつのんびりと堪能する事になった。
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