生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1266.【ハル視点】出迎え

 森の外で気ままに過ごしつつ待機してくれていたウマたちと、俺たちは何の問題もなく無事に合流する事に成功した。

 ウマに乗って森を抜けると、俺達はそのまま街道を駆け出した。

 少しずつ日が暮れつつあるせいか、街道を行く人の数はかなり減っている。移動中の人もまだ多少はいるんだが、ウマの駆ける音を聞くとさっと道を開けてくれる。

「すまない、ありがとう!」

 ちょうど道を譲ってくれた冒険者にすれ違い様にそう声をかければ、後ろから気にすんなーと答える声が追いかけてきた。

 こういう気楽なやり取りができるのが、冒険者の良い所だな。

「まさかこんな時間に帰って来れるとは、思わなかったねー」

 そう声をかけてきたのは、隣でウマを走らせているウィルだった。

「そうだな。まあもし夜遅くなっても、俺は帰るつもりだったけどな」

 アキトが待っているんだから当然だろう?と匂わせれば、ウィルからは気持ちは分かると返事が返ってきた。ジルさんに会うために、ウィルも今日中には帰るつもりだったんだろうな。

 ウマを走らせながらそっと見上げた空は、うっすらと赤く染まっていく所だった。青から紫、ピンク色から赤へとなだらかに色が変化していて綺麗だ。

 アキトに見せたいなと考えていると、不意にジーラルが叫んだ。

「あっ、みんな、領都の大門が見えてきたぞ!」

 叫び声にパッと視線を戻せば、確かに遠くにうっすらと領都の大門が見えてきていた。

「思った以上に順調な移動でしたねー」

 ネルバの嬉しそうな声に、ダンがすかさずまだ気は抜くなよと声をかけている。たしかにここで油断して魔物に出くわすなんて嫌だからな。

「それもそうですね。気合を入れなおします!」

 素直に忠告の言葉を受け止めて周りを警戒し始めたネルバに、ダンは良い判断だと嬉しそうに笑っている。

 和やかな空気が流れる中、俺達は大門を目指し更に速度をあげた。



 大門を通り抜けた俺達は、街中の大通りをウマを引きながら歩いていく。

 この時間帯になると、大通りの人はそれほど多くない。食事が取れる屋台の多い市場の中や、路地の飲食店の前の方が混み合っているからな。

 このままウマでこの大通りを駆け抜けられたら、時間短縮になるんだけどな。騎士の恰好をしている時ならともかく、冒険者を装っている今の状態では残念ながらそれは不可能だ。

 風に乗って時折漂ってくる美味そうな料理の香りを感じながら、俺達は足早に大通りを歩き続けた。



 はやる気持ちを抑えつけて森を通り辿り着いた領主城の前には、メイド長のリモと数人の使用人たちが待機してくれていた。

 どこかで俺達が帰ってくるという情報を仕入れてきていたんだろう。特に驚いた様子もなく、リモはスカートを摘まみながら深々とお辞儀をしてから口を開いた。。

「おかえりなさいませ。ウィリアム様、ハロルド様、そして先行部隊のみなさま。無事のお帰りをお持ちしておりました」
「ただいまー」
「ああ、ただいま」

 ウィルと俺がそう答えれば、リモは順番に俺達の姿を見つめた。

「みなさまご無事なようで、何よりです」

 ふわりと笑みを浮かべたリモの言葉に、俺達も笑い返す。本当に心からそう思ってくれているのが伝わってくる表情だった。

「それではどうぞ。みなさま、中へお入りください」

 リモの声かけと共に、待機していた使用人たちの手によって領主城のドアが開かれる

 ゆっくりと開いていくドアの隙間から、メイドや侍従たちを始めとした使用人がずらりと並んで待機しているのが見えた。

 ある意味では見慣れた出迎えの風景だが、一番前に立っているのが執事長のボルト一人だけじゃないのが、いつもとは違う所だな。

 アキトだ。ボルトの隣に、アキトが立っている。

 リモの案内で城の中へとぞろぞろと進んで行きながらも、俺の視線はアキトだけに固定されている。

 俺達の姿をじっと確認した後、アキトは明らかにホッとした様子で肩の力を抜いた。
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