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1267.【ハル視点】照れるアキト
「おかえりなさい!みなさん!」
アキトは珍しく、すこし大きな声でそう叫んだ。
普段からあまり大きな声を出す方じゃないアキトだが、それだけ俺達の無事を祈ってくれていたという事だろう。そのホッとした様子に、じわじわと愛しさが込み上げてくる。
「おかえりなさいませ、みなさま」
出迎えの使用人たちはアキトの声にも驚かず、一糸乱れぬ見事な礼を披露してくれた。
「アキトくん、ボルト、それにみんなも、わざわざ出迎えありがとうー」
代表してウィル兄がそう答えを返す。
「それにしても、先触れも出してないのによく分かったねー今日の見張りって今の時間は誰が当番だっけ?」
感心した様子でそう尋ねたウィル兄さんの質問に、ボルトは数人の名前をつらつらとあげている。
見張り台からの監視で単に俺達の帰還に気づいただけなら、わざわざこんな事は聞かないだろう。使用人たちとアキトがここまで出迎えに来れるぐらい素早く、報告し伝達できた事がすごい事なんだ。
「報告が来てから伝達までの時間が…」
「三人の見張りのうち一人がまずは魔道具で連絡をし…」
どうやらボルトとウィル兄は、見張りがどんな手段で報告してきたかについて話し始めたようだ。真剣な表情の二人の会話をぼんやりと聞いていると、アキトが動き出した。
話し込んでいる二人をちらりと見てから、そーっと俺に近づいてくる。
おかえりと言いにこちらへ来てくれるんだろうか。二人の話は長くなりそうだし、大歓迎だがと考えながら見守っていると、アキトは急に速度をあげた。
そのまま飛びつくようにして俺に抱き着いて来る。
「おかえり、ハル!」
まさかこんな風にぎゅぎゅっと両手で抱きしめられながら、おかえりを言われるとは思ってもみなかったな。
嬉しいし、可愛いし、愛おしい。
「うん。アキト、ただいま!」
「わざわざ出迎えに来てくれたんだね」
「うん、ボルトさんが教えてくれたんだ」
全員大きな怪我はしなかった?と抱き着いたまま尋ねてくるアキトに、大丈夫だったよと笑顔と共に答える。
こちらを見上げてくるアキトは、へへと嬉しそうに笑い返してくれた。まだ数時間しか経っていないはずなのに、なんだかすごく長い間離れていたような気がするな。
愛おしい伴侶候補の体を抱き返していると、不意にアキトがぴたりと動きを止めた。
どうしたんだ?と視線の先を辿ってみれば、先行部隊メンバーが揃って抱き合う俺達を見つめていた。
ジーラルは興味深そうに、ネルバは控え目に、ダンは微笑ましそうに、そしてクレットはニコニコ笑顔だ。
アキトはハッとした顔をしてから、そっと俺に抱き着いていた腕を解いた。
「みなさんもお帰りなさい。全員ご無事でなによりです」
何事も無かったかのように抱き着いた事を誤魔化したアキトがあまりに可愛くて、思わず笑ってしまいそうになった。
ここで笑うのは良くないだろうとぐっと堪えていたんだが、アキトの後ろにいたウィル兄が遠慮なく噴き出す音が聞こえてきた。
「あー…アキトくん、笑ってごめんね。別に抱き着くぐらい普通だから、誤魔化さなくて大丈夫だよー」
伴侶候補なんだから口づけとかしても、誰も変に思わないのに。そんな軽口を、ウィル兄は笑いながら続けた。
まあ確かに、誰も気にしないだろうな。アキト以外は。でもそれは駄目だ。
「口づけは駄目だよ」
「え、駄目なの?」
なんで?俺ならジルに口づけされたら喜ぶけど?と続きそうなウィル兄の言葉を遮り、俺は口を開いた。
「ああ、アキトが口づけする顔は俺だけが知ってれば良いからね。みんなにはあの顔はもったいなくて見せられない」
ニヤリと笑いながらそう告げれば、一瞬にしてアキトの顔が真っ赤に染まった。
アキトは照れる姿も可愛いから、ついついこうやって揶揄ってしまうんだよな。ちょっと浮かれすぎただろうか。
皆も俺の発言に呆れているかもしれないな。そう思った俺は、ぐるりと周りを見回してみた。
ウィル兄は感動した様子で、ハルがこんな事を言うようになるなんてと叫んでいる。ある意味では、通常通りの反応だな。
恥ずかしそうに視線を反らしているのはクレットだ。聞いてしまって良かったんだろうかとそっと視線を反らしてくれているのは、俺のためというよりアキトのためだろうな。気づかいのできる良い奴だ。
ジーラルはそれ格好良いなと騒いでいるし、その隣にいるネルバはすっごく良い口説き文句だねと褒めちぎっている。この二人は、いつでもぶれないな。
ダンはといえば、仲が良くて何よりだとうっすらと微笑んでいた。愛しの伴侶がいると公言していたぐらいだから、きっと俺の気持ちも分かるんだろう。一番大人の対応だな。
最後にボルトとリモを含む使用人たちだが、彼らの反応は何も心配する必要は無い。それでこそ領主一家と言いたげな、優しい笑顔で俺達を見守っているのみだ。一番予想通りの反応だな。
「それじゃあここで解散にしようかー。ジーラル、ネルバ、ダン。三人とももし良ければ領主城に宿泊できるようにするけど…」
どうする?と続けたウィル兄に、一瞬だけ視線を交わしたジーラルとネルバはすぐに口を開いた。
「私たちは騎士団本部の宿舎に戻る…戻ります」
普通に話そうとしていたジーラルだったが、途中から無理やり敬語に変えたな。ジーラルもネルバも、使用人たちに睨まれたらどうするんだと言ってたからきっと周りの目を気にしたんだろう。
「申し出は有難いですが、その方が気楽ですからね」
ネルバも申し訳なさそうにしながらも、はっきりと断りの言葉を口にした。
残すはダンだけだな。その場にいる全員の視線が一気に集まったが、ダンは落ち着いた様子で口を開いた。
「愛しの伴侶と家族が待ってますから帰ります」
「そうか、分かった。今日は本当に助かった。明日の昼過ぎにここで報告会をするから、それまではゆっくり休んでくれ」
ウィルの言葉に、三人は見事な敬礼を披露して解散となった。
アキトは珍しく、すこし大きな声でそう叫んだ。
普段からあまり大きな声を出す方じゃないアキトだが、それだけ俺達の無事を祈ってくれていたという事だろう。そのホッとした様子に、じわじわと愛しさが込み上げてくる。
「おかえりなさいませ、みなさま」
出迎えの使用人たちはアキトの声にも驚かず、一糸乱れぬ見事な礼を披露してくれた。
「アキトくん、ボルト、それにみんなも、わざわざ出迎えありがとうー」
代表してウィル兄がそう答えを返す。
「それにしても、先触れも出してないのによく分かったねー今日の見張りって今の時間は誰が当番だっけ?」
感心した様子でそう尋ねたウィル兄さんの質問に、ボルトは数人の名前をつらつらとあげている。
見張り台からの監視で単に俺達の帰還に気づいただけなら、わざわざこんな事は聞かないだろう。使用人たちとアキトがここまで出迎えに来れるぐらい素早く、報告し伝達できた事がすごい事なんだ。
「報告が来てから伝達までの時間が…」
「三人の見張りのうち一人がまずは魔道具で連絡をし…」
どうやらボルトとウィル兄は、見張りがどんな手段で報告してきたかについて話し始めたようだ。真剣な表情の二人の会話をぼんやりと聞いていると、アキトが動き出した。
話し込んでいる二人をちらりと見てから、そーっと俺に近づいてくる。
おかえりと言いにこちらへ来てくれるんだろうか。二人の話は長くなりそうだし、大歓迎だがと考えながら見守っていると、アキトは急に速度をあげた。
そのまま飛びつくようにして俺に抱き着いて来る。
「おかえり、ハル!」
まさかこんな風にぎゅぎゅっと両手で抱きしめられながら、おかえりを言われるとは思ってもみなかったな。
嬉しいし、可愛いし、愛おしい。
「うん。アキト、ただいま!」
「わざわざ出迎えに来てくれたんだね」
「うん、ボルトさんが教えてくれたんだ」
全員大きな怪我はしなかった?と抱き着いたまま尋ねてくるアキトに、大丈夫だったよと笑顔と共に答える。
こちらを見上げてくるアキトは、へへと嬉しそうに笑い返してくれた。まだ数時間しか経っていないはずなのに、なんだかすごく長い間離れていたような気がするな。
愛おしい伴侶候補の体を抱き返していると、不意にアキトがぴたりと動きを止めた。
どうしたんだ?と視線の先を辿ってみれば、先行部隊メンバーが揃って抱き合う俺達を見つめていた。
ジーラルは興味深そうに、ネルバは控え目に、ダンは微笑ましそうに、そしてクレットはニコニコ笑顔だ。
アキトはハッとした顔をしてから、そっと俺に抱き着いていた腕を解いた。
「みなさんもお帰りなさい。全員ご無事でなによりです」
何事も無かったかのように抱き着いた事を誤魔化したアキトがあまりに可愛くて、思わず笑ってしまいそうになった。
ここで笑うのは良くないだろうとぐっと堪えていたんだが、アキトの後ろにいたウィル兄が遠慮なく噴き出す音が聞こえてきた。
「あー…アキトくん、笑ってごめんね。別に抱き着くぐらい普通だから、誤魔化さなくて大丈夫だよー」
伴侶候補なんだから口づけとかしても、誰も変に思わないのに。そんな軽口を、ウィル兄は笑いながら続けた。
まあ確かに、誰も気にしないだろうな。アキト以外は。でもそれは駄目だ。
「口づけは駄目だよ」
「え、駄目なの?」
なんで?俺ならジルに口づけされたら喜ぶけど?と続きそうなウィル兄の言葉を遮り、俺は口を開いた。
「ああ、アキトが口づけする顔は俺だけが知ってれば良いからね。みんなにはあの顔はもったいなくて見せられない」
ニヤリと笑いながらそう告げれば、一瞬にしてアキトの顔が真っ赤に染まった。
アキトは照れる姿も可愛いから、ついついこうやって揶揄ってしまうんだよな。ちょっと浮かれすぎただろうか。
皆も俺の発言に呆れているかもしれないな。そう思った俺は、ぐるりと周りを見回してみた。
ウィル兄は感動した様子で、ハルがこんな事を言うようになるなんてと叫んでいる。ある意味では、通常通りの反応だな。
恥ずかしそうに視線を反らしているのはクレットだ。聞いてしまって良かったんだろうかとそっと視線を反らしてくれているのは、俺のためというよりアキトのためだろうな。気づかいのできる良い奴だ。
ジーラルはそれ格好良いなと騒いでいるし、その隣にいるネルバはすっごく良い口説き文句だねと褒めちぎっている。この二人は、いつでもぶれないな。
ダンはといえば、仲が良くて何よりだとうっすらと微笑んでいた。愛しの伴侶がいると公言していたぐらいだから、きっと俺の気持ちも分かるんだろう。一番大人の対応だな。
最後にボルトとリモを含む使用人たちだが、彼らの反応は何も心配する必要は無い。それでこそ領主一家と言いたげな、優しい笑顔で俺達を見守っているのみだ。一番予想通りの反応だな。
「それじゃあここで解散にしようかー。ジーラル、ネルバ、ダン。三人とももし良ければ領主城に宿泊できるようにするけど…」
どうする?と続けたウィル兄に、一瞬だけ視線を交わしたジーラルとネルバはすぐに口を開いた。
「私たちは騎士団本部の宿舎に戻る…戻ります」
普通に話そうとしていたジーラルだったが、途中から無理やり敬語に変えたな。ジーラルもネルバも、使用人たちに睨まれたらどうするんだと言ってたからきっと周りの目を気にしたんだろう。
「申し出は有難いですが、その方が気楽ですからね」
ネルバも申し訳なさそうにしながらも、はっきりと断りの言葉を口にした。
残すはダンだけだな。その場にいる全員の視線が一気に集まったが、ダンは落ち着いた様子で口を開いた。
「愛しの伴侶と家族が待ってますから帰ります」
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