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1275.【ハル視点】幸せな食事
人目がある時は恥ずかしがってしまうアキトだけど、今みたいに二人きりの時は俺の手から食べてくれるのが嬉しいんだよな。
だから機会があると、ついついあーんと言ってしまうわけだが。
アキトが作ってくれた料理で作った俺のお勧めの組み合わせは、どうやらアキトの口にも合ったようだ。
もぐもぐと口を動かしているアキトの目が、キラキラと輝いている。可愛いなぁとじっと見つめていると、ごくんと飲み込んだアキトがニッコリと笑みを浮かべた。
「うん、この組み合わせすっごく美味しいよ!」
「それは良かった。アキトの作ってくれた料理が美味しいからだよ」
「いや、ラスさんの作り方がすごいからじゃない?」
「関係ないとは言えないけど…そもそもラスは作り方を誰かに教えるタイプじゃないからな」
思わずそうこぼせば、アキトはえっと声をあげた。
「そうなの?」
「ああ、料理長だからたくさんの部下を抱えてはいるんだが、口頭で説明なんて滅多にしないし、なんなら作り方を見て勝手に覚えろってタイプだよ」
口に出してしまってから、これはアキトの中のラスの理想像を損なうんじゃないかと心配になってきた。これでアキトがラスさんってそういう優しくないタイプなんだーとでも言い出したら…確実にラスに怒られるな。
そんな事を考えていると、アキトがなるほどと言いながら深々と頷いた。
「そっか、ラスさんは職人気質なんだね」
「職人気質?」
「こっちでは言わないのかな?俺の世界の職人さんとかはね、見て技を盗めって言って説明しないとかもあるんだよ」
「そうなのか」
そういう話は普通に聞いた事があるからと答えたアキトに、俺はホッと息を吐いた。少なくともラスに怒られる心配は無さそうだ。
「ラスさんに教えて貰えたのは、すごい事なんだね」
「ああ、アキトだから教えて貰えたんだと思うよ」
完全に孫扱いをするって言ってたからな。ラスはきっと孫には甘い人なんだろう。
「今度しっかりお礼を言わないと」
「俺も言いたいな。こんなに美味しくて幸せな時間をくれたんだから」
そんな事を話ながらも、俺達は楽しく料理を味わった。
スープにクラッカーを浸して食べるのも美味かったし、ソースをかけた肉料理を葉物野菜で巻いて食べるのも美味かったな。どれも美味しくて、二人でどんどん食べ進めていった。
「あ、この組み合わせも美味しいよ、ハル」
不意にアキトがそう声をあげた。
「え、どれ?」
じっと見守っていると、アキトはいそいそともう一度同じものを再現してそっと差し出してくれた。
なるほど。ルクの実が入ってない淡泊なクラッカーに、塩気の強いチーズと甘みの強い果物を何種類か乗せてあるのか。これは確かに美味そうだ。
「あーん」
笑顔のアキトからの声かけに、俺はすぐに口を開いた。
「うん、これもすっごく美味しいな。これはデザートって感じになるんだね」
「ね、美味しいよね」
「もう一回食べたいな」
「じゃあ俺は最初の肉料理のやつもう一回食べたい」
「よし、それじゃあお互いの分を作って食べさせ合おうか?」
「うん、賛成!」
そんな風に二人で作ったものを食べさせ合うのは、本当に幸せな時間だった。
移動のせいもあってお腹が空いていた俺は、思う存分アキトの料理を堪能した。
あまりの食べっぷりに圧倒されたのか、アキトからはラスが作ってくれた料理の追加もあるよと言われた。
「いや、今日はやめておこうかな」
「そう?まだ足りなくない?」
「足りないってほどじゃないよ。まだ食べられるけど、今日はアキトの作ってくれた手料理だけ食べたいからね」
俺の言葉に、アキトは照れくさそうに笑ってくれた。
「「ごちそうさまでした」」
声を合わせた俺たちは、どちらともなく微笑み合う。
「ね、アキト」
「ん?」
「またアキトの手料理も食べさせて欲しいけど、今度は俺の手料理も食べてくれる?」
「うん、もちろん!」
「ラスに教わったわけじゃないから、騎士や冒険者の野営料理が基本になるけど…」
味は悪くないんだが、繊細さとは程遠いしアキトが作ってくれた料理ほどの華やかさも無い。それでも良ければと尋ねてみれば、アキトは嬉しそうにニコニコ笑ってくれた。
「それも美味しそうだね」
「そう?」
気を使わせてしまったかと思ったが、アキトはそういう料理にしかないワクワク感があるからと嬉しそうにそう言ってくれた。
「うん、今から楽しみにしとくね」
「ありがとう。それに、二人で料理をするのも楽しそうだよね」
「それ、絶対楽しいやつだ」
クスクスと笑い合っていたんだが、俺は不意に余計な事に気付いてしまった。
「あ…でも…」
「何か問題ある?」
「いや、問題というか…トライプールで二人で料理をするってなったら、場所をレーブンに借りないと駄目だよね?」
「うん、そうだね」
野営地で料理をするわけじゃないなら、黒鷹亭の厨房を借りる事になるだろう。
「そうなったら、レーブンとローガンが乱入してきそうだなと思ってね」
あの二人は絶対に入ってくるよねと、俺は真剣な表情でそう続けた。
アキトも、あーそうかもと頷いている。
「でも、それはそれで楽しそうだよね」
「たしかに楽しそうだけど…できればここにいる間に、裏の厨房を借りて二人で料理はしておきたいかな…?」
そうしないと、二人きりで料理をする機会は無くなりそうだ。いや、無くなりそうじゃないな、確実に無くなる。
「うん、ハルがそう言うなら、それもこれからのやりたい事に入れておこっか」
そんな約束を交わしてから、俺達は食事を終えた。
だから機会があると、ついついあーんと言ってしまうわけだが。
アキトが作ってくれた料理で作った俺のお勧めの組み合わせは、どうやらアキトの口にも合ったようだ。
もぐもぐと口を動かしているアキトの目が、キラキラと輝いている。可愛いなぁとじっと見つめていると、ごくんと飲み込んだアキトがニッコリと笑みを浮かべた。
「うん、この組み合わせすっごく美味しいよ!」
「それは良かった。アキトの作ってくれた料理が美味しいからだよ」
「いや、ラスさんの作り方がすごいからじゃない?」
「関係ないとは言えないけど…そもそもラスは作り方を誰かに教えるタイプじゃないからな」
思わずそうこぼせば、アキトはえっと声をあげた。
「そうなの?」
「ああ、料理長だからたくさんの部下を抱えてはいるんだが、口頭で説明なんて滅多にしないし、なんなら作り方を見て勝手に覚えろってタイプだよ」
口に出してしまってから、これはアキトの中のラスの理想像を損なうんじゃないかと心配になってきた。これでアキトがラスさんってそういう優しくないタイプなんだーとでも言い出したら…確実にラスに怒られるな。
そんな事を考えていると、アキトがなるほどと言いながら深々と頷いた。
「そっか、ラスさんは職人気質なんだね」
「職人気質?」
「こっちでは言わないのかな?俺の世界の職人さんとかはね、見て技を盗めって言って説明しないとかもあるんだよ」
「そうなのか」
そういう話は普通に聞いた事があるからと答えたアキトに、俺はホッと息を吐いた。少なくともラスに怒られる心配は無さそうだ。
「ラスさんに教えて貰えたのは、すごい事なんだね」
「ああ、アキトだから教えて貰えたんだと思うよ」
完全に孫扱いをするって言ってたからな。ラスはきっと孫には甘い人なんだろう。
「今度しっかりお礼を言わないと」
「俺も言いたいな。こんなに美味しくて幸せな時間をくれたんだから」
そんな事を話ながらも、俺達は楽しく料理を味わった。
スープにクラッカーを浸して食べるのも美味かったし、ソースをかけた肉料理を葉物野菜で巻いて食べるのも美味かったな。どれも美味しくて、二人でどんどん食べ進めていった。
「あ、この組み合わせも美味しいよ、ハル」
不意にアキトがそう声をあげた。
「え、どれ?」
じっと見守っていると、アキトはいそいそともう一度同じものを再現してそっと差し出してくれた。
なるほど。ルクの実が入ってない淡泊なクラッカーに、塩気の強いチーズと甘みの強い果物を何種類か乗せてあるのか。これは確かに美味そうだ。
「あーん」
笑顔のアキトからの声かけに、俺はすぐに口を開いた。
「うん、これもすっごく美味しいな。これはデザートって感じになるんだね」
「ね、美味しいよね」
「もう一回食べたいな」
「じゃあ俺は最初の肉料理のやつもう一回食べたい」
「よし、それじゃあお互いの分を作って食べさせ合おうか?」
「うん、賛成!」
そんな風に二人で作ったものを食べさせ合うのは、本当に幸せな時間だった。
移動のせいもあってお腹が空いていた俺は、思う存分アキトの料理を堪能した。
あまりの食べっぷりに圧倒されたのか、アキトからはラスが作ってくれた料理の追加もあるよと言われた。
「いや、今日はやめておこうかな」
「そう?まだ足りなくない?」
「足りないってほどじゃないよ。まだ食べられるけど、今日はアキトの作ってくれた手料理だけ食べたいからね」
俺の言葉に、アキトは照れくさそうに笑ってくれた。
「「ごちそうさまでした」」
声を合わせた俺たちは、どちらともなく微笑み合う。
「ね、アキト」
「ん?」
「またアキトの手料理も食べさせて欲しいけど、今度は俺の手料理も食べてくれる?」
「うん、もちろん!」
「ラスに教わったわけじゃないから、騎士や冒険者の野営料理が基本になるけど…」
味は悪くないんだが、繊細さとは程遠いしアキトが作ってくれた料理ほどの華やかさも無い。それでも良ければと尋ねてみれば、アキトは嬉しそうにニコニコ笑ってくれた。
「それも美味しそうだね」
「そう?」
気を使わせてしまったかと思ったが、アキトはそういう料理にしかないワクワク感があるからと嬉しそうにそう言ってくれた。
「うん、今から楽しみにしとくね」
「ありがとう。それに、二人で料理をするのも楽しそうだよね」
「それ、絶対楽しいやつだ」
クスクスと笑い合っていたんだが、俺は不意に余計な事に気付いてしまった。
「あ…でも…」
「何か問題ある?」
「いや、問題というか…トライプールで二人で料理をするってなったら、場所をレーブンに借りないと駄目だよね?」
「うん、そうだね」
野営地で料理をするわけじゃないなら、黒鷹亭の厨房を借りる事になるだろう。
「そうなったら、レーブンとローガンが乱入してきそうだなと思ってね」
あの二人は絶対に入ってくるよねと、俺は真剣な表情でそう続けた。
アキトも、あーそうかもと頷いている。
「でも、それはそれで楽しそうだよね」
「たしかに楽しそうだけど…できればここにいる間に、裏の厨房を借りて二人で料理はしておきたいかな…?」
そうしないと、二人きりで料理をする機会は無くなりそうだ。いや、無くなりそうじゃないな、確実に無くなる。
「うん、ハルがそう言うなら、それもこれからのやりたい事に入れておこっか」
そんな約束を交わしてから、俺達は食事を終えた。
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