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1276.【ハル視点】侵入者?
食事を終えた俺達は、事前に渡されていた魔道具のベルかき鳴らした。これは庭園での食事会の時にも使用した、メイドたちと繋がっているあのベルだ。
それほど待つまでもなく、メイドたちはすぐに駆けつけた。これだけ早いという事は。おそらく近くで待機していたんだろう。
「「おまたせ致しました」」
メイドの決まり文句のそれに、アキトは全然待っていませんと素直に返していた。なんて可愛いんだ。
二人のメイドにも、アキトの言動は刺さったらしい。いつも通りの笑顔ではあるんだが、二人を取り巻く空気が柔らかくなったのが分かった。
「食事の片付けを頼みたい」
「かしこまりました」
「おまかせください」
張り切って答えてくれた二人に、後を任せて立ち上がる。そこで異変に気づいた。
「…アキト?」
何故立ち上がらないんだと慌てて視線を向けてみれば、その目は眠たそうに細められていた。
ああ、なるほど。全然待っていません発言も、眠たさからぽろっとこぼれてしまった言葉だったのか。そういえば普段のアキトなら、いえと呟くか笑みを返すかぐらいだな。
さっきの行動の理由が分かった俺は、むしろ納得ができたんだがメイドたちは慌て始めた。
もしかしてアキトの体調が悪いのかもしれないと思ったのか、メイドたちは心配そうにしつつも俺にちらりと視線を向けてきた。
大丈夫ですか?お医者様を手配しますか?そう言いたげな二人の視線に、俺はもう一度アキトに視線を戻した。
顔色は悪くないし、むしろ幸せそうに微笑んでいる。うん、これは体調不良じゃなくて、ただ眠たいだけだろうな。俺がひとつ頷いてから笑い返せば、二人ともすぐにホッとした表情に変わった
俺はそっとテーブルを回り込んで、アキトに近づいていく。
「アキト、部屋に戻ろう?」
「あ、うん。戻る」
油断すると目が閉じてしまいそうな様子だが、返事は返してくれた。これなら歩けそうだな。俺はアキトに手を貸して、立ち上がらせる。
このまま部屋に向かおうと思ったが、アキトはメイド達に向かって口を開いた。
「片付け、おねがい…します」
眠気と戦っていらっしゃるのに、わざわざそんな事を言って下さるなんて!
そう言いたげな二人は眠そうなアキトの邪魔をしないようにか、そっとスカートを摘まんで礼をした。
廊下に出て二人きりになると、一気にアキトの体の力が抜けた。慌てた俺は、なかば抱きかかえるようにして部屋に入った。
「ん?おれたちの…へや?」
「ああ、戻ってきたよ」
隣の部屋で良かった。あまり長い距離だと、アキトが後で恥ずかしがるからな。そんな事を考えていると、アキトはふにゃりと笑みを浮かべた。
「おかえりーはるー」
「ただいま」
ふふと笑いながら答えれば、ほとんど目を閉じたままのアキトはすぐに魔力を練って俺が止める間もなく浄化魔法をかけてくれた。
「ありがとう」
「どういたしましてー」
へへーと笑うアキトを、恋人抱きでベッドへと運ぶ。そのまま頭をそっと撫でれば、ゆっくりと瞼が閉じていく。
「おやすみ、アキト」
「ん、ハルも…おや…み」
ふにゃふにゃと笑ったアキトは、そのまま眠ってしまった。幸せそうな寝顔を見ていると、自然と俺も眠たくなってくるな。
アキトの隣に横たわろうとした所で、ふと窓の外で何かがひらりと動いた気がした。
おかしいな。この部屋の窓の外には、バルコニーのようなものは無い。ここは三階だから人が通る筈も無い。
まさか侵入者か?
武勇で広く知られている辺境領だ。侵入者が来る事なんて滅多にないが、絶対にいないとも言いきれない。
俺は音を立てないように集中しながら、収納腕輪から小さめの短剣を取り出した。装備の所まで行っている間に逃げられても困るからな。
短剣を構えた俺は、油断せずにゆっくりと窓へと近づいていく。確認だけ出来れば、廊下にいる警備にでも声をかけた方が早いか。
それにしても、建物の周りを見て回っている巡回警備がいるはずなんだが。その警備に気づかれていないのはおかしいな。
そんな事を考えながら窓の方へと近づいてみれば、ふるふると振られている手の平が見えた。
それほど待つまでもなく、メイドたちはすぐに駆けつけた。これだけ早いという事は。おそらく近くで待機していたんだろう。
「「おまたせ致しました」」
メイドの決まり文句のそれに、アキトは全然待っていませんと素直に返していた。なんて可愛いんだ。
二人のメイドにも、アキトの言動は刺さったらしい。いつも通りの笑顔ではあるんだが、二人を取り巻く空気が柔らかくなったのが分かった。
「食事の片付けを頼みたい」
「かしこまりました」
「おまかせください」
張り切って答えてくれた二人に、後を任せて立ち上がる。そこで異変に気づいた。
「…アキト?」
何故立ち上がらないんだと慌てて視線を向けてみれば、その目は眠たそうに細められていた。
ああ、なるほど。全然待っていません発言も、眠たさからぽろっとこぼれてしまった言葉だったのか。そういえば普段のアキトなら、いえと呟くか笑みを返すかぐらいだな。
さっきの行動の理由が分かった俺は、むしろ納得ができたんだがメイドたちは慌て始めた。
もしかしてアキトの体調が悪いのかもしれないと思ったのか、メイドたちは心配そうにしつつも俺にちらりと視線を向けてきた。
大丈夫ですか?お医者様を手配しますか?そう言いたげな二人の視線に、俺はもう一度アキトに視線を戻した。
顔色は悪くないし、むしろ幸せそうに微笑んでいる。うん、これは体調不良じゃなくて、ただ眠たいだけだろうな。俺がひとつ頷いてから笑い返せば、二人ともすぐにホッとした表情に変わった
俺はそっとテーブルを回り込んで、アキトに近づいていく。
「アキト、部屋に戻ろう?」
「あ、うん。戻る」
油断すると目が閉じてしまいそうな様子だが、返事は返してくれた。これなら歩けそうだな。俺はアキトに手を貸して、立ち上がらせる。
このまま部屋に向かおうと思ったが、アキトはメイド達に向かって口を開いた。
「片付け、おねがい…します」
眠気と戦っていらっしゃるのに、わざわざそんな事を言って下さるなんて!
そう言いたげな二人は眠そうなアキトの邪魔をしないようにか、そっとスカートを摘まんで礼をした。
廊下に出て二人きりになると、一気にアキトの体の力が抜けた。慌てた俺は、なかば抱きかかえるようにして部屋に入った。
「ん?おれたちの…へや?」
「ああ、戻ってきたよ」
隣の部屋で良かった。あまり長い距離だと、アキトが後で恥ずかしがるからな。そんな事を考えていると、アキトはふにゃりと笑みを浮かべた。
「おかえりーはるー」
「ただいま」
ふふと笑いながら答えれば、ほとんど目を閉じたままのアキトはすぐに魔力を練って俺が止める間もなく浄化魔法をかけてくれた。
「ありがとう」
「どういたしましてー」
へへーと笑うアキトを、恋人抱きでベッドへと運ぶ。そのまま頭をそっと撫でれば、ゆっくりと瞼が閉じていく。
「おやすみ、アキト」
「ん、ハルも…おや…み」
ふにゃふにゃと笑ったアキトは、そのまま眠ってしまった。幸せそうな寝顔を見ていると、自然と俺も眠たくなってくるな。
アキトの隣に横たわろうとした所で、ふと窓の外で何かがひらりと動いた気がした。
おかしいな。この部屋の窓の外には、バルコニーのようなものは無い。ここは三階だから人が通る筈も無い。
まさか侵入者か?
武勇で広く知られている辺境領だ。侵入者が来る事なんて滅多にないが、絶対にいないとも言いきれない。
俺は音を立てないように集中しながら、収納腕輪から小さめの短剣を取り出した。装備の所まで行っている間に逃げられても困るからな。
短剣を構えた俺は、油断せずにゆっくりと窓へと近づいていく。確認だけ出来れば、廊下にいる警備にでも声をかけた方が早いか。
それにしても、建物の周りを見て回っている巡回警備がいるはずなんだが。その警備に気づかれていないのはおかしいな。
そんな事を考えながら窓の方へと近づいてみれば、ふるふると振られている手の平が見えた。
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