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1287.【ハル視点】怒れるボルト
豪華な会議室に響き渡ったあまりにも元気なジーラルの叫び声に、室内にいる全員の視線がバッとドアの所に集まった。
ここまで全力疾走でもしてきたのか、ジーラルの息はかなり弾んでいる。うーん、これは裏の廊下とかじゃなく、表の廊下を走ってきたんだろうな。そうじゃなければ、これほど息が切れたままここには来ないだろう。
今日のジーラルの服装は、ダンとネルバと同じくかっちりとした騎士の制服だ。廊下にいる騎士のように鎧まで装備すると、さすがに威圧感が出るから…という配慮だろうな。
それにしても、すごい登場の仕方だったな。
いや、まあ裏の廊下を通ってここまで走ってきた俺には、言われたくないか。
そんな事を考えつつ、俺はみんなの反応が気になって視線を向けてみた。
うん、ウィル兄は遠慮なく面白そうにニヤニヤしながら笑っているな。どうやって揶揄おうかなとか考えていそうな顔だ。
その隣に立っているジルさんは、明らかに困り顔だった。自分の隊の隊員だからか、こどもの悪戯に困る大人のようなそんな表情だ。
一方でダンは、苦笑しながらも興味深そうにジーラルを見ている。いや、あれは見ているというよりも、しっかり観察しているのかもしれないな。どこかの潜入で役立つかもしれないとか、考えていそうなそんな真剣な目をしている。
最後に視線を向けたネルバは、どこからどう見ても分かるぐらいの呆れ顔だ。今にも文句を言いそうに口が開きかけている。
ジーラルは集まっている視線に気が付くと、しまったと言いたげにその場で立ち止まった。その肩を背後からがしりと掴んだのは、執事長のボルトだ。
「ジーラル?何故、いきなり、ドアを、開くんですか?案内も待てないぐらい急いでいるというなら、せめてノックぐらいはしてもらわないと…困りますね?」
あー…なるほど。入口の横にはボルトが待機していたはずだ。そのボルトにノックをする間すら与えずに、ジーラルはいきなりドアを開いたんだろうな。それだけ慌てていたんだろうが、それはまあボルトも怒るだろうな。
「あいたたたっ!」
痛みに呻いているジーラルの様子から見て、あの肩の手にはかなりの力が込められているようだ。
「もし既に外部のお客様が来られていて室内にいらっしゃったら、いったいどうするつもりだったんですか?この領の騎士はこの程度かと、あなただけではなく領主様まで侮られたかもしれないんですよ?あなたの行動一つで、です」
ボルトの言っている事は、全て正しい。
面白そうな顔をしていたウィル兄も、今はすっと真顔になってボルトとジーラルのやり取りを眺めている。巻き込まれたくは無いからな。気持ちは分かる。こういう時のボルトは本当に怖い。
「いっ…いってぇ!」
「返事は?」
目は笑っていないのに表情だけはにっこりと笑っているせいで、余計に迫力があるな。自分が怒られているわけでも無いのに、ネルバは顔色が悪くなっている。ダンはそんなボルトの反応すらも、じっと観察中のようだ。
「あ…その…お客様はまだ来てないって、部屋の前でボルトさんが教えてくれたたので…っ!いったい!」
ああ…やってしまったな。そこで言い訳なんてせずに素直に謝っておけば、少しは早く終わっただろうに。
「なるほど。私の言い方が悪かったんですね。たしかにまだ外部のお客様は来られていませんが、領主一家の方々は、既に室内にいらっしゃいますよ?それについてはどう思われますか?」
「えっ…えと…」
おそらく肩の痛みで頭が回らないんだろうが、そこで言い淀むのも良くない。
「よーく分かりました…ジーラル、あなたにはきっちりと礼儀を叩きこみなおす必要がありそうですね?」
ジーラルはもはや真っ青な顔をして震えている。
今すぐにここで説教が始まりそうな雰囲気だったが、ボルトはきちんと今の状況を理解していたようだ。いつ外部の客人が来るか、分からないからな。
「この話は報告会の後に致しましょうか。ジーラル、逃げたければ逃げてもよろしいですが、捕まえたら説教の時間を伸ばしますので」
にっこりと笑ったボルトの言葉に、ジーラルは頬を引きつらせつつも分かりましたと頷いている。
「あ―、えっと…ボルト、うちの隊員がごめんねー」
「いえ、ウィリアム様が謝る必要はありません」
あっさりとそう言ったボルトは、ジーラルの肩から手を離すと失礼いたしますと部屋から出ていった。
「…あー…怖かったし…肩がすっげぇ痛かった!」
「いや、自分のせいだろ?」
ジーラルの呟きに答えるネルバの声だけが、静かな室内にやけに大きく響いた。
ここまで全力疾走でもしてきたのか、ジーラルの息はかなり弾んでいる。うーん、これは裏の廊下とかじゃなく、表の廊下を走ってきたんだろうな。そうじゃなければ、これほど息が切れたままここには来ないだろう。
今日のジーラルの服装は、ダンとネルバと同じくかっちりとした騎士の制服だ。廊下にいる騎士のように鎧まで装備すると、さすがに威圧感が出るから…という配慮だろうな。
それにしても、すごい登場の仕方だったな。
いや、まあ裏の廊下を通ってここまで走ってきた俺には、言われたくないか。
そんな事を考えつつ、俺はみんなの反応が気になって視線を向けてみた。
うん、ウィル兄は遠慮なく面白そうにニヤニヤしながら笑っているな。どうやって揶揄おうかなとか考えていそうな顔だ。
その隣に立っているジルさんは、明らかに困り顔だった。自分の隊の隊員だからか、こどもの悪戯に困る大人のようなそんな表情だ。
一方でダンは、苦笑しながらも興味深そうにジーラルを見ている。いや、あれは見ているというよりも、しっかり観察しているのかもしれないな。どこかの潜入で役立つかもしれないとか、考えていそうなそんな真剣な目をしている。
最後に視線を向けたネルバは、どこからどう見ても分かるぐらいの呆れ顔だ。今にも文句を言いそうに口が開きかけている。
ジーラルは集まっている視線に気が付くと、しまったと言いたげにその場で立ち止まった。その肩を背後からがしりと掴んだのは、執事長のボルトだ。
「ジーラル?何故、いきなり、ドアを、開くんですか?案内も待てないぐらい急いでいるというなら、せめてノックぐらいはしてもらわないと…困りますね?」
あー…なるほど。入口の横にはボルトが待機していたはずだ。そのボルトにノックをする間すら与えずに、ジーラルはいきなりドアを開いたんだろうな。それだけ慌てていたんだろうが、それはまあボルトも怒るだろうな。
「あいたたたっ!」
痛みに呻いているジーラルの様子から見て、あの肩の手にはかなりの力が込められているようだ。
「もし既に外部のお客様が来られていて室内にいらっしゃったら、いったいどうするつもりだったんですか?この領の騎士はこの程度かと、あなただけではなく領主様まで侮られたかもしれないんですよ?あなたの行動一つで、です」
ボルトの言っている事は、全て正しい。
面白そうな顔をしていたウィル兄も、今はすっと真顔になってボルトとジーラルのやり取りを眺めている。巻き込まれたくは無いからな。気持ちは分かる。こういう時のボルトは本当に怖い。
「いっ…いってぇ!」
「返事は?」
目は笑っていないのに表情だけはにっこりと笑っているせいで、余計に迫力があるな。自分が怒られているわけでも無いのに、ネルバは顔色が悪くなっている。ダンはそんなボルトの反応すらも、じっと観察中のようだ。
「あ…その…お客様はまだ来てないって、部屋の前でボルトさんが教えてくれたたので…っ!いったい!」
ああ…やってしまったな。そこで言い訳なんてせずに素直に謝っておけば、少しは早く終わっただろうに。
「なるほど。私の言い方が悪かったんですね。たしかにまだ外部のお客様は来られていませんが、領主一家の方々は、既に室内にいらっしゃいますよ?それについてはどう思われますか?」
「えっ…えと…」
おそらく肩の痛みで頭が回らないんだろうが、そこで言い淀むのも良くない。
「よーく分かりました…ジーラル、あなたにはきっちりと礼儀を叩きこみなおす必要がありそうですね?」
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にっこりと笑ったボルトの言葉に、ジーラルは頬を引きつらせつつも分かりましたと頷いている。
「あ―、えっと…ボルト、うちの隊員がごめんねー」
「いえ、ウィリアム様が謝る必要はありません」
あっさりとそう言ったボルトは、ジーラルの肩から手を離すと失礼いたしますと部屋から出ていった。
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