1,294 / 1,561
1293.【ハル視点】リーダー、ルピカ
機会があればアキトを紹介するという約束を取り付けたリヤンは、どうやらやっと満足したらしい。
そこでたった今思い出したかのように、リヤンは後ろの二人を振り返った。
「あーそうだ、今日の連れの紹介もしないとだな。まずこっちはルピカ。ムレングダンジョンの攻略組のパーティーを率いているパーティーリーダーだ」
「こんにちは。俺はルピカ。普段は後衛の魔法使いなんだけど、最近は前衛の盾使いの訓練もやってる所だ。よろしく頼む」
あーなるほど。このルピカさんという人が、おそらくサイクとミルゴの所属しているパーティーのリーダーなんだろうな。
まだあくまでも俺の予想ではあるんだが、そもそもムレングダンジョンの最深部を攻略しているパーティーの数はかなり少ない。詳しい数字までは俺も知らないが、おそらく両手で足りる程度しかいない筈だ。
そんな攻略組のパーティーリーダーを務めていて、しかも本人は魔法使いだ。
それだけでも、もしかしてと思う所だが、さらに前衛の盾使いの訓練までしているときた。これだけたくさんの条件にぴったりとあてはまる人なんて、まず他にいないだろう。
そんな事を考えながらルピカさんを見つめていると、不意にファーガス兄さんが動いた。うっすらと笑みを浮かべたまま、ルピカさんに近づいて声をかける。
「少し久しぶりだな、ルピカ」
「ああ。ファーガス、久しぶり。今はパーティーの休暇期間中だからね。最近はムレングダンジョンにも潜ってないんだ」
「サイクとミルゴからもそう聞いたよ」
ファーガス兄さんはあっさりとそう答えた。
「ああ、早朝訓練にも顔を出してるって言ってたな。ファーガスも会ったんだ」
「会ったぞ。それに俺の弟とその伴侶候補が世話になったからな」
「いやいや、美味しい魚を食べさせてもらったとか、すごい攻撃を見たとか、珍しいものを解体させてもらったって大騒ぎしてたから。むしろこっちの方が世話になってるよ」
ふふと笑ったルピカさんは、俺に向かってニコリと笑みを浮かべた。
どうやら休暇中も、仲間の行動はきっちりと報告されて把握しているらしい。いや、報告というよりもただ仲が良くて、あれこれ聞いているだけという可能性もあるか。
面白い奴ばかりのパーティーなんだとサイクも楽しそうに言ってたから、そっちの可能性の方が高そうかもしれない。
そんな事を考えている事を綺麗に隠し通して、俺もニコリと笑みを返した。もう一人の自己紹介もまだ終わっていないからな。時間を使わないようにとあえて言葉での返事はしなかったが、すこし失礼な態度だっただろうか。
俺の心配をよそに、ルピカは特に気にした様子もなくファーガス兄さんに視線を戻した。
「それにしても、今日は他のメンバーは連れてこなかったんだな?全員で来ても良かっただろうに」
そうすれば久しぶりに全員に会えたのにと言いたげなファーガス兄さんの言葉に、俺とウィル兄は思わず視線を交わしてしまった。
本当にファーガス兄さんの友人たちなんだな。
うん、本当にファグ兄の友人たちなんだね。
そんな会話を、俺たちは目だけで交わした。
「あー、サイクもミルゴも、それにエンリケも、こういう場には慣れてないからな。むしろ邪魔になるからって断られたんだよ」
俺が知っているのは斧使いのサイクと盾使いのミルゴ、そしてついさっき出逢ったばかりのパーティーリーダーである魔法使いのルピカ。
という事は、今名前の出たエンリケというのが、まだ会った事のない最後の一人――弓使いのエンリケか。
「俺が代表して聞いてこいって言われたんだよ」
「リーダーは大変だな」
「まあな。こういう時だけリーダー扱いするんだよ、あいつら」
口調だけなら普通に文句を言っているように感じるが、その表情は意外にも穏やかだ。年の離れた弟たちを見るような顔だな。
俺達の会話がひと段落するのを待ってから、リヤンが再び口を開いた。
「それと…こっちが冒険者のコーデリアだ。彼女は隠蔽や罠の解除の腕が一級品なんだ。だから今回は参加して欲しいと要請を出した」
「はじめまして。私はコーデリアよ。普段はいくつかのパーティーと一緒にダンジョンに潜っているわ」
いくつかのパーティーから誘われているという事は、リヤンの言った通り相当の腕前なんだろうな。
そこでたった今思い出したかのように、リヤンは後ろの二人を振り返った。
「あーそうだ、今日の連れの紹介もしないとだな。まずこっちはルピカ。ムレングダンジョンの攻略組のパーティーを率いているパーティーリーダーだ」
「こんにちは。俺はルピカ。普段は後衛の魔法使いなんだけど、最近は前衛の盾使いの訓練もやってる所だ。よろしく頼む」
あーなるほど。このルピカさんという人が、おそらくサイクとミルゴの所属しているパーティーのリーダーなんだろうな。
まだあくまでも俺の予想ではあるんだが、そもそもムレングダンジョンの最深部を攻略しているパーティーの数はかなり少ない。詳しい数字までは俺も知らないが、おそらく両手で足りる程度しかいない筈だ。
そんな攻略組のパーティーリーダーを務めていて、しかも本人は魔法使いだ。
それだけでも、もしかしてと思う所だが、さらに前衛の盾使いの訓練までしているときた。これだけたくさんの条件にぴったりとあてはまる人なんて、まず他にいないだろう。
そんな事を考えながらルピカさんを見つめていると、不意にファーガス兄さんが動いた。うっすらと笑みを浮かべたまま、ルピカさんに近づいて声をかける。
「少し久しぶりだな、ルピカ」
「ああ。ファーガス、久しぶり。今はパーティーの休暇期間中だからね。最近はムレングダンジョンにも潜ってないんだ」
「サイクとミルゴからもそう聞いたよ」
ファーガス兄さんはあっさりとそう答えた。
「ああ、早朝訓練にも顔を出してるって言ってたな。ファーガスも会ったんだ」
「会ったぞ。それに俺の弟とその伴侶候補が世話になったからな」
「いやいや、美味しい魚を食べさせてもらったとか、すごい攻撃を見たとか、珍しいものを解体させてもらったって大騒ぎしてたから。むしろこっちの方が世話になってるよ」
ふふと笑ったルピカさんは、俺に向かってニコリと笑みを浮かべた。
どうやら休暇中も、仲間の行動はきっちりと報告されて把握しているらしい。いや、報告というよりもただ仲が良くて、あれこれ聞いているだけという可能性もあるか。
面白い奴ばかりのパーティーなんだとサイクも楽しそうに言ってたから、そっちの可能性の方が高そうかもしれない。
そんな事を考えている事を綺麗に隠し通して、俺もニコリと笑みを返した。もう一人の自己紹介もまだ終わっていないからな。時間を使わないようにとあえて言葉での返事はしなかったが、すこし失礼な態度だっただろうか。
俺の心配をよそに、ルピカは特に気にした様子もなくファーガス兄さんに視線を戻した。
「それにしても、今日は他のメンバーは連れてこなかったんだな?全員で来ても良かっただろうに」
そうすれば久しぶりに全員に会えたのにと言いたげなファーガス兄さんの言葉に、俺とウィル兄は思わず視線を交わしてしまった。
本当にファーガス兄さんの友人たちなんだな。
うん、本当にファグ兄の友人たちなんだね。
そんな会話を、俺たちは目だけで交わした。
「あー、サイクもミルゴも、それにエンリケも、こういう場には慣れてないからな。むしろ邪魔になるからって断られたんだよ」
俺が知っているのは斧使いのサイクと盾使いのミルゴ、そしてついさっき出逢ったばかりのパーティーリーダーである魔法使いのルピカ。
という事は、今名前の出たエンリケというのが、まだ会った事のない最後の一人――弓使いのエンリケか。
「俺が代表して聞いてこいって言われたんだよ」
「リーダーは大変だな」
「まあな。こういう時だけリーダー扱いするんだよ、あいつら」
口調だけなら普通に文句を言っているように感じるが、その表情は意外にも穏やかだ。年の離れた弟たちを見るような顔だな。
俺達の会話がひと段落するのを待ってから、リヤンが再び口を開いた。
「それと…こっちが冒険者のコーデリアだ。彼女は隠蔽や罠の解除の腕が一級品なんだ。だから今回は参加して欲しいと要請を出した」
「はじめまして。私はコーデリアよ。普段はいくつかのパーティーと一緒にダンジョンに潜っているわ」
いくつかのパーティーから誘われているという事は、リヤンの言った通り相当の腕前なんだろうな。
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
拾われたのはたぶん僕です 〜ポンコツ魔法使いと騎士団の平和な大事件〜
ニア。
BL
崖から落ちただけなのに、騎士団長に拾われました。
真面目に生きてきた魔法使いモーネ。
ただ薬草を採ろうとして滑落しただけなのに、なぜか王国最強の騎士団長イグラムに連れて行かれ、騎士団で暮らすことに。
しかしこの魔法使い、少しだけ普通ではありません。
回復魔法を使えば何かが増え、
補助魔法を使えば騎士団が浮き、
気づけば庭はプリンになります。
——本人はちゃんとやっています。
巻き込まれる騎士団と、なぜか楽しそうな団長。
さらに弟子や王子、ドラゴンまで加わって、騎士団は今日も平和に大騒ぎ。
これは、ポンコツ魔法使いが真面目に頑張るたびに世界が少し壊れる、騒がしくて優しいファンタジーです。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。
お話を追加いたしました。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。