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1294.【ハル視点】コーデリアさん
ダンジョン内の罠や隠蔽の解除というのは、そう簡単なものでは無い。
ただ解除するだけでも難しいのは当然だが、まずそれよりも先にその罠や解除を見抜く必要がある。発見するのすら難しい。それがダンジョンの罠や隠蔽だ。
ちなみにこの場合の隠蔽は、マルクさんが解除してくれたような魔道具の物とは少し異なる。
基本的には落とし穴や通路などを隠しているダンジョンの隠蔽には、魔道具と違って核となる物が存在していない。核を取り除けば解ける隠蔽よりも更に厄介なものだ。
隠蔽全体に薄く魔力を通しながら少しずつ解除していく必要があるため、魔力操作の能力も求められる。たしか途中で魔力が揺らいでしまえば、もう一度一からやり直しになるんだよな。
そんな繊細な作業をするわけだから当然だが、解除にはかなりの時間を要する。
解除をする事になったとある騎士の作業を見た事はあるが、あれはたしか半日以上はかかった筈だ。それでも無事に解けただけで、十分にすごい事だと周りには絶賛されていた。
解除をしていたその騎士によれば、まるでごちゃごちゃの迷路の中に唐突に放り込まれたような感覚らしい。ゴールに辿り着くまでは魔力を揺らす事も許されない、そんな面倒な迷路だそうだ。
解除ができた騎士にすらできる事ならもうやりたくないと言われるようなその作業を、得意だと言いきれる。そんな人がいったい何人いるだろう。
ワクワクしながら、俺はコーデリアさんにちらりと視線を向けた。
罠や隠蔽の解除をしている所を、今後のためにもぜひ見ておきたいな。
今回の報告会にわざわざ連れて来られたという事は、本隊にも同行する予定なんだろうか。もし彼女も参加予定なら、一度ぐらいはその腕前を見る機会があるのかもしれない。
ぼんやりとそんな事を考えながら話を聞いていると、コーデリアさんは不意ににっこりと笑みを浮かべた。大好きなお菓子を急に目の前に差し出された子どものような、それはもう無邪気な笑みだった。
「一応言われる前に先に言っておくけど、私はこどもじゃなくて立派な大人だから気をつけてね?ちなみに今ここにいる人の中では…そうねギルマスに次いで年長者だと思うわ」
ぐるりと室内を見回してからそんな予想外の事を言い放ったコーデリアさんに、部屋にいる全員の視線が集中する。
リヤンの年齢はおそらく60台に届くかどうかぐらいだろう。そのリヤンに次いでいる…だと?
ファーガス兄さんよりも年上だとはっきりと言いきった事にも、正直に言えば驚いた。見た目だけなら、この部屋にいる中で間違いなく最年少に見えるからな。これだけのメンバーの前での堂々とした態度がなければ、こどもだと思ったかもしれない見た目だ。
「そうなのか。お若く見えるが何故…とは聞いてはいけないだろうか?」
すぐさま直球でそう聞き返したファーガス兄さんに、ジーラルとネルバからは尊敬の眼差しが向けられている。よく聞いてくれたと思っているんだろうな。
まあ多分本人は誰かのためにと代表して聞いたわけではなく、単純に自分が気になっただけだと思うが。
「いいえ、あなたみたいに率直に聞いてくれた方が嬉しいわ」
コーデリアさんはむしろ嬉しそうに笑って答えた。
その笑顔はさっきの笑みとは違って、どこか大人びたものだった。こっちが年齢相応のコーデリアさんの笑顔なんだろうな。さっきのあれはこどもじゃないという言葉を浸透させるために、わざと浮かべたこどもっぽい笑みだったんだろう。
「実は数代前の先祖にエルフとドワーフの血が少しずつ入っているらしくてね。詳しい事は分からないけれど、それがうまく作用した結果、何故かこんな風になってるってわけ」
「なるほど、では何かの病や呪いでは無く、生まれつきのものなんだな」
それなら良かったと、ファーガス兄さんはうっすらと笑みを浮かべてひとつ頷いた。珍しく突っ込んだ事を聞いたなと思っていたが、もし病や呪いなら何とかしたいと思っていたのか。
なるほど。ファーガス兄さんらしいな。
そんなファーガス兄さんの考えは、どうやらコーデリアさんにも伝わったらしい。
「ええ、心配してくれてありがとう。まあこの見た目に関しては、損をした事しか無いけどね」
「そうなのか?」
「ええ。見た目はこどもにしか見えないからって、すぐに舐められちゃうのよね。冒険者ギルドに行っても、冒険者たちからお嬢ちゃん、迷子かー?なんて聞かれるのよ?」
きっと本人からすれば嫌な声かけなんだろうなとは分かるが、その冒険者たちもおそらく揶揄いとかではなく本気で心配して声をかけているんだろう。
コーデリアさんの体質について何も知らない状態で、冒険者ギルドに一人で出入りしている所を見たら…俺だってそう聞いてしまうかもしれない。
ただ解除するだけでも難しいのは当然だが、まずそれよりも先にその罠や解除を見抜く必要がある。発見するのすら難しい。それがダンジョンの罠や隠蔽だ。
ちなみにこの場合の隠蔽は、マルクさんが解除してくれたような魔道具の物とは少し異なる。
基本的には落とし穴や通路などを隠しているダンジョンの隠蔽には、魔道具と違って核となる物が存在していない。核を取り除けば解ける隠蔽よりも更に厄介なものだ。
隠蔽全体に薄く魔力を通しながら少しずつ解除していく必要があるため、魔力操作の能力も求められる。たしか途中で魔力が揺らいでしまえば、もう一度一からやり直しになるんだよな。
そんな繊細な作業をするわけだから当然だが、解除にはかなりの時間を要する。
解除をする事になったとある騎士の作業を見た事はあるが、あれはたしか半日以上はかかった筈だ。それでも無事に解けただけで、十分にすごい事だと周りには絶賛されていた。
解除をしていたその騎士によれば、まるでごちゃごちゃの迷路の中に唐突に放り込まれたような感覚らしい。ゴールに辿り着くまでは魔力を揺らす事も許されない、そんな面倒な迷路だそうだ。
解除ができた騎士にすらできる事ならもうやりたくないと言われるようなその作業を、得意だと言いきれる。そんな人がいったい何人いるだろう。
ワクワクしながら、俺はコーデリアさんにちらりと視線を向けた。
罠や隠蔽の解除をしている所を、今後のためにもぜひ見ておきたいな。
今回の報告会にわざわざ連れて来られたという事は、本隊にも同行する予定なんだろうか。もし彼女も参加予定なら、一度ぐらいはその腕前を見る機会があるのかもしれない。
ぼんやりとそんな事を考えながら話を聞いていると、コーデリアさんは不意ににっこりと笑みを浮かべた。大好きなお菓子を急に目の前に差し出された子どものような、それはもう無邪気な笑みだった。
「一応言われる前に先に言っておくけど、私はこどもじゃなくて立派な大人だから気をつけてね?ちなみに今ここにいる人の中では…そうねギルマスに次いで年長者だと思うわ」
ぐるりと室内を見回してからそんな予想外の事を言い放ったコーデリアさんに、部屋にいる全員の視線が集中する。
リヤンの年齢はおそらく60台に届くかどうかぐらいだろう。そのリヤンに次いでいる…だと?
ファーガス兄さんよりも年上だとはっきりと言いきった事にも、正直に言えば驚いた。見た目だけなら、この部屋にいる中で間違いなく最年少に見えるからな。これだけのメンバーの前での堂々とした態度がなければ、こどもだと思ったかもしれない見た目だ。
「そうなのか。お若く見えるが何故…とは聞いてはいけないだろうか?」
すぐさま直球でそう聞き返したファーガス兄さんに、ジーラルとネルバからは尊敬の眼差しが向けられている。よく聞いてくれたと思っているんだろうな。
まあ多分本人は誰かのためにと代表して聞いたわけではなく、単純に自分が気になっただけだと思うが。
「いいえ、あなたみたいに率直に聞いてくれた方が嬉しいわ」
コーデリアさんはむしろ嬉しそうに笑って答えた。
その笑顔はさっきの笑みとは違って、どこか大人びたものだった。こっちが年齢相応のコーデリアさんの笑顔なんだろうな。さっきのあれはこどもじゃないという言葉を浸透させるために、わざと浮かべたこどもっぽい笑みだったんだろう。
「実は数代前の先祖にエルフとドワーフの血が少しずつ入っているらしくてね。詳しい事は分からないけれど、それがうまく作用した結果、何故かこんな風になってるってわけ」
「なるほど、では何かの病や呪いでは無く、生まれつきのものなんだな」
それなら良かったと、ファーガス兄さんはうっすらと笑みを浮かべてひとつ頷いた。珍しく突っ込んだ事を聞いたなと思っていたが、もし病や呪いなら何とかしたいと思っていたのか。
なるほど。ファーガス兄さんらしいな。
そんなファーガス兄さんの考えは、どうやらコーデリアさんにも伝わったらしい。
「ええ、心配してくれてありがとう。まあこの見た目に関しては、損をした事しか無いけどね」
「そうなのか?」
「ええ。見た目はこどもにしか見えないからって、すぐに舐められちゃうのよね。冒険者ギルドに行っても、冒険者たちからお嬢ちゃん、迷子かー?なんて聞かれるのよ?」
きっと本人からすれば嫌な声かけなんだろうなとは分かるが、その冒険者たちもおそらく揶揄いとかではなく本気で心配して声をかけているんだろう。
コーデリアさんの体質について何も知らない状態で、冒険者ギルドに一人で出入りしている所を見たら…俺だってそう聞いてしまうかもしれない。
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