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1300.【ハル視点】問題点
「これはそのシーランたちのパーティーが気づいた事なんだが…」
まずはそう前置きをしてから、俺はムレングダンジョンの99階層の広さが以前よりも狭くなっているらしいと報告をした。
「それは…確かなのか?」
真剣な表情でそう尋ねてきた父さんに、俺はすぐに確かだと答えた。
「アデンとハレンが書いた地図を見せてもらったんだが、間違いなく以前よりも狭くなっていたよ」
「リヤン、そのアデンとハレンという冒険者の地図の腕前は、どの程度だ?」
あの精密な地図を、自分の目で見たわけでは無いからな。父さんがそこを気にかけるのは、当然と言えば当然だろう。リヤンは父さんからの質問に、すぐさま口を開いた。
「あの二人の書いた地図なら、信頼度は冒険者ギルドの冒険者たちの中でもトップクラスだ。誤差はとにかく少ないし、細かい情報の書き込みも多いからな」
滅多に人には見せないが、ギルドには定期的に報告をあげてくれている良い奴らだとリヤンはどこか誇らしげに続けた。
あの時あの地図を見せてくれたのは、やっぱりリーダーのシーランを助けた事へのお礼だったんだな。
「そうか。現時点では盗賊団のものとは断定できないが、つまりムレングダンジョンの99階層に謎の隠れ家があるという事だな」
「そうだな。シーランたちはポズナーラもその隠れ家の持ち主たちが仕組んでいるんじゃないかと疑っていた」
「罠にポズナーラを使う…か…厄介というか…そいつら全員ぶちのめしてぇな」
低い声でぼそりと呟いたリヤンは、明らかに殺意の滲む鋭い目をしていた。この調子だと、盗賊団をぶちのめすために自分もダンジョンに潜ると言い出しそうだな。まあリヤンは間違いなく戦力になるから、俺たちはもちろん歓迎だが。
「99階層に本隊を向かわせるのは確定だな」
「うん、それは確定で良いんだけど…一つだけ問題があるんだよねー」
ウィル兄さんは言い難そうにしながらも口を開いた。
「問題?」
「聞かせてくれ」
「うん、俺は70階層までしか潜った事がなくて、ハルも50階層までしか潜った事が無かったんだよねーこの意味分かる?」
ウィル兄の言葉に、事前に話を聞いていた俺以外の全員がえっと声をあげた。
「そんな俺のムレングダンジョンの手帳型魔道具の記録がこちらでーす」
ふざけたような言葉と共に、ウィル兄はさっと取り出した手帳をパッと開いてみせつけた。そこには99階層の文字がきっちりと刻まれている。これは俺のも見せるべきだろうな。腕輪から取り出した手帳を、俺も見やすいようにと開いてみせた。
「俺のはこれだ」
「…つまり、その盗賊団の魔道具で転移すれば、いきなり99階層に直接潜れると…?」
「うん、そういう事になるよねー」
あっさりとそう言うと、ウィル兄はダンとジーラル、ネルバに順番に視線を向けた。
「みんなはさ、あの時よりも前に99階層は超えてたのー?」
「私は既に超えていました」
ダンは階層までは口にはしなかったが、すぐさまそう答えた。陰護衛の関係でムレングダンジョンに潜る事もあるのかもしれないな。
「私も110階層までは」
「同じく110階層でした」
休日に騎士仲間たちと一緒にムレングダンジョンに潜っていたらしく、ジーラルとネルバはちょうど同じ階層だったらしい。
「それはたしかに問題…だな…」
父さんは重々しくそう呟いた。
「その魔道具の存在を一般には完全に隠し通すか、もしくは何か規則を作って99階層までは楽に潜れると広く公開するか…か?」
ダンジョンに詳しいファーガス兄さんは、指を下りながらそう呟いた。
「あとは、魔道具の移設がもし可能なら、どこかに移動させてこっそり利用するという手もあるよー」
ウィル兄さんの提案も、確かに理にかなったものだ。
それに、もうひとつ選択肢があるよな。誰も言わないなら俺が言うかと、口を開く。
「…揉めるぐらいなら、存在が広まる前にいっそ壊すという手もある」
「ハル、それは…」
「さすがにもったいなくないー?」
ファーガス兄さんとウィル兄からは、本気かと言いたげな視線を向けられた。だが意外にもそれも良いかもしれないなと同意したのは、父さんとリヤン、そしてルピカさんだった。
「ルピカさんも同意するんだな?」
「ああ、99階層にいきなり放り込まれて、生き残れる人ばかりとは限らないからな」
冒険者の人命を優先すると、ルピカさんはあっさりとそう言い放った。
まずはそう前置きをしてから、俺はムレングダンジョンの99階層の広さが以前よりも狭くなっているらしいと報告をした。
「それは…確かなのか?」
真剣な表情でそう尋ねてきた父さんに、俺はすぐに確かだと答えた。
「アデンとハレンが書いた地図を見せてもらったんだが、間違いなく以前よりも狭くなっていたよ」
「リヤン、そのアデンとハレンという冒険者の地図の腕前は、どの程度だ?」
あの精密な地図を、自分の目で見たわけでは無いからな。父さんがそこを気にかけるのは、当然と言えば当然だろう。リヤンは父さんからの質問に、すぐさま口を開いた。
「あの二人の書いた地図なら、信頼度は冒険者ギルドの冒険者たちの中でもトップクラスだ。誤差はとにかく少ないし、細かい情報の書き込みも多いからな」
滅多に人には見せないが、ギルドには定期的に報告をあげてくれている良い奴らだとリヤンはどこか誇らしげに続けた。
あの時あの地図を見せてくれたのは、やっぱりリーダーのシーランを助けた事へのお礼だったんだな。
「そうか。現時点では盗賊団のものとは断定できないが、つまりムレングダンジョンの99階層に謎の隠れ家があるという事だな」
「そうだな。シーランたちはポズナーラもその隠れ家の持ち主たちが仕組んでいるんじゃないかと疑っていた」
「罠にポズナーラを使う…か…厄介というか…そいつら全員ぶちのめしてぇな」
低い声でぼそりと呟いたリヤンは、明らかに殺意の滲む鋭い目をしていた。この調子だと、盗賊団をぶちのめすために自分もダンジョンに潜ると言い出しそうだな。まあリヤンは間違いなく戦力になるから、俺たちはもちろん歓迎だが。
「99階層に本隊を向かわせるのは確定だな」
「うん、それは確定で良いんだけど…一つだけ問題があるんだよねー」
ウィル兄さんは言い難そうにしながらも口を開いた。
「問題?」
「聞かせてくれ」
「うん、俺は70階層までしか潜った事がなくて、ハルも50階層までしか潜った事が無かったんだよねーこの意味分かる?」
ウィル兄の言葉に、事前に話を聞いていた俺以外の全員がえっと声をあげた。
「そんな俺のムレングダンジョンの手帳型魔道具の記録がこちらでーす」
ふざけたような言葉と共に、ウィル兄はさっと取り出した手帳をパッと開いてみせつけた。そこには99階層の文字がきっちりと刻まれている。これは俺のも見せるべきだろうな。腕輪から取り出した手帳を、俺も見やすいようにと開いてみせた。
「俺のはこれだ」
「…つまり、その盗賊団の魔道具で転移すれば、いきなり99階層に直接潜れると…?」
「うん、そういう事になるよねー」
あっさりとそう言うと、ウィル兄はダンとジーラル、ネルバに順番に視線を向けた。
「みんなはさ、あの時よりも前に99階層は超えてたのー?」
「私は既に超えていました」
ダンは階層までは口にはしなかったが、すぐさまそう答えた。陰護衛の関係でムレングダンジョンに潜る事もあるのかもしれないな。
「私も110階層までは」
「同じく110階層でした」
休日に騎士仲間たちと一緒にムレングダンジョンに潜っていたらしく、ジーラルとネルバはちょうど同じ階層だったらしい。
「それはたしかに問題…だな…」
父さんは重々しくそう呟いた。
「その魔道具の存在を一般には完全に隠し通すか、もしくは何か規則を作って99階層までは楽に潜れると広く公開するか…か?」
ダンジョンに詳しいファーガス兄さんは、指を下りながらそう呟いた。
「あとは、魔道具の移設がもし可能なら、どこかに移動させてこっそり利用するという手もあるよー」
ウィル兄さんの提案も、確かに理にかなったものだ。
それに、もうひとつ選択肢があるよな。誰も言わないなら俺が言うかと、口を開く。
「…揉めるぐらいなら、存在が広まる前にいっそ壊すという手もある」
「ハル、それは…」
「さすがにもったいなくないー?」
ファーガス兄さんとウィル兄からは、本気かと言いたげな視線を向けられた。だが意外にもそれも良いかもしれないなと同意したのは、父さんとリヤン、そしてルピカさんだった。
「ルピカさんも同意するんだな?」
「ああ、99階層にいきなり放り込まれて、生き残れる人ばかりとは限らないからな」
冒険者の人命を優先すると、ルピカさんはあっさりとそう言い放った。
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