生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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1310.朝ごはんは

 本隊が出発する日の朝は、ハルと俺、そして城にいるハルの家族全員が揃って朝食を食べる事になった。

 最初にそう提案したのはケイリーさんだったらしいけど、ちょうどその場にいたファーガスさんもウィリアムさんもそれは良いなって即答したんだって。

 ちなみにハルはそこでは何も答えずに、アキトにも聞いてみるねって言って帰ってきたらしいよ。

 それって良いの?って思ったけど、伴侶や伴侶候補優先が当然だと思ってるハルの家族の皆は、もちろんだとか無理はしなくて良いからと言いながら笑顔で見送ってくれたらしい。

 うーん、どこまでもぶれない人たちだ。最初は一々驚いてたけど、伴侶関係のあれこれにももうすっかり慣れてしまった気がする。

「それで…アキトはどうしたい?みんなと一緒に食べる?」

 そう聞いてくれたハルに、俺も即答したんだけどね。

「みんなと一緒にご飯を食べれるのはすごく嬉しいから、参加したいな!」
「分かった。じゃあアキトと俺も参加するって伝えておくね」

 ニコニコ笑顔のハルが俺の答えを侍従さんに伝えてくれた所、ジルさんやマチルダさん、キースくんからも楽しみにしてるって返事が来たらしい。

 だから今お城にいないグレースさん以外は、全員揃うみたいなんだ。

 最近は探索隊や先行部隊と色々あったから、なかなか全員で集まれてなかったんだよね。一人や二人いなかったり、俺とハルとキースくんだけで食事したりなんて日もあった。

 だからワクワクしながら用意を終えてみんなで食事をする時に使っている家族の応接室に入れば、先に到着したケイリーさんがくつろいでいた。

「おはよう、アキトくん、ハル」
「おはようございます」
「ああ、おはよう、父さん」
「二人とも、急な話だったのに来てくれて嬉しいよ」

 本当に嬉しそうに優しい声でそう声をかけてくれたケイリーさんに、ハルが答えた。

「いや、本隊の出発日が急に決まったんだから、誘いが急になるのも無理は無いよ」
「そう言ってもらえると助かる」

 ふふと笑ったケイリーさんに、俺も笑顔で答える。

「急な誘いだななんて思わなかったですよ。むしろ俺も誘ってくれて、すごく嬉しいです」
「誘うに決まってるだろう。これは家族での食事なんだから」

 さらりとそう言ってくれるケイリーさんに、胸がほっこりと温かくなった。へへーと笑ってしまった俺を、ハルとケイリーさんは微笑まし気に見つめていた。

 しばらくするとメイドさんに案内されたファーガスさんとマチルダさんが、部屋へと入ってきた。

「おはよう、みんな」

 華やかな笑顔で挨拶をしてくれたマチルダさんは、今日は深い緑色をした丈の長い美しいドレスを身にまとっている。お化粧もばっちりしているみたいだし、今すぐにでも晩餐会とかに出れそうな恰好だ。

「おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはようございます。ドレス姿って珍しいですね」

 俺達との顔合わせに来てくれた時以外は、基本的には動きやすいワンピースのような物や長めのパンツスタイルなんかが多かったんだよね。だからちょっとびっくりした。

「ああ、アキトから見て…似合ってるか?」

 悪戯っぽく笑いながら尋ねられた俺は、考える間もなくすぐさまコクコクと頷いた。

「すっごく似合ってます!綺麗なのはもちろんですけど、華やかなのに派手じゃなくて」

 俺の感想を聞いたマチルダさんは、ふふふと楽し気な笑みを浮かべた。

「今日は領主代理として皆の前に立つからって、朝からメイドたちが張り切ってね。似合ってるなら良かったよ」

 今は他の人の目が無いからか、マチルダさんの口調はかなり緩い。家族の前だけで使う、どちらかと言えば淑女らしさを排除したものだ。

 ドレスと口調が合ってないって思いそうなものなのに、マチルダさんだと逆に魅力的に見えるんだから不思議だよね。

 俺はそんな感想を抱きながら、さっきから何故か黙ったままのファーガスさんに視線を向けた。

「なあ、見送りには来なくても良いんじゃないか?」
「まだ言うのか?」
「聞いてくれるまで言うぞ」
「何度言われても見送りには出る」

 ぽんぽんと言い合う二人の珍しい姿に驚いていると、ハルが苦笑しながら教えてくれた。

「これはいつものだから気にしなくて良いよ、アキト」
「いつもの?」
「ああ」
「だってこんなに美しいマティを、他のやつの目に見せるなんて!もったいない!独り占めしたい!」

 ああ、なるほど。いつもの…だね。
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