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奇妙な関係
しおりを挟む奇妙なカンケイ
投稿日: 2016年7月25日 投稿者: FUNASIN
ある日、友達だった男と喫茶店で会った。彼はとても深刻そうな顔していた。いつもより肌も荒れて、何か悩みごとがあるようだった。
「どうしようもない。どうしようもない」そうつぶやいていた。私は彼に優しくたずねる。「どうかしたの?」「そのことなんだが・・・・・・」彼は話し出す。「ある日、僕は気づいてしまったんだ。君がいつか蕾みから花になっていたこと。それでも、何だか変だよね。こんなこと昔は思ったことなかったのに。慎重に気持ちを整理したんだけども、やっぱり君とはあわないなんて思ったりもしたし、実際問題、いろいろと難しい問題もある。でもなあ・・・。最終的には、やっぱり君に戻って来ちゃうんだよなあ」私はあきれてものもいえなかったが、コーヒーを一口飲んで、眠気を覚まして、ぽつりと言った。「めんどくさい」彼は「え?」と身を乗り出した。「あのね」子供をあやす大人のように語りかける。「だって、あなた結婚してるじゃないの。なんだって、そんなこと言うのかな?あなたと人生を共にする気なんてない。もう、それこそ百パーセントね。難しい問題って離婚でもするっていうの?そんな度胸もないのに、なんだってあなたは、いつもバカなのかな?昔はバカでも可愛かった。でもね?でもね、よく聞いて。あなたは私を愛していないと確信しているの。つまり、愛って何だろうか?ってことなんだけど」「君はいつも話しをややこしくする天才だな。人生ってもうちょっとシンプルなもんだろう?」「違う。違う。あなたの人生はシンプルでも私の人生は複雑なの。だって、あなたとの関係もすべて大学時代に始まったのだけれども、結局今回が3度目じゃない。もうこんなこと飽きたわ。けだるいのよ」彼はニヤニヤと笑みを浮かべている。「死んでしまいたい」「笑いながら言うこと?」私。素っ気なく。「いや、だって僕は君にふられたんだぜ」「あのねえ、あなた、だいたい訳のわからない表現で何も言ってない。何も言ってないのよ。それが、どんなにささいなことだって、あなたという人の口から出ると、言葉も死んでしまう。わかるでしょ?あなたは花を刈るただの栽培士。花がきれいになったら、売りにだすのが関の山ね」何者も二人の空間を邪魔できない。私は、彼とこういうやりとりをするのを何より愛していた。それは、彼を愛するのとは、また別だと信じていたし、何も新しいものはないせいかいつものけだるい感覚が襲ってきた。「そろそろ寝るね」私が言うと、彼は軽いため息をついて、「じゃあ、僕も寝るよ」店の奥では、店員が「またか」という顔でこちらを見ている。二人は眠り出す。私は机につっぷして、彼は椅子にもたれかかって。
二時間後。二人は目覚める。「おはよう」「おはよう」「なんだこれ?」「なにこれ?」二人の会話は砂漠のように無味乾燥している。「狭くなっているね?」彼は言う。つまり、私たちの関係は前よりも狭くなっていると言いたいのだろう。私はいつものように抗弁です。「何言ってるの??あなたはぽつんと無人島にいる親父みたいね」「君の親父のことかい?」彼は笑う。「いやいやいや。私の親父は渋谷でホームレスしてるさ。そんななまっちょろいもんじゃないよ。今まさに生存競争してるのさ」「君は、何もしないのかい?」「私が??どうして?」「だって、親だろう?」私はしばし考えこむ。「そうか。でも、もしかしたら、親が大事だから放っておくんだよ」「よくわからないな」「そりゃそう。君は私を理解してないから」「理解させようとしないのは君だろう?」彼はなんでこうもニヤニヤしているのだろう。怒りでもなく、私に湧いてきた感情は「不思議」だった。「なんであなたは笑っている?」「さあね。君も僕を理解してないからじゃないかな」「あなたの何を信じたらいいのかね?」「何も信じるなよ。それが一番大事さ」「じゃあ、あなたはどこにいるの?」私は彼の手を握る。「ここにいるさ」それで話は終わり。いつもの関係に。いつだって人間は、こうなんだろうね。
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