5 / 68
3歳
5、精霊は慎重派
しおりを挟むある夜、寝る仕度をしてベットに入ると、部屋の中に小さな光の発光体が浮いていた。ええっ!?ゆ、幽霊!?いや、霊魂かっ?光がフワフワ近づいてくる。
ど、・・・どうしよう?ちょっと狼狽えて、ドキドキと目を凝らすと、近づいた光は小さな人になった。
おお!・・よ、妖精さんだよ!!子供しか見れないとゆー、伝説の妖精さんだよ!ちっちゃい!かわいい!白いフワフワしたAラインの服で、恥ずかしそうにモジモジしている。
「・・・こんにちわ(あ、こんばんわか)」
声をかけるとニッコリ笑った。
「おにゃまえは?」
と聞くと寂しそうに首を横に振る。私が付けてもいいのかな?もうこの際、噛んでもかまわん、友達になるぞ!
「わたちがちゅけてもいいにょ?」
と言うと明るい顔でコクコクと頷いている。よく見ると淡いプラチナブロンドで、濃い金色の目をしている。なんて綺麗。これは噛むわけにはいかないぞ、と思って頑張ったよ私。
「・・ア リ ア・・・」
呟くと、一瞬の眩しい光のあと、目の前でニッコリと笑った。
『私は光の精霊よ。よろしくね、契約者さん』
なんと、妖精さんではなく精霊さんでした。そういえば羽がない。
「え?、けいやくちゃ、ってにゃに?」
『名前をつけたから、貴女だけの守護者、守護精霊になったの・・・って、やっぱりあなた私の話理解してるのね?』
精霊さんにビックリされた、なぜだろう?頷いて首を傾げる。
これって、この前聞いた精霊の加護ってやつだよね?。しかし精霊本人が付いてくれて、更に見えるなんて凄いよ!何かあった時に、運が有るか無いか位でしか判らないと思ってたので感動していると、光の子は私を凝視したまま近づいてきて、頬にペタッと触られた。
「え?・・・・・」
十秒くらい触られただろうか。
『・・・そう、あなた稀人なの・・記憶が二つあるのね。面白いわ、初めてよ』
え!?今度は私がビックリだ!。
(ま、まれびとって何ですか!?なんで私がここに存在してるのか、理由を説明してくれるのかな・・・・?)
と考えてると、横目でチロっと見られた。
『・・それはこの世界を創った神様達の領分だから解らないけど、教えられる事は教えてあげるわよ』
(私、喋ってないのに心読まれた・・・)
ちょっとショック。ん?・・でも・・(今、教えられない事もある、って聞こえたけど・・・)
『それはまあ、あるわ。それと、こうして触れていれば、喋らなくても会話が出来るわ。あと、私達の姿は見れる人もいるけど、会話は契約者としか出来ないの。精霊同士なら話しは出来るけどね』
へぇ、決まりがあるんだ。どんな決まりか気になるけど朗報だよ。
難しい言葉は噛みまくるし、本当に会話するのが辛かったから、知識に合った話が出来るなら嬉しい。
『私も嬉しいわ。普通は三歳じゃ、あまり会話が成り立たないからホント疲れるし、数年は見守るだけになるから』
もっと聞きたいけどアクビが出てくる。
(小さい体と脳が、睡眠と酸素を要求してるんだよね・・・)
『?さんそ、って何?私も今まで知らなかった稀人の世界を知りたいけど、・・・ま、いいわ。今日は寝なさい。また明日お話ししましょ』
(ん・・わかった、お休み)
と語りかけて眠りに落ちた。
∽∽∽∽ ∽∽∽∽ ∽∽∽∽
眠ってしまった子の顔を、しばし眺めた。
私が精霊として生まれて五百年以上経つけれど、魂だけで渡ってきた稀人など聞いた事がない。
この世界は、稀人(異世界人)の世界を真似て、三神が創ったと聞いている。だから星が遠く離れているにも係わらず繋がりがあるらしく、百年位毎に繋がりを抜けてたまに稀人が現れると。
この星は作ったときに魔素が多かったので魔法が存在し、全ての生き物が魔力を保有する。しかし稀人の世界は魔法がないらしいので、今まで二度ほど見たことがある稀人は、精霊は見えるらしいが魔力は持っていなかった。その代わりに色々な知識をこの世界にもたらしていくという。当然、魔力はないから魔法守護の範疇には入らないので、守ったりはしなくていいのだが、稀人に付いてる精霊もいた。
実は守護の精霊は赤子が産まれた時に必ず一人付くのだけれど、姿を現して正式に契約するのは最低でも話を理解出来ると判断出来きる歳になってからだ。昔は赤子から付いてたけど、勝手に名前をつけて欲しい属性を横取りする事件があった為に、命の危険がない限り、最低2歳までは手を出さず姿も見せない事、と精霊王が決められた。守護につく者が死ぬか解除になるまでは、割り振られた者から離れる事は出来ないけれど、いつ姿を見せて契約するかは私達精霊の判断で見極める。早く大精霊に成りたければ2歳で契約してもいいし、その子供が気に入らなければ解除になるまで姿を現さなければいいのだ。
実際は最初の精霊だけ付くのが義務で、後は属性が使えたら引き寄せられて契約する。でも現在、一人1つだと精霊の順番待ちが大変なので、最初の精霊と良好ならば、光、風、火、土、水、の精霊は、気に入った者がいれば契約しても構わない、と精霊王から許可があるのだ。
でも、2、3歳の子供と正式契約する精霊など今は殆どいない。それに必ず一人精霊が付くというのに二百年くらい前から人族は、決まった時期に洗礼?というものをさせる様になった。本当は欲しい属性の最初の魔法が使えれば契約出来るし、出来なければいつまでたっても精霊は一人しか付かなかったのだけれど。例外は最初に付いた精霊と正式契約する前に、最初に闇の精霊と契約してしまったときだ。そうなると他の精霊にとっては居心地が悪くなるので、完全に離れる事は出来ないけれど、その子が死ぬまで近寄らないし、あまり姿も見せなくなってしまう。あとは精霊の気分次第なので何故お祈りをさせる必要があるのか、私達精霊には分からないけど。
そんな事情があるので殆どの人族は、精霊は5歳くらいから現れるものだと思ってると思う。
私はこの子が生まれた時から付かず離れず見てきたけれど先日、突然に雰囲気が変わった。最初は他の子供と同じで親の手を引っ張るくらい元気よくて、振り回すタイプの子だと思ったので5歳以上にならないと駄目かな?と溜め息が出たけど、倒れて回りを慌てさせた後から変わったのだ。
回りをみて視線がクルクルと動き考え込んでいたり、たまに目を真ん丸にして固まったりして、ちょっと面白い。目に知性があると思った。今まで見てきた子供は経験で知性を付けるようになっているからまた時間がかかると思っていたのに、なんと稀人だったとは。この子なら外見は幼いが思考は大人らしいので苦はないだろう。
・・・この子は私達(精霊)の救世主になれるのかしら?私を大精霊にしてくれる?
・・三百年前、私はもう少しで下級から中級になれるところだったのに、戦争で手柄を立て二人目の妻を娶った契約者は精霊が見えなくなった。精霊魔法を失ったのだ。
私達精霊は、生まれると数年間この世界の事と精霊について勉強する。
昔は精霊も契約者が死ぬまで付いていた。しかし恋人が複数いる者は体内魔力が増えなくなるので精霊の負担が増える。二千年位前に戦争が起こった時、魔力が増えない契約者に大きい魔法を使われるたびに契約者への魔力供給が追い付かず、たくさんの精霊が進化も出来ずに消えていった。それを悲しんだ精霊王は戦争を起こした国の王族に鉄槌を下し2つの国が消えた。
その後、二心ある者に精霊は従わなくてよい、と精霊王が宣言されたのだ。
それでも誠実な契約者はどんどん減っていき、千年ほど前に大陸が割れるほどの大きな戦争が起こった時、精霊王の宣言された制約を知る者も殆どいなくなり、書物も焼失してしまったそうだ。
今、精霊は殆ど進化も出来ず、契約者の寿命まで一緒に居られる事が殆どない。
契約者がいると一つ上の魔法を使う事が出来る。いま下級の私は光の下級魔法と中級魔法まで知っているが契約者がいないと中級は使えない。同じ様に中級は上級まで、上級は最上級まで、魔法を使える。しかし現在、ほぼ八割の精霊が下級で、一割が中級、もう一割が上級、そしてさらに上の大精霊は今この世界に数人しかいないと聞いている。
そして大精霊になれれば、最上級魔法が使える上、次からは契約者の必要がなくなるのだ。ただし契約者がいないと魔法の威力は下がるらしいけど。
スヤスヤと眠るミラドールを眺めて、どんな知恵を見せてくれるのか、今回は頑張ってみようかと、アリアは思った。
『二心ない、誠実な番しか近付けさせないからね!』
423
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる