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アルタリア大陸編
26話 始まりの洞窟
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「では3日後、売却金を取りに来てくれ」
「わかった」
アルリカの街に到着した私達は、街門の衛兵詰所で捕縛した盗賊を引き渡していた。
盗賊は取り調べの後、犯罪奴隷として、許可を持つ奴隷商人へと売却されるそうだ。
その売却金から衛兵の手数料が引かれた金額が捕縛者へと支払われる。
因みに、手数料を取られたくないなら取り調べの後、自分で奴隷商人へ持ち込む事もできる。
まぁ、手続とか面倒だし、新人冒険者など商人のカモでしかなく、買い叩かれるだけだ。
それなら慣れている衛兵に手数料を支払ってやって貰う方が良い。
助け出した女性達も衛兵に保護されている。
身軽になった私達は、身分証を提示し、アルリカの街門をくぐった。
勇者ネロが生まれ育った街。
きっと厳かで神聖な……
「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!アルリカ名物、勇者饅頭だよぉ!」
厳かで神聖……
「そこのお兄さん、お兄さん!どうだい?この御守り!勇者様のご利益があるよ!」
厳かで……
「勇者様ゆかりの地、アルリカ!銅貨5枚でご案内するよぉ!」
ワイワイガチャガチャと呼び込みやセールスの声が聞こえて来る。
「これは……」
「完全に観光地ね」
…………観光地だった。
流石観光地と言った所なのか、アルリカの街には宿が多く、街の賑わいに反して特に難儀する事もなく宿を取ることが出来た。
宿で夕食を済ませた後、話題は今後の予定へと変わった。
「明日はギルドに行ったあと情報収集、明後日に連携の確認と訓練、3日後、盗賊の売却金を受け取って買い出しや武器の整備と休息、4日目にダンジョンに入る」
「うん、それで良いと思うわ」
「…………問題ない」
マルク達の視線がこちらに向いたので私も答える。
「私もそれで良いわよ」
私の基本方針としては本業である彼らにお任せしたいと思っている。
「そう言えばここの神創のダンジョンを攻略すると何が貰えるの?ギフト?」
私は思い出した様に尋ねた。
神創のダンジョンは攻略することにより報酬が貰える。
誰から貰えるのか?と聞かれると困るのだけれど、まぁ、それは多分あの神からだろう。
「流石にDランクダンジョンではギフトは得られないよ。
このダンジョンの報酬は宝石や武具が貰えるはずだ」
「へぇ…………ベテランには必要ないけど新人には有用なダンジョンってことね。
随分と都合のいいダンジョンも有ったものね」
「神創のダンジョンは神様が人間に与えた試練だからな。
神様はこうやってダンジョンを攻略した者に力を与えてくれているんだ」
魔物に人間が絶滅させられるのを防ぐ為の神なりのテコ入れってことかしら?
それから数日を訓練や休息に当てた私達はDランクの神創のダンジョン《始まりの洞窟》へとやって来た。
《始まりの洞窟》はアルリカの街の最北部に有った。
高い塀に囲われた岩山に口を開ける洞窟だ。
塀に設けられた入り口には門番として兵士が立っている。
「《始まりの洞窟》に挑戦する冒険者か?」
「ああ、そうだ」
「では、《始まりの洞窟》に入る者はギルドカードを出してくれ」
私達は言われた通りギルドカードを取り出し、兵士達が情報を記録する。
「ん?君は冒険者ではないな?」
「ええ、私は医療ギルド所属の薬師よ。
別に冒険者ギルドに入ってなくてもダンジョンに入れるんでしょ?」
兵士は私の質問に頷いた。
「ああ、大丈夫だ。
あまり居ないが、冒険者で無くても《始まりの洞窟》に入る者もいる。
…………しかし、そのほとんどは帰ってこない。
君も気を付けるんだぞ」
「ええ、ありがとう」
ギルドカードを返してもらい、私達は神創のダンジョン《始まりの洞窟》へと足を踏み入れたのだった。
「わかった」
アルリカの街に到着した私達は、街門の衛兵詰所で捕縛した盗賊を引き渡していた。
盗賊は取り調べの後、犯罪奴隷として、許可を持つ奴隷商人へと売却されるそうだ。
その売却金から衛兵の手数料が引かれた金額が捕縛者へと支払われる。
因みに、手数料を取られたくないなら取り調べの後、自分で奴隷商人へ持ち込む事もできる。
まぁ、手続とか面倒だし、新人冒険者など商人のカモでしかなく、買い叩かれるだけだ。
それなら慣れている衛兵に手数料を支払ってやって貰う方が良い。
助け出した女性達も衛兵に保護されている。
身軽になった私達は、身分証を提示し、アルリカの街門をくぐった。
勇者ネロが生まれ育った街。
きっと厳かで神聖な……
「さぁさぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!アルリカ名物、勇者饅頭だよぉ!」
厳かで神聖……
「そこのお兄さん、お兄さん!どうだい?この御守り!勇者様のご利益があるよ!」
厳かで……
「勇者様ゆかりの地、アルリカ!銅貨5枚でご案内するよぉ!」
ワイワイガチャガチャと呼び込みやセールスの声が聞こえて来る。
「これは……」
「完全に観光地ね」
…………観光地だった。
流石観光地と言った所なのか、アルリカの街には宿が多く、街の賑わいに反して特に難儀する事もなく宿を取ることが出来た。
宿で夕食を済ませた後、話題は今後の予定へと変わった。
「明日はギルドに行ったあと情報収集、明後日に連携の確認と訓練、3日後、盗賊の売却金を受け取って買い出しや武器の整備と休息、4日目にダンジョンに入る」
「うん、それで良いと思うわ」
「…………問題ない」
マルク達の視線がこちらに向いたので私も答える。
「私もそれで良いわよ」
私の基本方針としては本業である彼らにお任せしたいと思っている。
「そう言えばここの神創のダンジョンを攻略すると何が貰えるの?ギフト?」
私は思い出した様に尋ねた。
神創のダンジョンは攻略することにより報酬が貰える。
誰から貰えるのか?と聞かれると困るのだけれど、まぁ、それは多分あの神からだろう。
「流石にDランクダンジョンではギフトは得られないよ。
このダンジョンの報酬は宝石や武具が貰えるはずだ」
「へぇ…………ベテランには必要ないけど新人には有用なダンジョンってことね。
随分と都合のいいダンジョンも有ったものね」
「神創のダンジョンは神様が人間に与えた試練だからな。
神様はこうやってダンジョンを攻略した者に力を与えてくれているんだ」
魔物に人間が絶滅させられるのを防ぐ為の神なりのテコ入れってことかしら?
それから数日を訓練や休息に当てた私達はDランクの神創のダンジョン《始まりの洞窟》へとやって来た。
《始まりの洞窟》はアルリカの街の最北部に有った。
高い塀に囲われた岩山に口を開ける洞窟だ。
塀に設けられた入り口には門番として兵士が立っている。
「《始まりの洞窟》に挑戦する冒険者か?」
「ああ、そうだ」
「では、《始まりの洞窟》に入る者はギルドカードを出してくれ」
私達は言われた通りギルドカードを取り出し、兵士達が情報を記録する。
「ん?君は冒険者ではないな?」
「ええ、私は医療ギルド所属の薬師よ。
別に冒険者ギルドに入ってなくてもダンジョンに入れるんでしょ?」
兵士は私の質問に頷いた。
「ああ、大丈夫だ。
あまり居ないが、冒険者で無くても《始まりの洞窟》に入る者もいる。
…………しかし、そのほとんどは帰ってこない。
君も気を付けるんだぞ」
「ええ、ありがとう」
ギルドカードを返してもらい、私達は神創のダンジョン《始まりの洞窟》へと足を踏み入れたのだった。
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