神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

53話 薬師の証明

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  アルッキさんが何よりも優先している探し人は、ミルミット王国の石化の病を患った令嬢を治療した薬師だそうです。
  何処かで聞いた話です。
  はい、わたしです!
  しかし、それをアルッキさんに伝えたところ……

「あぁん? 俺が薬師の情報を聞いて探そうとした瞬間、その薬師が目の前に現れたってんのか?
  嬢ちゃん、舐めてんじゃねぇぞ!」

「いえ、本当なんですよ!
  わたしは冒険者ですが薬師でもあるんです」

「………………ガルフのバカが紹介してくる冒険者が嘘を吐くと言うのも考え辛いか。
  なら嬢ちゃん、お前さんが腕の立つ薬師だって事を証明してみろ」

  むむむ、証明ですか…………あ!

「わかりました。
  では、冒険者ギルドに行きましょう」

「冒険者ギルドに?」

「石化の病の治療はギルドを通した正式な依頼です。
  冒険者ギルドにギルドカードを出せばわたしのクエスト履歴を確認出来る筈です」

「なるほど、わかった。
  直ぐに行くぞ!」

  アルッキさんはドタドタと駆けて行きます。

「何をしている、早く来んか!」

「は、はい!」

  アルッキさんに急かされ、入り組んだ水路を走ります。
  少し走った所で、アルッキさんは通りかかった舟を呼び止めました。
  この舟は目的地まで運んでくれる辻馬車の様な物らしいです。
  わたし達を乗せた舟はアルッキさんに急かされリバームールを急がせ水路を進みます。
  そして、到着した冒険者ギルドはなかなか大きな建物です。
  屋根の上にも水路が有るのか、上から滝の様水が落ちてわたし達が居る水路へと合流しています。
  
「釣りはいらん!」

  岸に着くとアルッキさんは舟の御者に銀貨を渡しギルドへ向かいます。

「早く来い!」

「はい!」

  急いでいるのでしょうが、どうも彼はせっかちな性分らしいですね。
  ドタドタ走るアルッキさんを追い抜いて、スイングドア開けギルドに入ります。
  わたしがギルドに姿を見せるとニヤニヤした男が近づいて来ます。
  このニヤニヤ男系のバカは毎回、毎回、必ず居ます。

「おい、ガキが何し……」

「邪魔だ、ボケなす!」

「来がばぁ!」

  あーあ、わたしは何もしていませんよ?
   アルッキさんに殴られたニヤニヤ男の冥福を祈ります。

  アルッキさんと共にカウンターに行き、受付嬢さんに話しかけます。
  流石、王都の受付嬢さんです。
  目の前で巨漢が殴り倒されても眉1つ動かしません。

「わたしのクエスト履歴を教えて頂きたいのですが?」

「はい、ギルドカードをお預かり致します」

  受付嬢さんは、ギルドカードを受け取ると水晶版の上に乗せていじり始めました。

「これは…………済みません、ユウ様のギルドカードには閲覧制限が掛けられております」

  ん?
  ああ、そう言えば王家の依頼で帝国に行った後ギルドでそんな説明を受けた気がしますね。
  王家や高位貴族からの指名依頼を複数こなす様な冒険者のギルドカードには閲覧制限が掛けられるとか何とか?
  下っ端のギルド職員などから王家や貴族の情報が流出しない為の配慮だそうです。

「権限のある者に確認させますので、2階の応接室でお待ち下さい」

  冒険者ギルドの応接室は貴族のそれとは違い、華美な装飾などはほとんど無く、頑丈さに重きを置いた机や椅子が有るだけです。
  一応、ギルドマスターの執務室には貴族の依頼人などを通す為の高価な応接セットもあるとリゼさんが言っていました。
  こちらの応接室は、主に冒険者が通されるので多少手荒に扱っても壊れない様になっているそうです。
  ソワソワしているアルッキさんと椅子に腰掛けて待つこと10分程、ノックの後、ローブを着た男性が入って来ました。

「お待たせいたしました。
  私はリーブン王国王都の冒険者ギルド、副ギルドマスターのアーロンと申します」

「おう、俺はアルッキだ。
  この嬢ちゃんに依頼するに当たって実績を知りたい」

「はい、ユウ様のクエスト履歴は閲覧制限がある為、ご本人の前での確認となります。
  それで功績ですが……」

  アーロンさんは小脇に抱えていたファイルを開き一読して口を開きます。

「Sランクのクエスト2つを含む複数の高難度クエストの達成、国家からの緊急依頼の達成、複数のネームド・モンスターの討伐、勲三等金獅子勲章の叙勲、龍殺しドラゴンキラー守護者ガーディアンの称号、その他どれを取っても素晴らしい功績で……」

「違う! この嬢ちゃんが並々ならぬ強者である事くらいは見れば分かる!
  俺が知りたいのは薬師としてどれ程の者かって事だ!」
  
  アルッキさんに遮られたアーロンさんは慌てて資料に目を落とします。
  ちなみに称号とはステータスに記されているものでは無く、特別な功績を上げた冒険者にギルドから贈られる物です。
  わたしはAランク以上の竜種を単独で討伐した証である龍殺しドラゴンキラー、街以上の規模の被害を防ぐ戦いで功績を上げた証、#守護者__ガーディアン_#の2つを持っています。
  それぞれグランアイズとラグラーナを討伐した時に貰いました。
  勲章とは違い、ギルドカードの端っこに印が入るだけですけどね。
  あまり気にしていませんでしたし…………正直忘れていました。
  閑話休題。

「薬師としてもSランククエスト『石化の奇病の治療』に調合難度の高い薬の調合、扱いの難しい薬草の採取、ミルミット王国の王宮薬師への薬術講義などの実績を上げています」

「なに⁉︎ では本当に腕の立つ薬師なんだな!」

「はい、これ程の功績を持つ薬師は我が国にも居ないでしょう。
  こと薬の調合に関しては王宮錬金術師よりも上かも知れません」

「よし、嬢ちゃん頼む! 俺の娘を助けてくれ!」

  アルッキさんはこちらに向き直るとバッと頭を下げました。
  どうやら新たな戦斧を手に入れるには、もう1仕事こなさなければならいけない様ですね。
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