277 / 418
神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》
82話 欲望の徒
しおりを挟む
エレインさんの転移魔法によって一瞬の内にケルベン王国の王都へと転移した俺達は、王都で数日過ごした後、ロックドック王国を目指して出発した。
途中、少し道を逸れる事で精霊の泉に立ち寄る予定だ。
御者台に座り馬車を操る俺の横にはカートが座っている。
「エリオ……俺達は冒険者だ。
冒険者……それは冒険をする者達の事だ。
未知への飽くなき探究心こそが冒険。
この世の神秘をこの目に刻む事こそ冒険者である俺達の義務ではなかろうか?」
「カート……覗きは止めとけ。
この前もそう言って覗こうとして2人にボコボコにされただろ。
それと覗きは冒険ではなく犯罪だ」
現在、マーリンとソフィアは馬車の中で身体を拭いている。
俺にカートを見張る様に厳命して……
もしカートが事に及べば俺も怒られるだろう。
「『いや、待てよ!どうせ怒られるなら俺も一緒に覗いた方が得なのでは!』
そう考えたエリオはカートと共に馬車の幌をめくり……」
「勝手なモノローグを入れるな!
だいたい仲間に対してもっと誠実で有るべきだぞ!」
「おいおいエリオ、何を言ってるんだ。
彼女らの肌を見たいと言う事はそれだけ彼女らが魅力的だと言う事だろう。
つまりこの場合、仲間で有るなら覗くことこそが必然。
実際に見る必要は無い。
『見ようとして止められる』、見たい俺達と見られたくない彼女らの攻防と言うじゃれ合いが親密な関係を形成するんだぞ」
「……………………確かに!」
「『確かに!』っじゃない!」
ドガッ
「いっ痛!」
マーリンが振り下ろした杖が俺の頭を打ち据えた。
「全く、何を言い包められてんのよ!」
「ご、ごめん」
マーリンはカートにも杖の一撃を与えると馬車を指差す。
「ほら、御者を変わるからあんた達も身体を拭いて来なさい」
「「了解」」
俺達はマーリンの冷たい瞳とソフィアの軽蔑の眼差しに耐えながら馬車へと移動するのだった。
===========================
あの黒い少女を地下牢に入れてから5日がたった。
そろそろ我慢の限界だ。
早くあの少女の悲鳴が聞きたい。
あの少女の肌に鞭の跡が刻まれるのを見たい。
僕は我慢できずにパパに尋ねる。
「ねぇパパ、そろそろあの女の調教を始めても良いかな?」
「う~んまだ5日だからな、あの娘は冒険者だと言うから10日くらいは掛かると思うのだが……少し様子を見に行くか」
「うん」
僕とパパは護衛と家令を連れて地下室に向かった。
暗闇と絶食によって心を折れば下賎な冒険者も反抗はして来ないだろう。
そう言えばあの女と一緒に閉じ込めた女に最後に餌をやったのはいつだったか…………まぁ、死んだら死んだでまた新しい女を買えばいいか。
「ん?バルトロスはどうした」
あの女を牢に入れた時に居た護衛の1人が居ない。
バルトロスは当家の護衛の中では最強の男だ。
どうせ何処かで油でも売っているのだろう。
見つけたら職務怠慢で罰を与えなければならない。
僕達はバルトロスを抜きにして地下牢への階段を降りた。
すでに陽は落ちており地下室はどっぷりと闇に…………包まれてはいなかった。
牢の中には沢山の光の魔石が設置されとても明るい。
牢の中に有った唯一の物と言える粗末なベッドは跡形もなく消え去り、代わりに大きくフカフカの綺麗なベッドが置かれている。
地下牢には不釣り合いなオシャレなテーブルの上には色取り取りなお菓子が並び、ティーカップを満たす上等な紅茶からは湯気が立ち昇っている。
そのテーブルの周りには座り心地の良さそうなソファが置かれ、5人の女性が菓子と紅茶を楽しんでいた。
アホール・フォン・ナタラの嫡男バーカル・フォン・ナタラは現状を理解出来なかった。
まるで貴族の屋敷に有る様な豪華な家具や手の込んだ菓子、上等な紅茶は一体何処から出て来たのか、隣の牢に居たはずの3人が何故一緒に紅茶を飲んでいるのか、バーカルの理解を超えた現象だった。
「ああ、もう来ましたか」
そんなバーカルとアホールの顔を見ながら黒い少女は微笑むのだった。
途中、少し道を逸れる事で精霊の泉に立ち寄る予定だ。
御者台に座り馬車を操る俺の横にはカートが座っている。
「エリオ……俺達は冒険者だ。
冒険者……それは冒険をする者達の事だ。
未知への飽くなき探究心こそが冒険。
この世の神秘をこの目に刻む事こそ冒険者である俺達の義務ではなかろうか?」
「カート……覗きは止めとけ。
この前もそう言って覗こうとして2人にボコボコにされただろ。
それと覗きは冒険ではなく犯罪だ」
現在、マーリンとソフィアは馬車の中で身体を拭いている。
俺にカートを見張る様に厳命して……
もしカートが事に及べば俺も怒られるだろう。
「『いや、待てよ!どうせ怒られるなら俺も一緒に覗いた方が得なのでは!』
そう考えたエリオはカートと共に馬車の幌をめくり……」
「勝手なモノローグを入れるな!
だいたい仲間に対してもっと誠実で有るべきだぞ!」
「おいおいエリオ、何を言ってるんだ。
彼女らの肌を見たいと言う事はそれだけ彼女らが魅力的だと言う事だろう。
つまりこの場合、仲間で有るなら覗くことこそが必然。
実際に見る必要は無い。
『見ようとして止められる』、見たい俺達と見られたくない彼女らの攻防と言うじゃれ合いが親密な関係を形成するんだぞ」
「……………………確かに!」
「『確かに!』っじゃない!」
ドガッ
「いっ痛!」
マーリンが振り下ろした杖が俺の頭を打ち据えた。
「全く、何を言い包められてんのよ!」
「ご、ごめん」
マーリンはカートにも杖の一撃を与えると馬車を指差す。
「ほら、御者を変わるからあんた達も身体を拭いて来なさい」
「「了解」」
俺達はマーリンの冷たい瞳とソフィアの軽蔑の眼差しに耐えながら馬車へと移動するのだった。
===========================
あの黒い少女を地下牢に入れてから5日がたった。
そろそろ我慢の限界だ。
早くあの少女の悲鳴が聞きたい。
あの少女の肌に鞭の跡が刻まれるのを見たい。
僕は我慢できずにパパに尋ねる。
「ねぇパパ、そろそろあの女の調教を始めても良いかな?」
「う~んまだ5日だからな、あの娘は冒険者だと言うから10日くらいは掛かると思うのだが……少し様子を見に行くか」
「うん」
僕とパパは護衛と家令を連れて地下室に向かった。
暗闇と絶食によって心を折れば下賎な冒険者も反抗はして来ないだろう。
そう言えばあの女と一緒に閉じ込めた女に最後に餌をやったのはいつだったか…………まぁ、死んだら死んだでまた新しい女を買えばいいか。
「ん?バルトロスはどうした」
あの女を牢に入れた時に居た護衛の1人が居ない。
バルトロスは当家の護衛の中では最強の男だ。
どうせ何処かで油でも売っているのだろう。
見つけたら職務怠慢で罰を与えなければならない。
僕達はバルトロスを抜きにして地下牢への階段を降りた。
すでに陽は落ちており地下室はどっぷりと闇に…………包まれてはいなかった。
牢の中には沢山の光の魔石が設置されとても明るい。
牢の中に有った唯一の物と言える粗末なベッドは跡形もなく消え去り、代わりに大きくフカフカの綺麗なベッドが置かれている。
地下牢には不釣り合いなオシャレなテーブルの上には色取り取りなお菓子が並び、ティーカップを満たす上等な紅茶からは湯気が立ち昇っている。
そのテーブルの周りには座り心地の良さそうなソファが置かれ、5人の女性が菓子と紅茶を楽しんでいた。
アホール・フォン・ナタラの嫡男バーカル・フォン・ナタラは現状を理解出来なかった。
まるで貴族の屋敷に有る様な豪華な家具や手の込んだ菓子、上等な紅茶は一体何処から出て来たのか、隣の牢に居たはずの3人が何故一緒に紅茶を飲んでいるのか、バーカルの理解を超えた現象だった。
「ああ、もう来ましたか」
そんなバーカルとアホールの顔を見ながら黒い少女は微笑むのだった。
32
あなたにおすすめの小説
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる