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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第2部 《精霊の紋章》

92話 ジャイアントクラブ

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  拠点で身体を休め、準備を整えた俺達は改めて生命の樹へ向かった。
  茂みに身を隠し様子を伺う。
  ジャイアントクラブは前回と同じ様に生命の樹の前に陣取っている。

「居なくなってないかなって思ってたんだがな」

「相変わらず居座ってるな」

  俺の希望的観測にカートが冷静に返して来た。

「バカ言ってないで、行くわよ」

  マーリンの合図で茂みから飛び出した。

「はぁぁあ!」

「せい!」

ガン!

  俺とカートが剣を振り下ろすがジャイアントクラブの強靭な甲殻に弾かれてしまう。

「ダメだ!」

「か、硬って~」

  グンッ!

  ジャイアントクラブは俺とカートの剣を受けても微動だにせず、右のハサミを振り上げた。

「エリオ、カート退がって下さい!」

  ソフィアの声に俺とカートは後ろに跳ぶ。
  俺達とすれ違う様に前に出たソフィアは獣王の大楯を構えてジャイアントクラブのハサミを受け止めた。
  ソフィアの獣王の大楯は、Aランクの魔物であるキマイラの素材で作られた高級品ハイクオリティの逸品であり、ジャイアントクラブの巨大なハサミを受けても問題なく受け止める。
  
「はっ!」

  ソフィアは、ハサミを振り下ろし、一瞬動きを止めたジャイアントクラブにシールドバッシュを放つ。

  グワン!

  ジャイアントクラブはシールドバッシュの衝撃で少しよろめく。
  甲殻には少しだがヒビが入っていた。

「斬撃は効果が薄いぞ!」

「打撃は有効です!」

  俺とソフィアは攻撃の効果を報告する。
  
「フレイムランス!」

  マーリンの魔法は詠唱を省略した為、少し威力が落ちてはいるが十分強力な攻撃だ。
  燃え盛る炎の槍がジャイアントクラブに直撃する。

  ゴゴゴォ!

  ジャイアントクラブは地面を転がり身体の炎を消した。
  
「魔法は有効みたいね」

  マーリンが腕を振ると俺とソフィア、そしてザネリの足元に魔方陣が浮かび上がる。

炎属性付与フレイムエンチェント

  俺達の武器に炎属性の魔力が付与される。

「おいマーリン、俺は⁉︎」

「あんたは自分で何とかしなさい!」

  カートがマーリンに抗議するが即座に却下された。
  まぁ、カートは自分で炎を操れるからな。

  炎属性を付与された剣は甲殻を斬りつける度にジャイアントクラブを焼いて行く。

  パン、パン、パンッ!

  ザネリの魔法銃から打ち出された魔力弾はマーリンの付与魔法によって炎属性の弾丸となっている。
  5人の猛攻にジャイアントクラブの動きは少しずつだが鈍くなっている。
  
  グラッ!

  ジャイアントクラブがよろめき地面に倒れこむ。
  
「マーリン、今だ!」

  俺が叫ぶとマーリンは準備していた魔法を発動させた。

「深淵より出でし破壊の渦よ 貫け アビスレイ!」

  マーリンの深淵魔法が態勢を崩したジャイアントクラブを直撃し、その甲殻を貫いた。

  そしてとうとう、ジャイアントクラブはその動きを止めるのだった。
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