神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第3部《交錯する戦場》

9話 魔王リセルシア配下ワルタ

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  魔族と人間の戦いが始まる少し前の事、魔族軍はかつて人間の国があった跡地に大きな砦を作り上げていた。
  その砦の廊下を20くらいに見える魔族の女性が足速に歩く。
  その足音からは彼女苛立ちが如実に伝わって来る。
  魔族の女性は自らに充てがわれた部屋のドアを乱暴に開けて入室する。

「ワルタ、居るか?」

「はい、リセルシア様」

  部屋に入って来た魔族の女性、魔王の1人であり、ワルタの主人であるリセルシアはドカリと椅子にすわる。

「全く、シルバリエの奴は何を企んでいるんだ」

「どうかされたのですか?」

  メイド服を身に付けたワルタはリセルシアに何時も通り水と果実水とワインを給仕する。

「シルバリエの奴は何かを隠している」

  リセルシアは水を一気に飲み干すとグラスを机に叩きつける様に戻す。

「今度の戦の各軍の配置を聞いたんだ。
  すると奴は先頭に私とグレースとコルダールの配下の混成軍、その背後にシルバリエの魔法部隊、その背後に徴用した農民兵だ」

「それ程おかしな配置でしょうか?
  シルバリエ様の配下の剣士の多くは徴用によって手薄になる各地の守護に当たっておりますので、残っているのはほとんどが魔法使いだとお聞きしました。
  それに、軍の総指揮官というお立場を考慮されて他の魔王様方が手柄を立てられる様にと前面に配下を配置されたとお聞きしましたが?」

「確かに筋の通った説明ではある。
  農民兵は人間の軍人とぶつけても無駄死にするだけなので背後で温存と言う話も最もじゃ」

  老婆は、いらだたしげにグラスに満たされたワインを半分程喉に流し込む。

「では何故リセルシア様はシルバリエ様の作戦がおかしいと?」

「何もかもじゃよ。
  そもそも、強者を離れて配置する意図もわからん。
  奴は全体の戦力を上げるためだと行っておったが、もし人間側の強者が一点突破を試みればどうなる?
  強者同士が連携を取れねばそこから崩されるじゃろ?」

「なるほど……確かに……」

「それだけじゃ無いんだよね」

  12歳くらいの少女は果実水をグラスを傾けてこぐごくと飲む。

「と、言いますと?」

「此処最近、配下の者が死亡しすぎていると思うだよね。
  シルバリエに指示された任務中の事故とか以外にも行方不明になった奴やプライベートで事故にあった奴とかさ。
  調べたらグレースやセルジュの配下もかなり消されている。
  まぁ、証拠は無いんだけど」

「リセルシア様はシルバリエ様が故意に他の魔王様の配下を害しているとお考えなのですか?」

「……………………ワルタ、お前に任務を与える」

  リセルシアはワルタの質問には答えずにスクロールを取り出しワルタに手渡した。

「これは?」

「転移の魔方陣だ。   
  グリント帝国に近い森に出る事が出来る。
  あとは分かるな?」

「はい、お任せ下さい」

  ワルタはリセルシアに一礼し、任務に向かう用意をする為部屋を後にするのだった。





  それからしばらくし、ワルタは夜の森の中に居た。
  近くにはグリント帝国の城壁が見える。
  魔王リセルシアがワルタに与えた任務とは、要人の誘拐、または連合軍の後方撹乱である。
  王族などを誘拐出来れば連合軍の動きを鈍らせる事が出来るだろう。
  更に帝都に火でも放てば騒ぎになり、連合軍は背後も気にする必要がでてくる。
  グリント帝国に転移してから数日、情報を収集して来た。
  そして、とうとう今日魔族軍と連合軍が衝突したらしい。
  ワルタも今夜、部下と合流し、任務を実行するつもりだ。

「………………遅い」

  約束の時間は過ぎている。
  コレは何かのトラブルと見るべきだろう。
  その時、森の奥から足音が近づいて来た。
  初めは部下かと思ったが、足音は一つだけだ。
  3人居る部下とは数が合わない。

「お待ちの方は来られませんよ?」

  暗がりから現れた女がそう口にする。

「どう言う事だ」

  ワルタはすぐに動ける様に警戒しながら言葉を返す。
 
「あの3人なら一足先に光の神の下へと旅立ちました」

「貴様……何者だ……」

「見て分かりませんか?
  私はただの神の僕シスターですよ」

「バカを言うな、貴様の様に殺気と血の匂いを纏った聖職者などいる筈がないだろ……」

  ワルタはナイフを手に、修道服をはためかせる女に向けて構えるのだった。


  
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