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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第3部《交錯する戦場》
17話 Aランク冒険者 不殺のジャギ
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急接近する2人の魔族にハイランドの側に居た近衛騎士が1人、剣を抜く間も惜しんで飛び掛った。
しかし、1人の魔族と組み合うのが精一杯で、もう1人の魔族がハイランドに迫る。
その場を立ち去ろうとしていたハイランドの為に馬車を回そうとしていた為、ハイランドのすぐ側には先程の近衛騎士1人しか居なかった。
少しだけ離れた場所に居た近衛騎士達はハイランドに駆け寄っているが、僅かに間に合わない。
ハイランド本人も、剣1本で国を起こした父親の血を引いている。
そこら辺の冒険者よりも遥かに腕が立つのだが、不意打ちだった事と、態勢が良くなかった為、剣を抜くのは間に合いそうに無い。
ガッ!
「ちっ!」
ハイランドの前に飛び込んだのはすぐ側に居たリリだった。
リリはマジックバッグから取り出した手斧で魔族の剣を受け止めていた。
魔族はステップて少し距離をあける。
「邪魔をするなら小娘とて容赦はしないぞ」
「…………打ち抜け 紅蓮の炎弾よ ファイヤーボール」
魔族に向けたリリの掌から拳大の火の玉が飛び出した。
「はっはっは、なんだその魔法は!
そんな下級魔法など通用するものか!」
専門的に訓練している訳ではないリリのファイヤーボールは、戦闘を生業としている魔法使いの物よりも小さく遅かった。
しかし、それを承知していたリリは自分が放ったファイヤーボールを追う様に手斧を振るう。
リリの手斧は元々投げ斧だった烈風の斧を調整した物で有り、魔力を込める事で風を操るマジックアイテムである。
リリの烈風の斧から発生した竜巻かファイヤーボールを飲み込むと、強大な炎の高波となって魔族を飲み込んだ。
しかし、魔族は炎の中から飛び出した。
身体中に酷い火傷を負っているが、まだ戦える様だ。
魔族は怒りの篭った目でリリを睨み付けると魔力で強化した脚力で迫ってくる。
「陛下、こちらへ!」
「馬鹿者!私よりあの娘を護れ!」
ハイランドは叫ぶが、皇帝を護る事が近衛騎士の使命である為、騎士がハイランドの安全を優先する事は仕方のない事だった。
「死ね、クソガキ!」
魔族の男はリリに剣を向けるが、横から強力な打撃を受けて吹き飛ばされる。
「無事かリリ嬢ちゃん」
「ジャギさん!」
魔族を愛用の棍で殴り飛ばしたのは素肌に革製のベストを着たモヒカンの男だった。
男はどう見ても街のチンピラなのだが、周りの人間達からは非常に信頼されている様で、周囲からは安堵の声が聞こえる。
ジャギは近衛騎士を斬り伏せて追いついてきた魔族と火傷をした魔族の2人を相手に危なげなくたたき伏せる。
捕縛した魔族を近衛騎士に引き渡したジャギはリリの下にやって来た。
「リリ嬢ちゃん、怪我はないか?」
「はい、ありがとうございました」
「なに、リリ嬢ちゃんが怪我なんかしたに日には、ここの警護をしている俺が嬢ちゃんに殺されるからな」
「はは……」
怒り狂った師匠を想像したリリも苦笑いを浮かべた。
「リリ、先程は助かったぞ」
安全を確保した近衛騎士と共にハイランドが近づいて来た。
「後ほど必ず礼をしよう。
それと、現在ミノス砦を警備している魔眼持ちの大半をこちらに回そう」
「よろしいのですか?」
ガボンの問いにハイランドは頷きで答える。
「此処が落ちれば多くの犠牲者がでる。
噂の魔族の変身魔法は初めて見たが、魔眼持ちなら見破れる者が何人かは存在するだろう」
ハイランドは前線に向かう予定をキャンセルすると、急いでミノス砦へと戻っていくのだった。
しかし、1人の魔族と組み合うのが精一杯で、もう1人の魔族がハイランドに迫る。
その場を立ち去ろうとしていたハイランドの為に馬車を回そうとしていた為、ハイランドのすぐ側には先程の近衛騎士1人しか居なかった。
少しだけ離れた場所に居た近衛騎士達はハイランドに駆け寄っているが、僅かに間に合わない。
ハイランド本人も、剣1本で国を起こした父親の血を引いている。
そこら辺の冒険者よりも遥かに腕が立つのだが、不意打ちだった事と、態勢が良くなかった為、剣を抜くのは間に合いそうに無い。
ガッ!
「ちっ!」
ハイランドの前に飛び込んだのはすぐ側に居たリリだった。
リリはマジックバッグから取り出した手斧で魔族の剣を受け止めていた。
魔族はステップて少し距離をあける。
「邪魔をするなら小娘とて容赦はしないぞ」
「…………打ち抜け 紅蓮の炎弾よ ファイヤーボール」
魔族に向けたリリの掌から拳大の火の玉が飛び出した。
「はっはっは、なんだその魔法は!
そんな下級魔法など通用するものか!」
専門的に訓練している訳ではないリリのファイヤーボールは、戦闘を生業としている魔法使いの物よりも小さく遅かった。
しかし、それを承知していたリリは自分が放ったファイヤーボールを追う様に手斧を振るう。
リリの手斧は元々投げ斧だった烈風の斧を調整した物で有り、魔力を込める事で風を操るマジックアイテムである。
リリの烈風の斧から発生した竜巻かファイヤーボールを飲み込むと、強大な炎の高波となって魔族を飲み込んだ。
しかし、魔族は炎の中から飛び出した。
身体中に酷い火傷を負っているが、まだ戦える様だ。
魔族は怒りの篭った目でリリを睨み付けると魔力で強化した脚力で迫ってくる。
「陛下、こちらへ!」
「馬鹿者!私よりあの娘を護れ!」
ハイランドは叫ぶが、皇帝を護る事が近衛騎士の使命である為、騎士がハイランドの安全を優先する事は仕方のない事だった。
「死ね、クソガキ!」
魔族の男はリリに剣を向けるが、横から強力な打撃を受けて吹き飛ばされる。
「無事かリリ嬢ちゃん」
「ジャギさん!」
魔族を愛用の棍で殴り飛ばしたのは素肌に革製のベストを着たモヒカンの男だった。
男はどう見ても街のチンピラなのだが、周りの人間達からは非常に信頼されている様で、周囲からは安堵の声が聞こえる。
ジャギは近衛騎士を斬り伏せて追いついてきた魔族と火傷をした魔族の2人を相手に危なげなくたたき伏せる。
捕縛した魔族を近衛騎士に引き渡したジャギはリリの下にやって来た。
「リリ嬢ちゃん、怪我はないか?」
「はい、ありがとうございました」
「なに、リリ嬢ちゃんが怪我なんかしたに日には、ここの警護をしている俺が嬢ちゃんに殺されるからな」
「はは……」
怒り狂った師匠を想像したリリも苦笑いを浮かべた。
「リリ、先程は助かったぞ」
安全を確保した近衛騎士と共にハイランドが近づいて来た。
「後ほど必ず礼をしよう。
それと、現在ミノス砦を警備している魔眼持ちの大半をこちらに回そう」
「よろしいのですか?」
ガボンの問いにハイランドは頷きで答える。
「此処が落ちれば多くの犠牲者がでる。
噂の魔族の変身魔法は初めて見たが、魔眼持ちなら見破れる者が何人かは存在するだろう」
ハイランドは前線に向かう予定をキャンセルすると、急いでミノス砦へと戻っていくのだった。
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