神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ

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神々の間では異世界転移がブームらしいです。 第1部 《漆黒の少女》

5話 冒険者とわたし

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「改めてお礼を言わせてほしい。俺はガイル。君には命を助けられた。その上、仲間の命まで救って貰った。ありがとう。」

「わたしはリーナ。今眠っているジークの妹よ。あなたのお陰で兄さんを助ける事ができた。本当に感謝しているわ。」

「僕は、ロキと申します。彼等、Dランクパーティ〈遥かな大地〉の皆さんに護衛を依頼した行商人です。助けて頂き有り難うございます。」

「いえいえ。命が助かって良かったです。わたしはユウと言います。」

この世界ではユウと名乗ることにします。深い理由は有りません。何と無く楠木 優香だと違和感があるきがします。

「それで解毒ポーションの代金だが、
いくら位になる?余り金は無いが仲間の命の代金だ。必ず支払う。」

「あぁ、別に良いですよ。タダで。材料は森で取ったもで元手は掛かってないですから。」

「そう言う訳には行かない。君程の薬師に調合して貰って対価を払わない訳には行かない。」

「そうよ。高級品ハイクオリティの解毒ポーションなんて王都で買えば銀貨2枚はするものよ。今のこの状況では小金貨数枚を請求されてもおかしく無いのよ?」

「う~ん。では盗賊の持っていた武器とお金を頂けますか?あと此処から1番近い街を教えてください。恥ずかしながら迷い子なんです。」

「盗賊を討伐したのは殆んど君なんだから武器と金だけでは無く盗賊の持ち物の大部分や馬も君に権利がある。」

「それに捕縛した盗賊を犯罪奴隷として売ったお金や盗賊の頭を衛兵に引き渡した褒賞金の内、私達の取り分を全て支払ってもても足りないわ。」

ふむ。2人共引きませんね。

「本当に気にしなくて良いですよ。盗賊を犯罪奴隷として売ったり馬を売ったりとか面倒ですし、わたしは遠慮します。それでも気がすまないと言うなら、もしわたしが困っていたら、その時に助けてください。」

「しかし…」

「ガイル、これ以上は逆に失礼よ。此処はユウの好意に甘えさせて貰いましょう。」

「…そうだな。有り難う、この恩は忘れない。」

なんとか納得してくれた様ですね。

「それでユウさんは何方に行かれるのですか?迷い子と言っていましたが仲間などはいないのですか?」

ロキさんの質問の答えは森の中で考えて有ります。数々のファンタジー小説を読んできたわたしの渾身のカバーストーリーをお見舞いします。

わたしは大和と言う国の生まれ、天涯孤独の身で、旅の途中たまたま見つけた古代文明の遺跡を探索中、謎の魔法装置が起動、光に包まれたと思ったら此処の近くの森に居た。と説明しました。

我ながら完璧なカバーストーリーです。

「魔法遺跡の事故かぁ。此処はミルッミト王国の辺境近くだが、分かるか?」

「まったく聞いた事のない国名です。」

「余程遠い国から飛ばされたのね。」

「僕も行商で多国にも何度か行った事が有りますが大和と言う国は聞いた事が有りません。」

それはそうです。大和なんて国は存在しません。…多分。

「それで、ユウはこれからどうするつもりなの?」

「名前も知らない位、遠い異国では多分帰るのは難しいと思います。まぁ、もともと旅から旅の根無し草でしたから、何処か住みやすい街を探して定住するのも悪くないかなっと考えています。」

「なるほど、君程の薬師なら生活に困ることも無いか。」

「それに戦闘力も十分だから冒険者でもやっていけるわね。」

ここら辺で少し異国からきた感を出しておきましょう。何だか少し楽しくなって来ました。

「冒険者とはどう言った仕事なんですか?」

「ん?大和には冒険者は居ないのか?冒険者ってのは冒険者ギルドに登録して依頼の斡旋を受けて仕事をする奴らのことだ。」

「冒険者の方達は魔物の討伐や薬草や鉱石などの採取、そして、僕の様に街の外を移動する人を護衛してくれたりするですよ。」

もちろん知っています。しかしこの振りを待っていました。

「なるほど。大和には冒険者は居ませんでしたが似たよな職業は有りました。
サムライと言って仕事は大体冒険者と同じですね。」

決まりました!!サムライ!!これぞ浪漫です。『ぼくのかんがえたさいきょうのいせかい』です。厨二病バンザイ!!

「異国の冒険者か、いつか会ってみたいな。それじゃぁ君は取り敢えず街を目指すのか?」

「はい。暫くは冒険者になってこの国を見て回ろうかなと。それで1番近い街は何方に行けばいいのですか?」

「此処から1番近い街はガナの街ですよ。ユウさんが来た方へ街道沿いに1日位です。」

!?
なんと、街から遠ざかっていたのですか?わたしの勘は大外れでした。

「ち…ちなみに反対に行くとどうなりますか?」

「街道沿いに行くと13日くらいで街に着きますよ。ただ途中にある森は毒蟲の森と呼ばれる危険地帯です。」

ガッデムです。

わたしは彼等と共に来た道を戻りガナの街を目指す事にしました。
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